反逆の兆し
「ただいま帰還しました・・・リコ様。」
「・・・おかえり・・・クリス。」
「どうしました?元気がないですね・・・。」
「・・・ああ。」
そりゃあ、元気もなくなるさ
タイヨウに悲しい思いをさせてしまったんだもの
ニコに襲われて、しかも原因不明の発火事故にまで巻き込まれて
タイヨウは、心を傷めてしまった・・・。
一連の事件の記事を見ながら
クリスは納得したように言った。
「・・・太陽はサラマンドを取り戻したのか。」
「クリス、何か知っているのか?」
「いえ、何も。」
「そうか・・・?それにしてもクリス、おしゃれなマントだな。」
「はい・・・腕を失ってしまいまして。」
「なぁ!?」
クリスが腕を!?そういえばさっきから
左手で全て行動している・・・!!
クリスは、右利きだったはずなのに・・・!!
「い、いたむか!?クリス!?」
「・・・いえ、治療はしてありますし。ない腕は痛みません。」
「あ・・・ああ、そう・・・だな。」
「部屋で一人にさせてもらってもよろしいでしょうか。」
「・・・わかった・・・。」
やはり・・・戦争は、大変なんだ
あのクリスが腕を失うなんて・・・。
ボクは心配になって、こっそりクリスの部屋を覗くことにした。
い、いや・・・悪いことなのはわかってるし、姫として少々下品かもしれないが
心配なものは心配だから・・・。
クリスは誰かと話しているようだった
誰だろう?相手が見えない・・・。
「君の言いたいことはわかったよ・・・僕もその話に参加しよう。」
「アリガトウゴザイマス、クリスサン・・・もう一人も貴方の所に来ると思うのデスガ。」
「ああ・・・彼女はぼくが説得するよ。」
「頼もしいデスネェ。」
あとちょっと・・・あとちょっとで見える・・・。
くっ・・・もっと覗き穴を大きくしておくのだった!
「これで戦争の無い世界を作れるのなら僕は・・・。」
「フフ、作れるといいデスネェ、そんな世界が・・・。」
・・・!!見えた!!
・・・って・・・え?
「う、うさぎ・・・?」
「オヤ・・・のぞき見とは趣味が悪いデスヨ?お姫サマ。」
「・・・聞いていたのですか、リコ様。」
その男は、兎のような・・・耳と尻尾をつけていた・・・。
こいつ・・・人間・・・?
「お察しのとおり、悪魔です・・・名前はシロウサギです。」
「シロウサギ・・・?」
「・・・リコ様・・・この方は、私のなくなった腕に・・・これを授けてくれたんです。」
そう言って見せてくれた腕には・・・真っ黒い・・・宇宙をそのままもってきたような
腕の形の何かがくっついていた。
「ボクの能力じゃアリマセンケド・・・それはダークマターです、素敵な能力も使える素晴らしいモノですよ。」
「ど・・・どういうことなのだ・・・?」
「・・・私はこの方達と一緒に、最後の戦争に向かいます。」
「さ、最後の戦争・・・?」
「この戦いが終われば・・・世界から戦争など無くなってしまうハズなのです。」
「ど、どういう・・・。」
ボクには、クリスが何を言っているかわからなかったケド
遠くに行ってしまって、もう二度と帰って来ない気がしたんだ
「許さんぞ!クリス・・・!!僕を置いていくなんて!!」
「心配ありませんよ姫・・・あなたには太陽がいます。」
「太陽は・・・か弱い弟なんだぞ!」
「・・・もう彼は気づいてしまったはずですよ・・・もう、か弱い弟ではない、ということに。」
その無表情な目には確信があった
なんだか、ずっとずっと昔からの知り合いを紹介するかのような顔だった。
「太陽なら、貴方を・・・この国を、守ってくれますから。」
そう言って、クリスは・・・旅立ってしまった
そして、二度とボクは彼と会うことはなくなった・・・。
「ちょおっと待ったァ!」
「キマシタネ、黒病サン・・・。」
「はぁ!?なんであんたが私の名前を・・・!!」
「・・・ボクの話を聞いてくれないか?黒病・・・。」
「な、なんだって言うのよ・・・!!」
「黒の騎士団を潰さないか?」




