プロローグ ➖5➖
その討伐の任務を完了したあと、LANDから発信音が鳴った。
LANDのバンドル部分の中央に小型サイズのディスプレイ画面があり、それをタップした。
すると、その画面には通信を送ってきた相手の映像が映し出されて、通信機能として使えるようになっているのだ。
その人物は、紅を含む日本の生き残りの精鋭のみが集められた特殊部隊に属している人物の、技術と通信を担当している女性の一人であった。
「紅、お疲れ様。怪我はない?」
「ああ、何も問題はない」
「しかし何度見ても流石よね、LANDから送られている映像を見ているけれど、本当に常人離れしているもの」
「凄いのは俺じゃない、こいつのおかげだ…LAND」
「はい、ありがとうございます」
そう答えたのはLANDに搭載されたAIである。
「LAND、次の敵兵はどこにいる」
「南に直進すると、先程と同機体の伏兵がいます。撤退しようとしている状態のようです、壊滅させるには今すぐに向かった方が宜しいです」
「その言う通りよ、LANDには感知機能があるとして…紅、あなたもわかっているのでしょう、本当は…」
「ああ、その方向からはこの距離でも微かにだが音が聞こて目視もできる。確認の為にも聞いた」
「そ、そうよね…」
「それでは今から向かう」
そして通信は切られた。
超人的な聴覚と視覚…それにあの高性能AI技術…。
「はぁ…これって私必要なのかしらね…」
女性はそんな言葉を言い漏らした。
紅は敵兵のいるその方向へ超高速エンジンで時速300キロを超えるペースで向かっていた。
「紅様、何か様子がおかしいです」
走行中にLANDはそう言った。
「…どうした」
「地面に謎の高エネルギー反応を感知しました」
「何?」
紅はLANDを急停止させた。
そして地面に目をやると、そこに現れたのは紅を中心として円を描くように直径100メートルはあろう距離の全体が発光していた。そこには花のような何かの紋章が浮かんでいた。
な、なんだこれは…。まさか、新しい技術を駆使した兵器か何かなのか…!?
「おい、聞こえているか!これは一体…」
紅は通信機能を使い連絡をしようとしたが、画面に表示されていたのは『ERROR』の文字だった。
通信ができない…?どうなっているんだ…。
何であれ、そこから逃げた方がいいと考え、後ろに方向転換してからLANDを全速力で前進させた。
しかし、その謎の光は徐々に光力が増していき、そこから抜けられようかとしたその間際、光は消え去った。
そして、そこには紅とLANDの姿はなかった。