孔子
孔子とは、姓は孔、名は丘、字は仲尼で春秋時代の魯の国の人です。魯は現在の山東省曲阜周辺です。
理想家で、古代の聖王や魯の周公旦が行った徳治を手本に政治を行いますが失敗してしまいます。
政治の第一線を退いた後は人材育成に努め、門下からは優秀な人物が続々と輩出されましたが、その教えが大きく広がるのは死後三百年近く経過した、前漢末の時代でした。
主な業績としては、廃れていた古式礼法を整えた他、音楽の整理、仁を主体とした政治思想の確立、歴史書である『春秋』の編纂などが挙げられます。
孔子の教えが儒教として集大成されるのは、四百年近くかかりますが、その中心にあるのは弟子たちとの問答集である『論語』です。
儒教に於いては『四書五経』を学ぶ順序が十二世紀頃に「朱子学」として確立しますが、それ以前から複数の教本がありました。
特に『春秋』については本文のみでは意味を為さないので、『左氏伝』『公羊伝』『穀梁伝』などの注釈書が必須となっています。
孔子の編纂である『春秋』は魯の国の歴史を記した書物で、おおよそ二百四十年間の歴史を扱い、この期間を「春秋時代」と呼ぶ典拠になっています。
『春秋』本文は「獲麟」で終わっていますが、『左氏伝』では孔子の死去までを扱い、更に注釈としてその後の十年間を記しているようです。
孔子の事蹟は同時代ではそれなりの評価でしたが、弟子たちや直系子孫たちの努力によって東アジアに多大な影響を及ぼすようになります。