12話 大和、子供と談笑す の巻
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森の中を鼻歌交じりに歩きながら子供は陽気に大和に話しかける。
「ふっふっふーん、さっきも聞いたけどお兄さんはなんでこんなところに来たの?
普通の人間はこんな森の深くまでは来れないはずなんだけどなぁ」
「(来れないはず……?)
まぁなんというかこの森に生っているという“魔の実”を食べてみたくってね。
意を決してこの森を探索していたけど途中でさっきの猪に追われて逃げ回るうちに道が分からなくなったというわけさ」
「ふーん、見た目通り少し間が抜けてるんだね。
それに魔の実なんて見つからなくて良かったよ。
普通の人間が魔の実を食べたっていいことなんてないし。
もし食べちゃったらその実に含まれている劇薬級の魔力に肉体が拒絶反応を起こして死んじゃうよ」
「……ッ!?
んじゃ何のために俺はこの森へ……
初代国王が食べたっていうのも所詮は物語だけの話だったていうわけか……
くそ、やっぱりそう簡単に強くなるような甘い道はないってことだよな………」
子供の言葉に絶望し、唇を噛みしめ思わずこぶしを握りこみ。
「お兄さんはそんな弱くないじゃない。
その歳で猪神を撃退できる人間なんて少ないと思うよー
何をそんな焦っているの?」
「今程度じゃ駄目なんだよ、今程度じゃ…
もっともっと強くなけりゃ誰も認めてくれない…
……それに俺は魔力を扱うセンスがないからね。
魔の実を求めたのも、それを食べれば魔力を上手く扱えるようになるかもと思ったからさ。
まぁ君みたいな子供にこんなことを言っても分からないかもしれないな」
「ふーん、よく分からないけどお兄さんはもっともっと強くなりたいんだね。
そしたら良いものあげるよ。はいっ」
そう言って何か赤黒い液体の入った小瓶を大和に放り投げた。
「おっと、なんじゃこりゃ?」
「もし気が向いたらそれ飲んでみてよ。僕が調合した特別な薬さ。
まぁ強壮剤の仲間だと思ってくれればいーよ。
それを飲んでどーなるかはお兄さん次第。
ちょっと見た目はグロテスクだけどこの森に入ってくるぐらいならそれを飲むくらいどーってことないでしょ」
「薬?いやいや、こんなわけのわからんものをはいそーですかと言って飲めるか!
それにお前は一体何者なんだよ!?」
「ふふふっ、強さを求めているならお兄さんはきっと飲むよ。
それに何者って言われてもねぇ。
僕は物心ついた時からこの森で育っているからね。
自分が何者かなんて分からないよ」
「生まれ育ったっておまえ……
ここは通称“死の森”って言われてるんだぞ!
一体どうやっ……」
「おっともうおしゃべりの時間は終わりだね。その光に向かって歩くともう出口だよ」




