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ファンタジー・プロフ

世界のどこかの扉の前で

作者: 久賀 広一

たぶん、私が住んでいる国の中で、誰もが勘違いしていると思う。


お城、宮殿などによくいる『衛兵』という職業は、ザコなのだと。

市井しせいにいる子供たちは、ときどき英雄気取りで兵士をバッタバッタと倒してみせるマネをする。


悪事を働く重臣などを、懲らしめる遊びをしているようだ。


ふんっ。

しかしそれは、大いなる無知というものなのだ!


私たち衛兵は、『国』の中でも特に重要な、高貴な方々や施設、なくなれば国家の損失となりうる、稀有な宝物をつねに守っている。


つまり、人間の文化としての中枢を守護していると言ってよい。

それをーー


「あんっ!」


それを……


「あっ、すごいぃ」


「おい、レガード。お前さっきから何ブツブツ言ってるんだ? 確かに、この任務はくだらない。国王末子の、ろくでもない”ヤリーナ”殿下の、火遊びの番兵なんてな。だが……」


「ああ、分かってるよ」


私、レガードは、王宮の奥まった部屋の前で姿勢を正した。

「チップが破格に出る」


待機、休憩時間を取られることになるが、それこそ普段もらっている一日の給与の倍近くの賃金が得られるのだ。


ううん……


快楽にむせ返るような女のため息がしたかと思うと、部屋は静かになった。

どうやら、ことは無事に済んだようである。


「ここからが、王子はけっこう長いんだよな……」という相方の声に私はまた頷き、休憩時間の終わりを思う。

部屋の中にいるヤリーナ殿下は、同じ女性を二度呼ぶことはないぶん、なかなかにアフターケアもこまめな、酷いのか優しいのかよく分からない美男子なのだ。


「ーーふう」

しかし、なぜ私がこんな他人の精液をかぶるような屈辱を味わっているかと言えば、それは目指すものがあるからである。


ーー何を隠そう、私”レガード”は、近衛このえ兵を目指しているのだ!


それは、自分たち衛兵にとっての憧れ、軟弱な爵位だけの貴族騎士などにはけっして務まらない、本物の武勇と、国家への忠誠心を持つものだけが許される職業なのだ。


幼いころ、私は軍の行進で彼らを見てーー


「貴様らあ! 何をしている!?」


夢見がちに廊下の遠くを眺めていた私に、いきなり怒声が浴びせられた。

目の焦点をハッと戻せば、両肩をこれでもかといからせた、廊下を狭く感じさせるほどの巨漢がこちらにやってくる。


ヤ、ヤバイ!

「おいレガード、あれは第2王子の、キッカリ殿下だ! とんでもないことになるぞ!!」

相方はそう言うが、今さら私にどうこうできるような事態ではなかった。


どうにか足を止めようと前に進み出たが、巨漢王子に片手で廊下の壁に押しのけられ、死守するべきドアを開けられる。


「ヤリーーナ!!」


怒声は、宮殿の奥から中央会議場までつき抜けるような響きで伝わっていった。


「……貴様はまた、公務を抜け出して下働きの女中などと……

王族の風上にも置けぬわあ!」

「いや、キッカリ兄者。前から言ってるじゃないか。俺は国王末子さ。もともと、大した責任もない、風下の産まれなんだよ」

「屁理屈を言うでない!」


キッカリ王子の怒りは、収まるわけがなかった。

今度は、火花が散るような視線を、こちらに向けられる。


「そこのーー確か、レガード!!」

おおう!? 私みたいな一兵卒(いっぺいそつ)の名前を、よく憶えておいでで!


「前にも、貴様には言ったであろう。ヤリーナの遊びに手を貸すでないと! それでも、国の威容が試される番兵のつもりか!!」


きついお叱りだが、私にも言い訳したい部分はある。

そもそも、キッカリ殿下がいつもそばにおられるなら、私にだって断ることはできただろう。


だが、兵たちの控え室にいつもそっとやって来る、第6王子ヤリーナ殿下に「また頼むぜ」と女性なら腰砕けになるような笑顔でささやかれれば、平民などに首はふれないであろう。


ーー貴様、たしか身上調査書に『近衛兵志望』と書いておったな。

うぬのような輩には、とてもではないがその重責は担えん! 此度こたびの失態で、将来の叙勲、昇進は一切望めぬと思え!!


ボーッと言い訳を考えていた私は、その重大な発言を聞き逃してしまっていた。

……そして、しばらく経ったのちに、王子二人が去り、残された女がそそくさと消え、同様に”警護”していた同僚に声をかけられ、我に返ったのである。


「何か……いま大変なことを言われたような……」

「ああ」

さも残念そうに、同僚は続ける。

「まったく恐ろしいことだな。お前はこれからどんなに頑張っても、近衛兵になるどころか、褒章ほうしょう一つ与えられることはない。ま、人生は長いんだ。ボチボチやればいいさ」


「いや!」

私は何を言ってるんだ、という風に相方をふり返る。

「お前は!? 何で同じことをしてたのに、私だけが罰せられなければならんのだ!? お前の昇進予定は、無傷なのか?」


それには答えにくそうに、彼は項垂うなだれる。

大きなため息をついたあと、語ったのだった。


「たぶんお前ーーレガードは、キッカリ王子に認められていたのかもしれんな。仕事を実直にこなす、しっかり者同士だから、どこか通じ合うものがあったのかもしれん。俺は適当なところがあるから特に注目されてもいないが、お前には目をかけようとしていたぶん、裏切られた気になったのかもな」


「ただの八つ当たりじゃないか!」

「いや、人間てそんなもんだろ」


『バッカヤロオーー!』


私の叫びは、無人の宮殿の奥深くへ、こだまして行ったのだった……。







そこからの自分の人生は、誰よりも暗いものになると、私は信じていた。


まさか、それが大河的な何か、波瀾万丈な生涯に繋がっていくとは、思いもよらなかったのだ。


だって、そうだろう。

いくら真面目が取りだったとしても、前途などまったく見えない状況で、日々の勤務をこなすのは簡単ではない。

だから、当時28の若さだった私の人生は、一度そこで終わったのだ。


そして、悟りを開くことになったのである。

「……了解。私の命運は、一度尽きたんだ。いま生きているのは、ラッキーに過ぎない」


そのように結論づけなければ、生きていけなかったと言ってもいい。


レガードたる自分は、どちらにしろ淡々と衛兵としての生涯を全うすることしかできないのだから。


たとえ昇進はなくとも。

私はまた、仕事に打ち込む日々を始めていったのである……







転機が訪れたのは、その五年後だった。


王宮の離れに住まう、第二王妃の親族ーーつまり外戚者の警備にあたっていた私は、その日、富豪の客人を迎えるためににぎやかし要員として、玄関の前に立たされていた。


そのころ、脂の乗っている年齢だった私は、とても凛々しかった。

いや、自分で言ってて「バカか?」と思うのだが、おそらく他人にも何度か言われたことがあるから、衛兵としてはなかなか見映えのいい人間として人目ひとめに映っていたのだと思う。


やがて、華やかな馬車が屋敷の車寄せに入って来たときも、私は列の端で微動だにしなかった。


屋敷の奥方の友人、そしてその娘と思われる女性が、大層な歓迎ムードで出迎えられていく。

その二人が馬車を降り、皆で盛り上がっているところで、事件は起こった。


客は、あと一人いたのである。

まだ成人して間もない年頃の、富豪一家の末娘だった。

予定外に引っぱり出されての来訪だったので、歓迎ホストがわの執事たちもその存在を把握しておらず、皆の視線が先に降りた二人に集まっているところで、彼女(末娘)は座席から立ち上がった。


危なっかしい足つきだと、私と馬車に乗ったままだった御者だけが、その女性を見ていた。

案の定、地面に降りる前の踏み台(ステップ)でよろけ、周囲の視線が集まるころには、もう倒れるのが予想されるほどにはバランスを崩していた。


私は離れた場所に立ってはいたが、すでに動き出していたので、どうにか彼女を助けられそうだった。


……ただ、かなり際どい救助になってしまったが。


「キャッ!」

「!」


その場の全員が目を覆い、助けた方が赤面するようなロマンス絵巻のような抱き合いで、二人は地面に倒れ込んだ。

むろん、ベタに下敷きは私である。


「リース!」

「リース様!?」


様々な声が錯綜し、あわただしく人が行き交ってゆく。

「大丈夫ですか!」

「おい? レガード!」


同僚の声が近くでし、目をゆっくり閉じたあと、私はどうにか身を起こしていった。

彼女ーーリース様は、どうやら無事のようである。


始めは呆然としていたが、しばらくすると男に腕を回されていることを理解して真っ赤になって立ち上がり、母たちに迎えられている。


衣装はすこし汚れてしまったかもしれないが、それよりもむしろ、私の方が宮殿にいるときの盛装でなくて良かった、と思った。

分厚い鎧を着たままだと、よしんば助けられとしても、倒れる際の衝撃は彼女にもろに伝わってしまっただろう。


さらに戸惑いを見せながら、かすかにこちらをうかがう”リース様”をよそに、私はまた元の定位置へと戻っていったのだった。


玄関(わき)に並ぶ端役として、なかなか良い仕事をしたと、私はひとり満足していたのである……。







それから数週間後、彼女の家ーー『マイヨール財閥』から婚礼を打診されることになった私は、上官の執務室で、脇にかかえたかぶとを取り落とすほど驚いていた。


「なんだ……? 昇進のチャンスすらもう与えられないのに、さらに降格とかいう話じゃないだろうな」


と上官に呼び出されたため、思いきり警戒していたのだ。

まさかそれが、逆玉の御輿みこしが用意された、しかも拒否が許されない婿入り命令だとは、思いもよらなかった。


厳かな机の向こうに座ったまま、壮年の上官は言ったものである。

「ああ~。お前は、これまで大変よくやってくれていた。しかしまあ、自分でも分かっているだろうが、もはやこの王宮でお前に未来はないのだ。

……兵の運用にとくに厳しい、キッカリ王子に嫌われておるからの。

ーーうむ。そんなわけで、我が国の信仰する『ビュイック神』からの、大いなるお告げかもしれぬ。

”お前は、どうやら別の道をゆく人間である”ということが、ここに証明されたわけなのだ」


そんなことを上司に言われるが、とうてい理解できるはずもない。

なんとか訳の分からない事態から逃れる願いを申し出たが、わがサンマルスの数分の一もの富を有するマイヨール財閥からの願い(命令)を無視することなど、兵卒には不可能である。


もし断ろうものなら、暗い地下の武器庫で一生コシコシ槍磨きすることになるぞ! と脅され、私はその場にくず折れたのだった。







ーーもちろん、悪い話ではなかった。

というか、変に仕事に対して頭が凝り固まっていない男なら、諸手もろてを上げての万歳をするところである。


逆玉の輿。

しかも相手は、自分より10以上も若く、好みの年相応な美人ではないにしても、フワフワとしたマシュマロのような可憐な乙女である。

ほぼ犯罪であろう。


そもそも、何故私などに白羽の矢が立ったのか?

まずそこを説明せねばならないのだが、それもけっこう面倒くさい話なのである。


……ぶっちゃけまあ、彼女の上には三姉妹がいて、どれも実業家系としての血を濃く受け継ぎ、人の上に立つ人間としては超一流だったが、男や結婚にはまるで興味がなかったのだ。


父も仕事人として優秀だったが、娘らはその比ではなく、ゆえに「頼むから子供を産んでくれ。ワシはもうすぐ引退の歳じゃ。このままでは、孫に何も継がせることができん」と泣いて頼んでも、まったく取り合ってもらえなかった。


娘たちに言わせれば、「後継ぎなんて、まだ興味ない。そんなもの、叔父さんとこのとっちゃんボーヤにでも継がせればいいわ。それよりも……私たちがほんの数ヵ月間全力で働けないだけで、どれだけ利益が無駄になると思ってるの?」


という、仕事の鬼の返事である。


事実、その三姉妹は、繊維、鉄鋼、金融において、それまでマイヨール財閥が築いてきた総資産を、320%に爆発加算させるという、とてつもない偉業を成していたのだ。


そんな子を持つ父にとって、もう最後の頼みは、歳の離れた末娘しかなかった。


”リース”だけは、姉たちでやり過ぎた幼少期からの帝王学教育をやめ、自然な教えで、健やかに育てることができたのである。



……ただ、最大の誤算は、どんな見合い相手を用意してもうなずかなかった娘が、どこかの馬の骨としか思えない、王宮の兵卒に恋してしまったことなのである。




「……ふう」

レガードは、ため息をついていた。

どうやら、今回のことは、年頃の娘に時々ある、思い込みからくる恋(わずら)いによって起こった騒動である可能性が高い。


そしてリース嬢の父親が、いま猛烈に孫を欲しているという状況から、「もうこうなったら馬の骨でもいい。とりあえず一人目の男子だけは早く」という焦りで、私は逃げようもない結婚を迫られたようなのであった……。








「ダメだ……。自分は王宮兵士として、やはり失格だったのだ……」

その半月後、私は、まるでストロベリーとレモングラスを足したような匂いのする上級ベッドで、まくらに突っ伏していた。


つい先ほど、なるべく優しく大切に、リース嬢の上にかぶさっていたばかりである。

どこぞの弾力があって引き締まった町娘と違って、「骨があるのか!?」と思えるほど彼女の身体は柔らかく、また行為に及ぶほど、その肌からは甘い匂いが漂っていったのだった。


この子は……!

もしかして魔性の身体!?


大きなベッドの横でまだ荒い息を吐いているリースを見て、私は新婚初夜を見事にやらかしてしまったことに気づいたのである……。

しかしまあ、ここまで来て後戻りなど、できるはずもない。

痛みのせいか、少し身体をこわばらせた彼女の肩に手を回すと、わずかに寄ってその髪をゆっくりと撫でていったのだった……



リースの父親が望んでいたのは子供だが、むろん私としては、精子提供機(専用)としてこの家にやってきたわけではない。


もちろん、相手方としてはそれで悪くないのだが、それでは私が良からぬ立場に置かれることになってしまうのだ……。


ーーなぜならば。

逆玉の輿(こし)


言い換えれば、ただのヒモだからである。

しかも、私が婿養子に入った家は、わがサンマルスでも1、2を争う富豪一家なのだ。


史上最高のヒモ。


そんな言葉が、周囲から密かに投げかけられていることを、私は知っていたのである。


……うむぅ……。

几帳面な自分としては、それがあまりに屈辱だった。


まだ、子を産むという、大変な仕事を成す女性ならば、あとは家庭に入って「さあ幸せになろう」と、幾分嫉妬に迷惑しながら微笑みでやり返し、次世代のためにやっていけたのかもしれない。


いや、”幾分”などではなく、悪辣あくらつな親族郎党からいじめを受けながら、どうにか自分の領土を築いていく生活を成さねばならなかったかもしれない。


……しかし、私は男である。

何か家庭とは別に、集団文化に貢献するものを築き上げねば、本当にただの穀潰ごくつぶしで終わってしまう可能性を孕んでいたのだ……。


「何!? ーーう~ん。君は、そんなに仕事がしたいのかね? 変わってるなあ……」

「いや、お義父さん。もともと私は、王宮の衛兵だったんですよ? たとえお金に困らない生活になったとしても、この国に尽くす覚悟でやってきた働きを、姿勢を変えることはできません」


一人目の子の懐妊が確認されると、私はそんな思いを養父へと伝えたのだが、まあある程度予想していた通り、こころよい返事はもらえなかった。


そんなことより、あと3人ほどは子供を作ってくれと、婿養子の仕事は朝、昼、晩とマムシドリンクを飲むことに決まったのである……






もし、人生の仕事において、継続より成否が大切にされる愚かしい習慣があるとしたら、私はおそらく大成功した人間ではないかと思う。


あのあと、見事に養父の要望どおり子供を三人仕込むことができ、マイヨール家の服飾アパレル部門の統括責任者として、社会復帰することができたのであった。


親族経営の、突飛とっぴなデザインで売れたり売れなかったりしていた ぬるま湯経営を、町人の要望に合わせて作った服で、手堅く利益を生み出していく会社へ変貌させていったのである。



……まあ、何を隠そう、そこのデザイン担当だったのが、父親に甘やかされて育った、わが妻リースだったのだが……。

のちに私の実母(庶民)などとも交流することとなり、市民感覚を取り入れた彼女は、時おり爆発的に売れる服をいくつかデザインすることができたのだった。



……ふう。

私は、まさに今、さる出版社に頼まれてこの自伝を書くに至っている。

どうやら、町人からのポッと出の私が、国家有数の企業の一つを取り仕切っていることは、市井しせいの民の成り上がり物語として、多くの人に求められているらしいのだ。


……だが。

私はあえて、そこに異を唱えたいと思う。


”そうではない”と。


ーー人はよく、己の歩んでいる道と、他人のものを比べたがるものである。


「あいつは成功した」「それに比べて自分は」などと。


そして幾らかの人間は、周りをいつもうかがって、羨むべき存在を見つけ出し、自分の指を噛んでいる。


仮に……そうだな。たとえば私が、いまの妻と出会えず、ずっと昇進することのない衛兵を続けていたら、どうなっていただろうか。


みじめで情けない、後悔するような一生を送っていたのだろうか?


……何度もこれまでに告げてきたことであるが、私は几帳面な人間である。

もし、昇進することがなかったとしても、その職務の重大さ、守っているものの大きさから、やはり仕事で手を抜くことはできなかっただろう。


ーーそして、やがて”惨めな”定年退官の日を迎えたに違いないのだ。


”ああ、たしかに人から見れば、冴えない人生だったろう。でも俺は、40年間、俺なりに精一杯やったんじゃないか”と。


衛兵の給料は、町人と比べてもそれほど悪いものではないし、どこかの町娘でも妻に迎えることができて、「長い間お疲れさまでした」と引退する時には言ってもらえたかもしれない。


だから、私は最後に、これだけは告げておきたいと思うのだ。



……自分の人生はきっとーー自分でやれること、力を尽くせることから逃げなかった人間はきっとーー他人には分からない、手のひらで確かにつかむことができる幸福を、必ず(・・)手に入れられると思っている。


年寄りくさい話だが、今よりずっと以前、私は”誰か”のとびらの前に立ち続けた。


そして幸せは、その夢のような別世界の何かからもたらされるのではなく、ただ自分の場所で、己のできる範囲で力を尽くした道をふり返ったとき、得られたように感じたんだ。


つまらない成功物語で悪いね。

結局、私は衛兵という一生でも、それなりに満たされたんだと思う。

自伝のタイトルは、『周囲の声をきちんと聞きながら、あなたが自然と歩んでいる道は、必ず成功につながっている。他人の評判の上に自分の幸せはなく、ただあなた自身に、ちゃんと幸福は生まれていく』。


ーー表題が長すぎて、内容が平凡すぎて本が全然売れなかったとしても、私はきっと成功者である。










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