13話 大和、意を決する の巻
子供のその言葉を聞き前方に注意を向けると、そこには見慣れた景色があった。
間違いなく自身が森に入った時に通った入り口である
「も、戻れた……!助かった。ありがとな。えーーと……」
「『オウ』。みんな僕のことはそうやって呼ぶよ」
「オウか、ありがとな、オウ!
俺は大和、宍道大和だ。
自分が何者かわかってないって言っても俺にとっておまえは命の恩人だ。
もしよければ家に来るか?お礼に上手い飯でも御馳走するぞ?」
「いや、僕が来れるのはここまでさ。
その誘いだけで嬉しいよ。
それに色々おしゃべりできて楽しかったよ、大和さん。
んじゃさよーならーーー」
そう言うや否やオウは踵を返し森へ向かって駆ける。
数秒経たずにその姿はあっという間に見えなくなってしまった。
「あっ、おい……
結局何だったんだ、あいつは。
もしかして俺は狐にでも化かされたんだろうか…」
オウの姿が見えなると、急に今までのことが現実味がなくなり、まるで夢を見ていたかのような感覚に襲われる。
“チャポン”
ふと右手に力を入れるとその手の中には小瓶あった。
その小瓶を凝視するとオウから渡されたものであり、それは間違いなくオウがいたことを証明するものである。
「強さを求めるなら飲む…か
ふふ、その通りだな、オウ。
所詮お前と出会わなければ俺は森の中で野垂れ死にしていただろう…
お前に救われた命なら、お前から与えられたものでどうなろうが構わない」
先ほどのオウとの会話を思い出した大和はそう決意し、小瓶を開けその中の液体を一気に口に流し込んだ。
「うぇぇ、見た目通りの不味さだな。
これでもう後には引けねぇ。鬼がでるか蛇が出るか。
なんでもきやがれってんだ!!」
修羅場を乗り越え、決死の覚悟を決めた男は強い。
魔の実は手に入らずとも森に入る前の大和と今の大和ではその力には雲泥の差があるであろう。
自分自身のそんな変化を露知らず、まずはともあれ大和は帰路についたのであった。




