10話 大和、猪との戯れ? その2 の巻
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……
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ブシュッーーー!
さながら西部劇の決闘のようにお互いそのまま見つめあうこと数十秒が経過したとき、
今まで溜めた力を爆発させるように猪が大和に向かって突撃した。
(きた…落ち着け!
早く避けすぎても猪に方向転換されるだけだし、遅すぎたら避けきれずくらってしまう。
その間合いの見極めがこの勝負の肝だ!)
これに失敗すれば“死“が待っている。
この状態が大和の集中力を極限まで高め、先ほどまでは気圧されていた猪の突進を俯瞰することができた。
そしてその突進に対して左手を前に出し、その手に猪の牙が触れる直前に左足を軸に体を回転させその突進をいなし…
“バキャッ!!”
いなしながら猪の側面に回り込み右足を震脚で踏み込むーーー
「おらぁぁぁ!!!」
“ドゴッ!!!”
そのまま右肘を引き、猪の心臓めがけて撃ち抜いた。
『富士山流 頂肘撃 廻し独楽』
回転による勢いと震脚による大地の力を利用し、通常の数倍の威力に高めた肘打ちである。
流石の猪も突進の勢いを逸らされ、真横からの鋭い一撃には耐えることはできずそのまま大木に激突した。
「や、やったか…?」
タイミングは完璧、その体に残る手ごたえも会心のものであったと確信する。
文字通り今持てるすべての力を込めた全身全霊の一撃であったが、果たしてこの巨大な猪に効いたのだろうか、このまま気絶してくれることを祈り警戒しながら様子を伺う。
……数秒が経ち、動くことのない猪を見てようやく安堵し腰を下ろした。




