ヒーローVSヒーロー
っち・・・黒雷の野郎め
俺はただしい事を言ってるのに・・・。
なんやかんや屁理屈ぶつけてきやがって・・・ムカツクぜ!
まぁいいや・・・このイライラで相手をぶっ飛ばして
正義の為に活躍しちゃおうじゃねーの!
「・・・あれ・・・?なんもないなこの世界・・・。」
「僕が全部消しちゃったからね。」
声の方を向くと・・・犬が俺の方を見ていた。
・・・成程、しゃべる犬が相手か・・・。
「よぉ犬っころ・・・!黒の騎士団に逆らうなら!この黒炎様が叩きのめすぜ!」
「・・・君は相変わらず戦うのが大好きだね。」
・・・なんだ?こいつ・・・?
俺の事を知ってるのか?
「僕は『ノライヌ』って言うんだ・・・君もそうだったんだろう?」
「はぁ?どういうことだ・・・?」
「僕は・・・全部知ってるよ、君のことを。」
「っち・・・!鬱陶しいな!やっぱたたっ斬ってやる!!」
「君は人質を取られてるんだろう?」
・・・なんでそこまで知ってるんだ・・・。
それにノライヌって・・・昔の俺の名前だ・・・。
気味が悪いったら仕方ない!
「君の大好きなクロネコくんが、黒の騎士団に人質にされている・・・だから君は戦ってる。」
「な、なんだよ・・・!!それがどうかしたのかよ!!」
「なら・・・これでどうだい?」
目の前に現れたのは・・・。
昔ノラウサギが使ってたような・・・空中に浮かぶ水の中に沈められた
クロネコの姿だった・・・。
「な・・・クロネコ!!お前っ・・・よくも!!」
「怒ったってこの子は帰ってこないよ・・・さぁ、人質は溺れ死んだみたいだけど・・・それでも君は戦うのかい?」
「こんな事されてっ・・・!許せるわけないだろうがっ・・・!!」
俺はパワーを無限に増幅させながらノライヌに斬りかかった
この世界もろとも、時空もろとも吹っ飛ばす威力だ・・・。
それなのに、ノライヌは、刀を取り出して
それをうけきったのだ。
「なっ・・・!?こんなけのパワー・・・受け止められるはずがねぇのに!!」
「君は『無限』なのだろう?僕はね・・・『虚無』なんだ・・・全てを無に返す・・・この世界みたいにね。」
何度も何度も斬りかかるが
全て無に返され、その度にパワーを上げまくった
完全に互角でキリが無い・・・!!
「君はあの頃と何も変わっちゃいないよ黒炎・・・ただ壊すのが好きなだけさ・・・友達も、親も、みんなね。」
「なんでテメーがそんな事知ってるんだよ!!」
「ボクはキミだからね・・・。」
何言ってるんだ・・・あいつが俺?
俺は俺だぞ・・・。
「君はなんにも知らないで、君を創った親や、研究所をも壊して・・・それであの夜、森に逃げ込んだ。」
「なっ・・・!!やめろ!!なんでそこまで!お前が知ってるんだよ!!」
「そしてクロネコくんに出会って・・・正義を志したんだ。」
・・・そうだ・・・俺はあの時・・・研究所での出来事が
何もかも嫌になって・・・!!
「終着点なんて何処にもないのに、暗い暗い道をただ走って・・・たどり着いた先にはなにかあったかい?」
「・・・別に・・・何もなかったよ・・・。」
「ふふ・・・それもそうさ・・・君は『無限』だからね・・・そうなるように創られた・・・所詮生物兵器だ。」
「・・・お前は・・・?何者なんだよ・・・?」
「僕・・・?僕は『虚無』さ・・・『無限』を作るときにできた、ただの廃棄物だ。」
俺が生まれた時・・・無限の力を創った時
虚無の俺が生まれていたのか・・・。
「君の無くした『ケモノガタ』の僕は、君が引き起こした『虚無』になったんだ。だから君のことはよく知ってるよ。」
「・・・お前が・・・何者だろうが・・・正義の為に死んで貰う・・・!!」
「まだ戦うのか?黒炎、君に戦う理由なんてないだろう?」
ノライヌは、俺にジリジリ詰め寄り
俺を罵るように言葉を続けていく。
「正義の為だ?本当にそれは君の正義なのかい?黒の騎士団にただ従ってるんじゃないのか?」
「ルールを守るのが黒の騎士団の・・・!」
「他人が決めたルールが本当に正義だと思うのか聞いているんだ。それによってたくさんの人を傷つけてまで、執行する程野正義なのかと!!」
「そ・・・それはっ・・・!」
「今までは人質で言い訳できただろう?だけど今は違う!!!」
違う・・・!!俺は!!
ただ正義の為に・・・正しいことをしてるんだ・・・!!
「君は正義という言葉を盾にして、人を傷つけてストレスを解消しているだけなんじゃないか?」
「・・・違うっ・・・!」
「ただ壊したいだけの!ただ殺したいだけの欲求に従ってきただけだったんだ!」
「違うっ!!」
「違わない!皆そう思ってた!!わかっているんだろう!?そうでなければ君は周りから蔑まれて!傷ついく事もなかったはずなのに!!」
・・・そうだ・・・俺は・・・
誰にも認められなかった・・・世界をいくら救っても
俺はただの乱暴者だった・・・。
「そうだ・・・お前は何も変わってない・・・何をやってもうまくいかない・・・ただの無法者だ・・・。」
「みんなは・・・俺のこと・・・嫌ってた・・・。」
「ああ、いくら止めてもお前は我侭な正義を貫き通した・・・。なんて愚かな行為だろうか!!」
「・・・しかたないじゃないか・・・俺が、周りを巻き込んでまで、なんとかしないと・・・街は大変な事になるんだぞ?」
「そうだね、君がいくら頑張っても、わからず屋のせいで君はいつも悪者だ・・・。」
そうだ
その通りだ
全部アイツラが悪いんだ
俺は悪くねぇ
お前らの為に頑張ってるのに
人を悪者扱いしやがって・・・。
「何が善で、悪か・・・僕はもう・・・何もわからなくなってしまったよ。」
「・・・俺もだよ・・・。」
「そうかい、それはいい。なら・・・もういっそ・・・僕と一緒に、狂ってしまえばいい・・・!!」
こいつの言うとおりにしてしまえば・・・。
・・・そうすれば
俺は・・・この無限に広がる長い長い苦しみから・・・。
解放されるんじゃないかって
そう思ったんだ・・・。
アイツが出す虚無は徐々に体を蝕んでいって
走馬灯のように昔のことを思い出していた・・・。




