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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
黒の騎士団殲滅計画
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ヒーロー誕生


「例の生物兵器の出来は素晴らしいな・・・。」


「ああ・・・これならば、スペード王国はいくらでも出してくれるだろう!!」


「くくく・・・従業員全員一生遊んで暮らせるな・・・!」


「孫の代までなっ・・・!ガハハハハ!!」




・・・下品な笑い声だ

あの子から、ボクを奪い去って


あの子は毎日毎日

友達の生物兵器と戦って


その体と心をズタズタにされているというのに



・・・あの子のおかげで僕の中身は空っぽだ

だけど虚無とは、とても楽なものだ


空っぽだからとっても軽い

重荷になるものすら何もないのだ


怒りもない、幸福もない


あるのは深い悲しみ、苦しみだけ・・・。



初めからなければとても楽だ・・・だけど。




「・・・明日はおれらがたたかうのかな・・・。」


「ぼくいやだな、きみとはたたかいたくないや。」


「おれも、お前を殺したくはないよ・・・。」




あの子は違う・・・あの子は無限なのだ


嬉しさも喜びも愛しさも

怒りも苦しみも悲しみも


その身に無限に溜め込んでいるのだ。



ボクには想像しかできないけど・・・。

とっても、辛いのだろう。



あの子はボソッと一人で呟いた。




「おれ・・・もう・・・こんなところ嫌だ・・・。」




そしてあの子は

思い至ってしまったのだろう。




「おれなら・・・ここを出られる・・・!!」




あの子は研究所を焼き払い

従業員も皆殺しにして


一人、誰もいない森を駆け抜けたんだ。




「俺は自由だ!やったぞ!俺は自由なんだ!」




無限の君には

ゴールなんて何処にもないのに

ただ走り続けて



「どこまで・・・走ればいいんだ・・・俺は・・・俺は・・・。」



このまま君は崩れ去っていくの?

脆い脆い君はこのまま朽ち果てていくの?


そうだ、そうしてしまえばいい


そうすれば僕と同じになって

とっても楽になる・・・!!




だけど・・・君は

あの黒猫とであったんだ・・・。




「・・・お前、何してんの?」


「村から追い出された、黒い猫は不幸を呼ぶんだって。」


「ふぅん、おまえも行く宛がないのか。」


「・・・も?」


「おれもあてもなくただ歩いてんのさ、ノライヌだから・・・良かったら一緒に来ないか?」




彼は自分を『ノライヌ』だと言った

自由気ままな野良犬に憧れて


自らそう名乗った


そうなれば僕も彼自身なのだから


『ノライヌ』となるのだろうか。




「俺さ・・・この世界の間違ってること、全部正したいと思うんだ。」


「・・・正義ってやつか?」


「それだ!おれは、ヒーローになる!」


「・・・正義は嫌いだ・・・理不尽に弱いものを虐げる・・・。」


「・・・だったら俺が、その間違った正義をぶっ潰す正義になる!この世の全てを変えるんだ!」



そんなことできるはずもないのに

正義という言葉の響きに踊らされて


独りよがりな正義を押し付けて。


自分自身に酔いしれて・・・。





そんな正義が他人に受け入れてもらえるはずもなかった。




「またあのノライヌが人を殺したらしいわよ・・・。」


「いくら相手が悪人でも殺すのはやりすぎよね・・・。」


「こわいわ、誰か駆除してくれないかしら。」


「あの乱暴者こそ、秩序をみだす害獣よっ!」



そして君は悲しくて

苦しくて・・・壊れてしまいそうになっていた。


いっそ壊れてしまえばいいのさ。


そうなってしまえば今度こそ僕と一緒だ

僕と一緒に楽になれるじゃないか。


そうだ、そうなってしまえばいい。



空っぽになってしまえばいいんだ・・・。



「俺は・・・悪者なのかな・・・。」



落ち込む君をただ見ていた


僕は安堵した


僕はやっぱり君で

君はやっぱり僕なんだと


なのに

どうして



「・・・俺にとっては、お前はヒーローだから。」



あのクロネコがそういう度に


君は救われてしまう





なんで?





どうして?








僕は誰も救ってくれないのに?



僕はただ・・・!!



ただ悲しいだけなのに

ただ苦しいだけなのに

ただ切ないだけなのに

もう消えてしまいたいのに


それすらも許されないのに!!




今までそんな感情もなかったのに

君が幸せそうにしてるから!!!




君が羨ましくなった

君が妬ましくなった

君が大好きだったのに

君が大嫌いになった


君達は間違ってるはずなのに!!!!










悲しい!

辛い!

羨ましい!

妬ましい!

愛おしい!

切ない!

やるせない!!


消え去りたい!

歯がゆい!

恨めしい!


苦しい!

苦しい!!

苦しい!!!!



もう全て消え去ってしまえばいい!!!







そして僕は誓ったんだ


君たちのその罪を

この僕自身が裁くんだと


君達二人をいつの日か・・・。




僕のこの手でひねり潰すんだと・・・。




僕はあのお方につれられて

この世界を出て行った。



虚無ぼくがいなければ無限きみは飽和をおこしてしまうだろうけど


もう僕は君を助けない。

もう僕は君を必要としない。



もう僕は君を許さない。

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