18.エドワードとアリーシア
甘々な予感…
サロンへ着くとそこにはエドワード様が座って、紅茶を飲まれていた。
「アリーシア、ベットから起きて大丈夫なのか?顔色は…良さそうだな。ん?というか…お前達みんな血色がいい様だが、何かあったのか?」
「はい、エドワード殿下…ジュリアン様は只今使い物にならない状態なので、僭越ながら私がご説明致します。
…はぁ…ドキドキがドキドキしてドキドキが止まらないのです。…どうしたら良いのでしょう…ちなみに私よりもジュリアン様の方が重症です。」
「あ、あぁ…そうか、…取り敢えずアリーシアは早く座らないとな、そいつらと離れてこちらに来るんだ、お前達はそっちだ、エミリーすまんが椅子を…」
「はい、エドワード殿下…心得ております。この辺で宜しいでしょうか?」
エドワードは、流石は公爵家の侍女、アリーシアの事になると王子の肩書さえも薄れるか…容赦が無い。と苦笑いしながらも「ああ、そこでいい」と返事をして、アリーシアを自分の側に座らせた。
「あの?エドワード様?何故お二人をあの様に離されたのですか?それに何故わたくしはエドワード様のお隣に…?ご挨拶もまだなのに…」
アリーシアが慌てながら、そして不思議そうに尋ねる。
三人がけのソファーに間隔をあけているとはいえ、その近さに動揺しているのだろう。いつもの落ち着いた雰囲気とは違い、ワタワタと不安気に…チラッチラッとエドワードの様子をうかがっている。身長差の為どうしても上目遣いなってしまうアリーシア……。
『いつまでも見ていられるな…』
そう呟いたエドワードは、一人分あいていた間隔を詰めて膝の上に握られていたアリーシアの手に、そっと自分の手を重ねて優しく話しかけた。
「アリーシア、体調の戻った姿を見れて安心した…。
それで、少し話をしよう…アリーシアが体調を崩す前に、学園に兄上とアルが顔を出した日があっただろう?
あの日…何かあったのではないか?」
「あのっエドワード様…お手が…」
「ん?ああ、気にするな。アリーシアの緊張を解している。許可無く触れてしまったな…すまない。」
「あーっ!あっ!エドワード殿下っ!ダメですっそれはいけません!ほらっ、ジュリアン様!早く戻ってきてエドワード殿下の魔の手からアリーシア様を引き離して下さいっ!」
「ラシュカール、うるさい…アリーシアが怯える。それ以上騒ぐと部屋の外に出すぞ!それにお前達…今日の目的を忘れたのか?」
ラシュカールに肩を揺さぶられ覚醒したジュリアンは、肩がつくほど近くに座り…エドワードに手を握られている二人の姿を見て、ラシュカール以上の大声を出した。
その為…二人とも速やかに別室で待機させられた。
静かになったサロンでは…
「アリーシア、騒がしくしてすまない…気分は悪くなっていないか?このまま話を続けても大丈夫か?」
このままって…手も握られたままなのですか?と口に出しそうになったが、その手をキュッと握られた為"コクン"と頷き返す事で精一杯だった。
「ありがとう、では続けよう。アリーシア…お前はあの日、リリー カーターに何かされたのではないのか?」
「何故……そう思われるのですか?…」
俯いたままのアリーシアに、やはりな…とエドワードは確信したがさらに言葉を重ねた。
「アリーシア、俺達は噂に惑わされないし、何があってもお前の味方だ。いいな?それを前提として話をする…
あの日あの女がずぶ濡れになっていた事が報告された、後日それはアリーシアによる嫌がらせだという噂が一部に広がった。その事以外にも、お前の事に関するふざけた内容の噂がいくつか確認されている。そしてあの日からお前は熱を出し学園を休んでいる…
無関係とは思えないんだ……
兄達に話せなかったのなら俺に話せ、そして頼ればいい。アリーシア…お前はどんな答えを出した?
どうしても話したくないのなら…俺達は待つしかないが、一人で抱え込む事のはダメだ。」
それでも何も言わず俯くアリーシア…
「なぁアリーシア、何を恐れる必要がある?お前の兄達にしてもそうだが…さらに俺達は王家で王子なんだ、これ以上ない後ろ盾だと思わないか?あの二人だってそうだぞ、今日ここに訪れる為頑張って公爵とお前の兄達に許可を貰っていたんだ。なっ?みんなお前を慕っているし、お前を心配しているんだ…それはわかるな?
お前は何者も恐れず、何も心配しなくていいんだ…。」
と、繋いだ手とは別の手でアリーシアの頭を撫でながらアリーシアの顔の顔を覗き込んだ。そこでエドワードは息を飲み、撫でる手をそのままに動きを止めるのであった…。
ここに来てダークホースのエドワードが活躍します。




