獲麟
いよいよ大河ドラマ『麒麟が来る』も大詰めを迎え、本能寺の変ですね。
明智十兵衛光秀は、この後の山崎の合戦で敗走し、落ち武者狩りで落命したと伝えられています。
娘婿の明智左馬助秀満は当初、安土城を守備していましたが出撃した後に光秀の敗北を聞いて坂本城に籠城しました。
堀九太郎秀政の軍勢が取り囲む中、敗北を悟った秀満は名物の茶器や刀剣を譲った後、城に火を放って自刃します。
こうして明智一族は歴史の表舞台から姿を消しました。
さて、表題の「獲麟」ですが、これは『春秋』の最後の記事、魯の哀公の「十有四年春、西に狩りして、麟を獲たり」を典拠とします。
春秋時代の狩りとは我が国でいう巻狩に近い大規模な狩猟のことで、この狩りで魯の人々は見たこともない不気味な生き物を捕らえました。
その不気味な生き物を狩り場の役人に押し付けて人々は帰路に就き、孔子はその不気味な生き物を見る機会を得ます。
不気味な生き物の正体は太平の世に出現すると言われる聖獣の麒麟であり、戦乱の続く世に出現したことと、聖獣の姿を人々が不気味として恐れた事実に孔子は衝撃を受けました。
生涯を通して徳治の基本を説いて来た活動が否定される事態に、失望感と虚無感に襲われた孔子は『春秋』の編纂をこの記事で終わらせてしまいます。
こうした経緯から「獲麟」は物事の終わりを意味するようになりました。
大河ドラマの『麒麟が来る』も、このような終わり方をするかもしれませんね。