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ラスト・ワン・トイレットペーパー

作者: 上川 亘

超能力社会そんなSFが到来して二世紀は経つ。ただ今でも、超能力に恵まれない人間もいるし、超能力に恵まれても環境に恵まれない人間もいる。

子供うちは分からなくとも、大人になるにつれ全ての生物が生まれたときから幸福を感じる器官があり命があるからこそ不幸であること理解していく。

自分は政治なんて良く知らないが、くそったれな世の中であるという共通理解といろいろ紆余曲折あって、なんとか共生できる安定したこの社会が出来上がった。と認識している。


子供のころは超能力診断に憧れた。テレビでスポーツ番組とかがあるが、一般人のプロスポーツは手に汗を握るが超能力ありのプロスポーツというのはひどく派手である。超能力を持って特別な何かになる未知への期待感は、誰もが止められる衝動ではないだろう。小学校の高学年から行われているので、小学校の四年生までは同級生とあーだこーだいって喧嘩をしたこともあった。


長くなったが、結論から言うと自分は超能力を使える。ただ、超能力に恵まれなかった。「ラスト・ワン・トイレットペーパー」なんだこれと思う。どうも、人生で一度だけトイレットペーパーが手元にないときにトイレットペーパーを召喚する力らしい。

なぜ、人生に一度しか使えない能力なのか、その一度がトイレットペーパーなのか幼心に困惑した。人生に一度では、テレビの選手みたいに派手なことができない。しかも内容がショボ過ぎた。幸い、取るに足らない超能力に関しては、秘匿する権利が与えられると担任からこの日になるまで再三勧告を受けていた。そのため秘匿申請を行い。無能力者として今の冴えないおじさんになるまで振舞っていた。


今日は兄夫婦も含めて実家に集まっている。兄はほんとの無能力者ではあるが、本人の気質なのか能力者かと疑いたくなるほど頭がよく要領も良いそして、何か良く分からないが研究者をやっているという。そんな兄だからか気立てのいい嫁さんがついているし、かわいい甥っ子もいる。甥っ子はやんちゃ盛りで、兄夫婦がリフレッシュにデートしに行きたいがため、御守りを自分におしつけたわけだ。


ふと、甥っ子がトイレに興味を持ったのか「未来のトイレってどんなのかな」とぬかした。今この世のトイレに苦しまされている人間がここにいるのだ。毎日簡易的な検便で健康状態を見られ会社を容易に休めなくなり、それを福利厚生の一環だと国のトップが認めてしまっている。そんなのが今だ未来となると末恐ろしい。しかし、自分も興味を持った。このワクワク感はあのころ以来久しい、甥っ子に尊敬の目で見られたかい気持ちもあった。気づけばこう語りかけていた。


「未来のトイレは分からないただ、未来のトイレットぺーパーは分かるかもしれない」


甥っ子はその一言に目をキラキラさせた。かわいい。


「トイレットペーパー」自分はそれを一度しか出せない。今の世は紙が手元になくてもティッシュで代用ができてしまう時代、水で洗い流して乾燥させられる時代。この能力がなくなったって困るわけではない。だからこそ使う。ある意味では恥ずかしい能力者。この際無能力者になって良いと思えた。

とりあえず神に祈る「人類史において最後に到達するトイレットペーパーをこの手に導きください」と

、その光は神秘的だった。それが触れた瞬間あまりの感触に驚いた。ただ、来てしまった。未来のトイレットペーパーが、今の誰も開発するに至っていないそれが、

甥っ子は興味深そうそれを見る。そして、小さなその手がこれに触れようとした瞬間急いで甥っ子を止めた。こんな良く分からないものを触らせられない。自分の中で死んだと思っていた危機管理能力が息を吹き返した。とにかくイレギュラーである。デートに出かけている兄を呼び戻さねば!!


ネタばれ:人類滅亡?

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