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28.クレア クラーク子爵令嬢

ミラに続き、アリーシアとの繋がりを深める為、お友達となった少女達の名前や背景、環境を追加しました。もう一人オリビア編も今後考えています。

アリーシア様を卑劣な悪意から守る為の作戦会議が公爵家で開かれたが、驚きの連続だった。想像はしていたが軽く越えて来た。


お屋敷もだが、アリーシア様のご両親は素晴らしい方だった、人柄は勿論だが…私が知っている大人は挨拶をしても私ではなく爵位を見て話をする。家業やお父様の話を出して、私の様な小娘相手であってもマウントを取ってくる…

貴族社会でそれは当たり前で、私の領地は職人を沢山抱えていて仕事を貰う立場だから…食料や鉱石を特産としている領地とは、同じ爵位であっても立場が違うのだ…

領地にある山から珪砂けいしゃと石炭でガラスを作ったり、家具職人、道具鍛冶など小規模な職人の街であり注文ありきなのだから、しょうがないと言えばしょうがない…でも私はこの街も職人達も、物作りも大好きだった…

少しでも家や領地の力になりたくて勉強して学園へ入った。知識と人脈を得る為に脇目も振らず、一生懸命学んだ。

そんな時アリーシア様と運命の出会いを果たした。

遠くに眺めてる時は、流石公爵家のご令嬢、ご本人始め身に付けていらっしゃる全てが一級品で素直に"凄いなぁ"と思っていた…

ある日アリーシア様の周りで"手作り"という単語を耳にし、好奇心に勝てずお側に寄って見せて頂くと、とっても可愛らしいお人形さんがきらめいていた!

いや、本当にキラキラと、宝石とは違う輝きで光を放っていた。"これガラス?かしら?この小ささで?"

気になって我慢できず、質問をした…

"え?ガラスに空気を入れる?縫い付ける?この方公爵家のご令嬢よね?"疑問と驚きが止まらず、

アリーシア様とお友達になれた事は勿論嬉しかったが、その知識を少しでもご教示頂ける事を願った。

しかし私の領地や環境、近況を知ったアリーシア様は、知識を教えるのではなく丸々授けて下さったのだ…

採掘量を増やし、工房を工場へ、ガラスの加工技術を広め、技術者も増やす事…ガラス単品ではなく木材や色んな素材と併せて家具や美術品を作る事で全ての職人に仕事が回った。全てアリーシア様の采配で…公爵様のお力も勿論大きかったが…その変貌は凄まじかった…

大袈裟ではなく、生き返ったのだ。領地が領民が、

今では生き生きと活気付いて人も増え、工芸品は領地のブランド名が付くほどまでになった。

私達一家はアリーシア様のお名前の一部だけでもと、

功績を工芸品のブランド名にと願い出たが、

"クレア様とクラーク家の方達、それと領民の皆様のこれまで積み重ねた努力と希望が、実を結んだのです。これからも沢山の実がつきますよ、楽しみですね!私はお友達価格で注文を引き受けて頂ければそれで十分です"と…

本当にこの方は欲が無いのだと思った、そしてアリーシア様の自由を援護されている公爵家も…


あの日、小さなガラスの秘密を少しでも聞き出そうとした小賢こざかしい自分の、なんと小さき事か…

私の領地にある教会にはアリーシア様の像が建てられ、感謝を忘れない事と同様に領民達に親しまれ大事にされた。勿論私達の家族は朝の希望のお祈りと就寝前の感謝の祈りをアリーシア様と公爵家の皆様、信仰神様に捧げることが日課となった。ちなみに、お父様はアリーシア様の事を女神様と呼んでいる。


アリーシア様はアイデアの宝庫だ…

お部屋の棚にあった高さ1m弱の小さな家は、何と…小さなお友達のお家でカスタマイズが出来る仕様だった…

思わずよろめいた。

踏ん張ったところへアリーシア様からの注文が入る、

うちの領地の引退した木工職人や仕事のない人間に、まずはオーダーメイドで少ない数から始め、ミラ様のお店で人気が出たら、ドールハウスとして作業工程も変化させつつ事業となるかの草案作りをしましょう、と…

小さなお人形をお家の中の小さなソファーに座らせたり、キッチンに立たせたりしながら私に提案をしてくださるアリーシア様の天井知らずの可愛さと聡明さで踏ん張り虚しく膝をついてしまった…

するとすかさずエミリーさんが、わかっていたかの様に手を貸してくれた。さすが公爵家の侍女だ…


その後ドールハウスとミニチュア家具は貴族の富裕層と平民でも揃えて遊べる様、バラ売りや素材を変えたりなどして。観賞用、おもちゃ、シリーズ化もして色んな階層の人達に親しまれた。

果てには…何と王妃様に献上する事にまでなり一家総出で、アリーシア様を子爵家にお迎えして相談した。

案の定アリーシア様は惜しげもなく新しく知恵を授けてくれた。献上するドールハウスに合わせた陶器のティーセットを出来れば本当にお湯を入れれるぐらい精巧に作り絵付けや金細工など施して、自由な物作りと技術の高さで職人達の本気を見て頂くのはどうかと…

それを聞いた父は、確かに売り物を少し豪華にしただけでは献上に値しないだろう…流石女神様だっ!とアリーシア様を前に、手を胸の前に組み祈りのポーズで感謝を表し、善は急げと職人達を呼んだ、今では様々な職種の職人達がいるので何人か集まり、アリーシア様のお話や技術工程を聞いた。驚きや感心する職人達に

"何事も最初は大変かと思いますが皆様の素晴らしい技術と作品が、きっとこの領地を潤し支える事となるでしょうから頑張って下さいね!"と激励され、父と同じ様に祈りの体制に入りアリーシア様の信者となった。



勿論私もまた、アリーシア様は大恩人であり、大切で…可愛らしくて…とても敬愛している。だからこそ、

許せないと思った…あの話を図らずも盗み聞いてしまった時、怒りで血が沸騰しそうだった…。許さない…


リリー カーター子爵令嬢。同じ子爵家…、

アリーシア様のお陰で、今では恥じる事なく同じ立場だと言えるのだから…







作中に出てくるドールハウスは、

高さおよそ70〜80cmで、昨今のものよりも大きいと思って下さい。なのでそれに付随する家具や茶器等も私達が知っている物よりも、大きい物となります。

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