異世界 ➖6➖
「つ、使うのですか!?その…修復魔法を!?」
ジャスもその行為に反対するかのような口調だった。
「ええ」
「ですが…その魔法には使用する制限があるのでは…!」
「いいのですよ、ジャス。あなたの剣が壊れてしまったことには私の責任もあります」
「そんな…私のために姫様の力を使用するなど恐れ多い…」
「…やらせてくれませんか?」
「…は、はい」
柔らかな微笑みを見せるリナリアを見て、観念したようにその剣を両手に乗せ、ジャスはその場に跪いていた。
リナリアはその座から立ち上がり、手の平をその剣に向けるようにして両手を手前に出した。
そして、何かをブツブツと唱えるように口にしていた。
紅はそこからその声が聞こえていた。
何を言っているんだ…?日本語には聞こえない、適当な言葉を発している感じもしないが…。
「姫の魔法だ、俺初めて見るぞ」
「ああ、俺もだ。まさか見れる機会が来るなんて思わなかった」
「あの魔法、この世界で使えるのは姫様たった一人だと聞いているわ」
「何度でも使える魔法ではないとも聞くぞ」
そんな話し声が聞こえてくる。
どうやらその城内の兵士でも見たことのないことが起こる様子だった。
それから、リナリアの手が白く光りだし、その折れた剣から何かの紋章が浮かび上がっていた。
そう、そこに見えたのは紅がここへ連れてこられる時に見たあの紋章だったのだ。大きさはその剣のサイズと同じほどで、前に見た物とは別だったが、確かに一緒だったのだ。
そして、リナリアは息を軽く吸った後に一言発した。
「癒完…」
その言葉と同時に、剣が強く発光したのだ。
青白い光がその剣を覆って見えなくなった。
…それから、ほんの数秒でその光は収まり、ジャスの手元に現れた物を見て一同は驚愕していた。
「な、直っている…」
ジャスは、その元の状態に戻っていた剣を手に持って掲げた。
「ほ、本当だ!」
「す、すごい!姫様にこんな力が…」
その力を見て皆が圧倒されていた。
ジャスはその剣を軽く振ってみたり、凝視していた。
完全に元の状態に戻っているその剣を見て、ジャスは目に輝きを取り戻していた。
紅は、近代化学兵器の不思議な力を多く見てきた。
大抵のものにも対応していたが、それは見たこともないものだった。
手も一切触れておらず何か仕掛けがされているようにも見えなかった、紅の知り得る何かではないのだと悟った。
それから今のが発動される時に光の中に見えたあの紋章、それがここに連れてこられた時に見えたものと同じなのは、何か関連性があるのではないかと紅は思っていた。




