8話 大和、後悔先に立たず の巻
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(思い立ったが吉日で来てみたけど、…流石に駿河国の誇る悪名高い“死の森”だ。
生半可な実力じゃ手も足もでない…
あ~あ、この森のどこかにあると伝わる“魔の実”見つけて父さんや撫子に認められようと思ってたけど、やっぱりそんな甘くないよな。
冷静に考えれば分かることなのに、今朝の父さんの言葉につい熱くなっちゃったんだろうな)
今朝の稽古の後、大和がおもむろに向かった先は通称“死の森”と呼ばれる駿河国の約半分以上埋め尽くしている広大な樹海である。
この森に来たのには理由があった。
それは以前父がお酒に酔って話したこの死の森のついての言い伝えにある。
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『大和~~ヒクッ、この駿河の国に広がる森はなヒクッ、凄い所なんだ。
みんな死の森とか言って恐れているがヒクッ、儂は聖なる森だと思っとるヒクッ。
確かに森に住む獣たちは凶暴だがなヒクッ、みな自分達のテリトリーを侵されるのに抵抗しているだけだ、そんなの人間も同じだろうヒクッ。
ただこの森の獣は魔の実を食べて暮らしておるから人間の手に負えないほどの獣が溢れかえっておるがのヒクッ。』
『魔の実…?』
聞き慣れない単語があり、反射的に大地に聞き直す。
『あ~大和はまだ聞いたことなかったか?
魔の実というのはその森のどこかに生っていると言われている木の実だヒクッ。
その実を食べたものは魔力が大幅に高まるらしいヒクッ。
だからこの森の獣たちは手に負えないほど強いというわけだ』
『へぇ~不思議な食べ物もあるもんだね、父さん』
『あぁ、その実を求めて森に入る冒険者達もいるらしいが、その実を無事に食べることができたのはこの駿河国の初代国王だけだと言われているヒクッ。
まぁそれも昔の文献に記されているだけでどこまで本当の話か分からんけどなヒクッ』
『…ふーーん』