14話 大和、家族と訣別す の巻
~出雲高校入学式~
「皆さん、この出雲高校への入学おめでとうございます。
この高校へ入学したということは自分自身でその道を選び………………」
4月2日晴天、この晴れやかな日に大和は出雲高校の入学式に出席していた。
父からの言葉通り、3月から家を離れ、母の実家である宍道家の居候となり出雲高校へと進学した。
校長先生によるお決まりの挨拶を気だるそうに聞きながら、家を出る日のことを思い返していた。
―
ーー
ーーー
「それじゃ父さん、母さん、行ってきます。撫子にも体調には気を付けるよう伝えといてください」
3月になり高校入学に備えて出雲へと引っ越しをする日、大和は見送りに来た父大地と母十和子に別れの挨拶を行っていた。
その様子からどうやら妹の撫子は見送りに来なかったようだ。
「ああ、富士山家のことはもう気にしなくてもよい。あちらで自分の好きなように暮らすがよい」
「…ごめんね、大和。あなたにだけこんな…
なにもできなかった私を恨んでくれていいのよ」
「いいよ、母さん。そんな自分を責めなくて。
すべては力のなかった俺が悪いんだ。
それに父さん、俺はまだ自分をあきらめていないから。
次に会うときは父さんも認める男になってから帰ってくるよ」
「ふん…」
「大和…」
「それじゃ、元気で」
大和は父と母に最後の別れの言葉を残し、出雲行きの夜行列車へと乗り込んだ。
席につき窓から見慣れた景色を眺めると、やはり慣れ親しんだこの駿河の国を離れるのは名残惜しい。
…がここにはもう自分の居場所はない。
(俺はもう駿河の人間じゃない、出雲の、宍道の人間になるんだ。
いつまでもくよくよしてるなんて男らしくないぞ、大和!
こんな出来の悪い息子に対し、まだ武を学べる環境を新たに用意してくれた父さんにむしろ感謝するべきだ)
そう気持ちを切り替え、バックの中から出雲高校のパンフレットを取り出そうとしたとき、ふと何かが手に触れた。
それは四つ折りにされた紙であった。
(こんなもの入れたっけ?)
疑問に思いながら紙を広げるとそこには
『バカ兄ぃへ
どうせ強くなるのなんて無理なんだから諦めたときは別に家に帰ってきてもいいよ
富士山家でも私の付き人という居場所は用意しといてあげるわ
撫子』
可愛い妹からの可愛くない憎まれ口が書いてあった。
(撫子……
これは激励の言葉として受け取っとくよ。
次に会うときはお前の肩に並ぶ、いやお前を追い越すくらいの強さを身につけてるときだ。
それまでお前も元気でな……!)




