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10.放課後の教室

アリーシアは学園生活を楽しんでいた、


なんとお友達が出来たのだ!きっかけはアリーシアの

カバンにつけていた小さな猫の人形…

家にいる事が多かったアリーシアは前世の記憶を頼りにテディベアやぬいぐるみを沢山作った。

この世界、人型の人形が置物としてあったが、子供が好みそうな可愛いものはなかった。アリーシアは動物をモチーフに自分の着れなくなったドレスやリボンも使って着せ替えが出来るものまで作り上げていた。


学園に通う心細さから小さいものを作りカバンにつけていて、事あるごとにこっそり可愛がっていたのだが、

そこを隣の席の生徒に度々目撃されており、最初は遠慮していたその生徒も、


『セイリオス様のカバンについてる子、この前まで猫でしたのに、今日はウサギだわ…あんなに可愛らしいもの

どこでご購入されるのかしら…』と気になり過ぎて、

放課後ついにアリーシアへ直接声をかけたのだ。



「まぁ!セイリオス様の手作りなのですか?」


まぁまぁ大きな声が出ていた為、生徒が集まった。


「わぁ!本当に可愛らしいですわ、ウサギなのですね」

「繊細で、動物がお洋服を着ているところも斬新です」

「えっ?目が…これはなんですの?」


「その…恥ずかしいのですがこの子はわたくしのお友達なのです…裁縫が得意でしたので…沢山作ってまして…」


「セイリオス様?沢山って同じものを沢山お作りになられてるのですか?」


「いえ…他に……猫とか犬とか熊とか狐、フェレット、小鳥にリスに…猫とか…色々な動物を作っております…あとこの子より大きい子も…」


「まぁぁぁ!なんて素晴らしいんでしょう!そんなに種類豊富に?セイリオス様は猫がお好きなのですね?」

「素敵です!大きい子とはどれくらいの大きさなのですか?お洋服は着てますか?」

「セイリオス様、こちら近くて見せていただいてもよろしいですか?この子の目の素材が気になって…」


「ええ!……もちろんですわ!」


最初は話す事に戸惑っていたアリーシアだったが、それ以上の勢いで尋ねられたり、褒められたりで…何より自分の趣味が褒められる事が嬉しかった!だからついつい徐々に、そして饒舌になっていった。


「動物では猫ちゃんが一番好きです…大きい子は人間の赤ちゃんぐらいで抱っこしやすいように中身を柔らかい素材で作りましたの、この子の目に使ったのは着色したガラスに穴を………?って皆さんどうしたのですか?」


とても楽しそうに、話し方も普段より砕けた感じで、

嬉しそうに笑いながら説明をしているアリーシアを見て皆驚いていた。


「…セイリオス様って可愛らしい方ですのね……」

「ちょっと貴女失礼よ!」

「!!! も、申し訳ございません!!!!」


「そんな!やめてくださいませっ!わたくし…う、う、

………嬉しかったのです!  とても……

話しかけてくださった事も、この子を褒めてくださった事も、質問してくださった事も……その…なんだか…

お友達になれたみたいで………ごめんなさい…

勝手に…こんな風に…」


「お、ぉぉお友達になってくださいませっ!」

「! 私もセイリオス様のお友達になりたいですっ!」

「セイリオス様のご迷惑でなければ、わたくしも是非っ

………ずっとお話ししてみたかったのです!」


「!!!!!!!!!!」


アリーシアは両手を口に当て、綺麗な紫の瞳を瞬かせ

……… 言葉が詰まってしまう……それでもどうにか頷きながらそっと呟いた…


「嬉しい… 」   と



放課後の教室、アリーシアを囲み少女達が盛り上がっている様子を、迎えに来ていたアリーシアの兄二人がお互いを支え合いながらアリーシアの頑張りを讃え喜びを分かち合っていた…。


更にそれを遠巻きに見ていた女生徒達の中に、新しい扉を開いてしまった人達がいたとかいないとか……



アリーシアは他人ひとと接する事を"面倒くさい"

とは、もう思わなかった。




かわいいに囲まれると幸せになれますよね

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