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恋だった

ねえ、フィリクス様


お別れですね。


あなたと過ごせた日々は、本当に幸せでした。


もう会うことは出来ませんが、あなたの幸せを


祈っています。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



あなたを初めて見たのは、デビュタントの日です。

兄の友人であったフィリクス様と婚約者のエミリア様。

婚約者であるエミリア様を優しく見つめ、愛を捧げるあなたを見て、心を奪われました。もちろん、お二人の仲をどうこうしようなんて思っていません。憧れだったのだと思います。

あんな風に愛されるエミリア様のように、私にも唯一の方が現れるのかしら、と夢を見たのです。

デビュタントから2年、いよいよ婚約者を決めなくてはと両親も真剣に動き出していたのです。

そんな時でした。エミリア様が儚くなったのは。

不運な事故でした。

フィリクス様はとても見ていられないほど悲しみに暮れていたそうです。ですが、侯爵家の嫡子であるフィリクス様が独り身で居続けることはできないのです。

そしてなんと、伯爵令嬢である私との縁談が持ち上がりました。驚きはしましたが、私は受け入れました。

その時は、フィリクス様とエミリア様を見ていた私にとってフィリクス様のお役に立てればよいと思っていたのです。

愛はいただけなくても、フィリクス様と共に歩める道があるのであればお隣にいさせて欲しいと。

もとより、婚姻間近だったフィリクス様とエミリア様でしたので、私との婚約期間は短く半年で婚姻となりました。

慌ただしい日々でしたが、フィリクス様はとてもお優しく気遣いをしてくださる方ですので特に問題なく私たちは夫婦となりました。

もしかしたら、フィリクス様はエミリア様以外をお抱きにならないのでは、なんて思いましたが。

蔑ろにされることなく初夜を済ませ、数ヶ月後にはお子を授かることができ長男を無事出産しました。

その後、次男、長女と3人の子に恵まれました。

本当に本当に幸せでした。

長男が成人した頃、私は体調を崩すことが多くなりました。

死を近くに感じると、死後の世界について考えるようになりました。私の両親はとても仲が良く、母の最後は父にあちらで待っています、ゆっくり来てくださいね。と言って旅立った。

そうか。あちらで私がフィリクス様を待ってもエミリア様が待っているのだ。私の元へフィリクス様がやってくることはないだろう。だけど、私は生きている間、フィリクス様と共にいれたのだ。これ以上は望みすぎだろう。

寄り添ってくださるフィリクス様と、穏やかに最後を迎えることができました。

最後伝えたい言葉も伝えることができましたので、

眠りますね。

フィリクス様が天に召される時には、きっとエミリア様が来てくださいます。お幸せに。

初めは憧れでした。そして日々過ごすうちに恋になりました。

お別れですね、もう会う事は出来ないでしょうがあなたの幸せを祈っています。


私の恋はここでおしまい。







フィリクスサイドも書きたい…。

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