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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
星屑姫ースターダストプリンセスー
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微笑みの影

ボク等には、『表情』が一つしか無い

困った顔の奴はずっと困ってるし

泣いた顔の奴はずっと泣いている


だけど、王族と・・・タイヨウだけは


色んな表情を持っていて

『完成』された存在だった。



「・・・アリガトウ、ニコ・・・オレ、スベテオモイダシタ。」


「お人形さんの役に立てたんなら、僕はそれで十分さ。」



僕は人形屋


皆ができない『表情』を

ぬいぐるみや人形で表現する


それが僕の、仕事・・・生きがい。


だけど、人形もぬいぐるみも

持てる表情は一つだけ

それが悲しくって悔しくって僕は


毎日毎日、大笑いしている。



「アハハ・・・ヒドイや、神様・・・僕らも、人形も・・・どれだけ頑張っても!完成なんてしやしない!!」



どれだけ神に問いかけても

返事がくることなんてない


それでも


それでも・・・!!



僕は完成が見たくって



タイヨウや、王族みたいな

完成された存在が作りたくって


ボクだって、ボクダッテ!


完成された存在になりたくって!!




「ククク・・・クハハハハ・・・!!ヒャハッハハハッハハハ!」




辛くて辛くて大笑いしながら

僕は色んな人の『表情』をハサミで切り取った


それを縫い合わせてぬいぐるみをつくった

気持ち悪くて、笑いが出る。



「フフフフ・・・ダメだよぉ、こんなんじゃ・・・綿の代わりを探さなくっちゃ。」



お城の兵隊がいっぱいいたから

兵隊さん達が持っていた大きな『針』で兵隊さんたちの『心』を貫いた


そして僕はそれをえぐりとって、皆を縫い合わせた


色んな表情や色んな心を縫い合わせたら

完成された存在が作り出せると


思ってたんだ・・・なのに・・・うまくいかなくて


一人で笑ってたら・・・タイヨウが、ボクの秘密の部屋にやってきたんだ。




「・・・あ!ニコ・・探してたんだよ・・・!」


「・・・タイヨウかい?ダメじゃないか、お城から出てきちゃぁ・・・。」


「あのね。ニ・・・。」




ぬいぐるみを見たタイヨウは、一瞬にして

表情が恐怖に支配された


そう・・・これだ!これなんだよ!僕の表現したい作品は!!




「・・・ああ、これかい?あたらしいぬいぐるみ・・・綺麗だろう?」


「えっ・・・あっ・・・あの・・・。」


「僕には無い、色んな『表情』を縫い合わせて作ったんだ。」


「なんっ・・・なんで・・・。あっ・・・ひゃぁ・・・!」


「ふふふ、ダメじゃないかタイヨウ・・・いくつになって、お漏らししちゃってるんだよ。」



恐怖に怯える太陽が愛おしくて、羨ましくて

恨めしくて、ボクは、嫉妬に狂いそうだった。


ああ、なんて素晴らしいんだろう!完成された人間は!



「ふふ・・・羨ましいなぁ、その『表情』・・・ボクだって、笑った顔以外もしたいんだよ?太陽?」



ボクはそう言って、持っている針で、タイヨウの首筋を

つつぅ、となぞった。


タイヨウは涙を流し

僕に謝るんだ。



「ぁっ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。」


「あはは・・・可愛いよタイヨウ・・・その恐怖に染まった顔・・・!!」



ボクなんか、どんなに怖くても

笑い声しか出せないのに



「やぁ・・・ニコぉ・・・なんで、こんなこと・・・。」


「僕も・・・君達みたいに・・・『完成』したかったんだ・・・。」



僕はタイヨウを縛り付けて

この子も素材にしてしまおうと思った。



「ふふ・・・ははは!表情を持つ君を使えば、ボクにも表情ができるかな・・・!?」



初めから、完成された素材を使えば

完成された作品に近づくと思ったんだ。


こんな子供を殺してまで


ボクは理想を叶えようというのだ

それすらも叶うかわからないのに・・・。


情けなくって情けなくって

笑い声が出る。



「ふっふふふ・・・あっはは・・・!!アハハハハハハ!ヒャハハハハハ!!!さよなら!タイヨウ!!!ヒィヒヒヒヒヒ!!!」



振り下ろしたハサミは

溶けてなくなった。


僕の腕は大やけどだ。



「んー?・・・ふふ・・・くくく!!痛い!痛いよぉ!!タイヨォ!!アハハハハ!!!」



「・・・サラマンドっ・・・!!」


「アハハ!すごいやぁ!タイヨウ!!熱い・・・アツイヨッォ!!キィヒヒヒ!!!ヒャハハハハ!」




タイヨウの近くにいるのは・・・

炎の・・・トカゲかな?


いや、これは龍か・・・?



「まるで・・・神話に出てくる、『炎の勇者』みたいだよ・・・!!アハハ!!インベイダーは強敵だったかぁい!!タイヨオオォ!!」


「これ以上・・・ニコのそんな姿は見たくない・・・!!」



本当に神話に出てくる

大昔活躍したっていう


炎の勇者みたいに


タイヨウは炎の動きを操ってるみたいで

その炎は部屋をぐるぐる回っていって。



「焼き尽くせっ・・・!サラマンド!!!」



炎が火柱となり

ボクに襲いかかった・・・。



「ヒャァァハハハハ!!アツイ!アツイヨォ!!ヒッヒヒヒヒアアアアハハハキャアハハァ!!」



そして僕は・・・暑さで意識を失った。












「・・・ここは・・・。」


「牢獄病院ですよ、ニコさん。」



牢獄病院・・・そうか、捕まったのか、ボク


当たり前か・・・たくさん人を殺したんだったな。



「クク・・・ウッククク・・・。」


「・・・何を笑ってるんですか?」




何って・・・そんなの・・・

決まってるじゃないか。




「ウッフフ・・・悲しくって、笑ってるのさ。」

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