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隠しキャラと意外な共通点。

ミレと友人になってからすぐに神官長がきて、ミレと一緒に別の部屋に案内された。

ドレスが濡れてしまったことは、友達になったこととドレスを乾かすために部屋さえ貸してくれたら黙っていると告げると、それを承諾してくれた。

たぶん、神殿側も大事にはしたくないんだと思う。


それから神殿に行くたびに、ミレのところに遊びに行った。

最初は戸惑っていたミレも、一ヶ月もすると慣れてきたらしく普通に話してくれるようになった。


「ルミナ!今日もきたの?」

「そうよ。ずっと家に篭ってたら息が詰まりそうになるもの」


本当は信仰心という見えないパラメータをあげようと、毎日のように通っているんだけど、ミレと他愛もない話をするのが楽しくて着てしまっているところがある。


「ねえ、それより神殿の本よ!今日は書庫を見せてくれるって話よね?」

「う、うん。神官長さまには許可を取ったけど……でもまさか、公爵令嬢のルミナが神聖術に興味があるなんて」


ミレの言うとおり、侯爵家に生まれた以上は家のために結婚相手を見つけることが優先されるから、自分磨きをしている令嬢が多い。

ただそれは、婚約者がまだ決まっていない令嬢の話で、私の場合はすでに婚約者が決まっている。


「ほら、私の場合はもう婚約者がいるから、最低限さえすればいいかなぁ~って……」

「婚約者って、誰?」


純粋に興味があるらしくて、ミレはじっと紅茶色の瞳をこちらに向けてくる。

私が侯爵家の令嬢だから、ミレはきっと相手も貴族だと思っているかもしれない。

まさか相手が王族なんて、かなり言いづらい。


「……だ、第1王子」


私が控えめに告げると、ミレは何の反応もしなかった。

不思議に思ってミレに話しかけようとすると、ミレから突然大きな声が出た。


「っ…だ、第1王子~!?!?」


どうもミレは、衝撃が大きすぎて固まっていたらしい。

ミレは、悩むように頭を抱え始めた。


「あ、あたしったら……もしかして未来の王妃さまに、こんな馴れ馴れしく話しちゃってるってこと!?」

「そ、そんなに気にしなくても……ほら、もしかして王子に別に好きな子ができて破棄されちゃう可能性だってあるんだし」


ゲームヒロインが王子と接触すると、確実に破棄される気がする。

いや、ルミナエリスが全ルートで闇落ちしてることを考えると、ゲームヒロイン登場の時点で未来が決まっているようなもの。


そういえば隠しキャラがいて、そのルートのみルミナエリスは闇落ち後に正気を取り戻すらしいんだけど……よく考えたら正気を取り戻さなくても、国家反逆罪で首切りエンドってとこは同じじゃない。


ただ違うのが、正気を取り戻して罰せられるか、自我を失ったまま罰されるかの差だけ。


「ルミナ、王族の婚約破棄なんて、そんな簡単にできないのよ?」

「そ、そうよね。それは解っているんだけど……」


できるものなら、今すぐにでも破棄したい。

そうすれば闇落ちルートから開放されるはず。

でも身分は王子の方が上で、私から婚約破棄なんてできない。


あれ、でもどうしてルミナエリスって闇落ちしたんだっけ……たしかにゲームヒロインがきっかけだったけど、何か原因があったはず。

それがなんだったのか思い出せない。


「ルミナ?もしかして、王子との婚約が嫌なの?もしかして別に好きな人がいるとか……」

「え、あ……好きな人がいるわけじゃないの。ただ、あまり乗り気じゃないの」

「ルミナ……」


ふとミレを見ると、とても心配そうにこちらを見ていた。

あまり心配をかけたくなくて、話題を変えることにした。


「ねえ、神殿の書庫を見せてくれるんでしょう?」

「あ!すっかり忘れてたわ。書庫の鍵は、レヴィアスさまが管理しているらしいの」

「レヴィアスさま?」


どこかで聞いたような名前のような気がするけど、なかなか思い出せない。

もしかしてミレのように、脇役のようなキャラかもしれないし、ゲーム中に名前だけ登場したキャラかもしれない。


「神官長補佐なんだけど、あたしたちと年が変わらないのにすごく優秀みたいなの。とりあえず、あたしについてきて」

「え、年も近いの?」

「うん、1つ上らしいの」


ミレの後を突いていくと、神殿の奥にある扉の前で止まった。

控えめに扉を叩いて返事が返ってくると、ミレは部屋の中へと入っていった。

慌ててミレのすぐ後ろについていった。


「レヴィアスさま、失礼します」

「ミレ?ああ、神官長から話は聞いていますよ」


ミレの背後から覗き込んみると、金色の瞳と長い白銀の髪が印象的な、とても秀麗な顔立ちの男性と目が合った。

かなり秀麗な顔立ちと神官服のせいか、とても神秘的な雰囲気に見える。


金色の瞳と長い白銀の髪、それに神官服……ふいにゲームキャラの1人にいたことを思い出した。


たしか隠しキャラだったはず。


すぐに思い出せなかったのは、このキャラが隠しキャラで普通にプレイしただけでは登場しなかったキャラだったせいもあるけど、攻略がかなり難しかった記憶がる。

ここにきてゲーム自体をやり込んでいなくて、目的のキャラしかクリアしていないせいで、少しの情報でしか知らないのが悔やまれる。


「レッドフィールさまでしょうか?はじめまして、神官長補佐のレヴィアスです」

「え、ええ。はじめまして、ルミナエリス・エレリナ・レッドフィールです」


なんとか笑みを浮かべて、返事をした。

私の知っている情報では、このキャラは攻略ルート以外はルミナエリスと一緒に首切りになったはず。

そう、数人いる罪人たちと一緒に、民衆の前で見世物のように首を切り落とされる。


罪状は、王妃に不貞を働いたとかいうことだったけど……たしか隠しキャラのルートに入ると真相が解って、その外見に一目惚れをした王妃が暴走した結果、王の怒りをかったことが原因とか……。

ある意味不憫なキャラだけど、妙な仲間意識を持ってしまった。


首切りならぬ、首ちょんぱ仲間……。



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