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17.アリーシアは塞ぎ込む

いよいよ読書の秋…この作品を選んで下った方に楽しんで頂けるよう、そして続きを望まれるよう頑張ります。

リリー カーター子爵令嬢から詰め寄られたあの日からアリーシアは学園へ行けずにいた…。


あの日、生徒会室から戻ってきた兄達にドレスの汚れを指摘されたが、スケッチに夢中になってしまったと誤魔化した…。敏感な兄達は、私の様子がおかしい事にきっと気付いていたと思う…でも私は"何も無い"とそれ以上は何も話さなかった…いや…話せなかった。


その夜に熱を出してしまい、学園を休んでベッドで寝ていると、良くない事ばかり考えてしまう…。


『魔法の使えない私は…やっぱり私は…役立たずだわ…

あの方も私と同じ様に思い出したと言っていたもの…魔法も使えて、不思議な知識の事も詳しそうだった…これまでの事も私がすごいのではなくて、公爵家の力があってこそだったものね…それにあの時、他の方に話してた事は何一つ事実ではなかったけど…噂として広まるのは時間の問題…なのかもしれないわ…。』



アリーシアにとって魔法の事は未だセンシティブな問題であった、あれほど強い敵意を向けられた事もこれまでなかった…様々な事が一度に降り掛かり…思考が悪い方へと向かう、それと並行する様に体調も崩していった…



学園を休んで五日目ジュリアン様とラシュカール様が

お花やお菓子を持って、お見舞いに来てくれた。


「アリーシア!…心配したぞ…大分回復したとは聞いたが、体を起こしていても大丈夫なのか?無理をしてはダメだぞ!横になるのだっ!」


「ジュリアン様!アリーシア様のお顔が見れて嬉しいのは激しく同意しますが、少し落ち着いて下さい。アリーシア様が驚いていらっしゃいます!」


「ジュリアン様、ラシュカール様、わざわざ来て頂き、

お見舞いの品もありがとうございます。その…ジュリアン様が…お優しくて少しだけ驚いてしまったのです、わたくしの方こそこの様な姿で申し訳ございません。」


フフフと笑いながら謝罪し、侍女のエミリーに花とお菓子を渡して、サロンにお茶の準備を頼む。(相手をするならサロンで、と兄達に約束させられていた為)


「アリーシア様の笑顔が見られて安心致しました…熱が下がられてからも、何やら思い悩んでいる様だと…お義兄様方も心配なさっておいででしたから…」


「体調が戻っているのなら良いが、その言い方だと普段の俺は優しくない様に聞こえるぞ…?いつだってアリーシアには特別に接しているつもりだが…アリーシアには伝わっていない様だな…よしっ!それならっ…」


そう言ったジュリアン様は私の頭を撫で始めた…


「!!ジッジュリアン様っ?なっ何を???」


「ん?ラスカルが以前言っていたんだ、好きな子にはイイコ イイコをするとな。どうだ?アリーシア」


「どうだ?…と申されましても……」


「ああっ!ジュリアン様っ!どさくさに紛れてなんて事を!ずるいです!私だってアリーシア様に触れたいのに!ぬぅぅっ…どうしてくれましょう…まずはこの事をお義兄様方にお伝えして…」


「おいっラスカル!心の声が全部漏れているぞ、それに早い者勝ちだっ」



耳や頬やおでこまで真っ赤にして俯くアリーシアをよそに、ジュリアンとラスカルはヤーヤー言っている。



『きっとこのお二人は落ち込んでしまっている私を励まそうと、必要以上におどけてくれて…本当にお優しいわ…』


小さい頃から家族にはよく頭を撫でられていた、兄達に至っては未だに…それも割と頻繁に撫でられる。しかし家族や兄達以外の異性に初めて頭を撫でられたアリーシアは何とも言えない恥ずかしさと嬉しさで心が満たされた。リリーとの事で塞ぎ込んでいたが、久しぶりに本当の笑顔になれたのだった…。


エミリーが戻ってきて先程ジュリアン様に貰った花を部屋に飾ってくれた。サロンの準備も出来たとの事なので、二人の手を取り…自分の嬉しい気持ちが伝わる様に"満面の笑顔"でお礼を言ってからサロンへ向かった。


アリーシアの部屋では花瓶の花がきらめき、蕾まで花開いていたが、アリーシアの笑顔に撃ち抜かれれていた為誰も…花を生けたエミリーでさえ気付かず部屋を後にした。









さらっと好きな子発言しているジュリアン…


頑張れジュリアン!負けるなラスカル!








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