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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
星屑姫ースターダストプリンセスー
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小さな太陽

目が覚めると僕は

初めて見る所にいた


上を見ると、青い何かが広がっていて

周りを見ると、大きな箱のようなものがたくさんあって


その中には人がいるみたいで

箱の外にも、人がたくさんいた。



「・・・やぁ、どうしたの?この辺じゃぁ見かけない顔だね?」



ニコニコ笑っているその人は

僕に何か話しかけてきたのだが


その意味は解らないし

声の出し方も解らない



「・・・ぅ・・・ぅあ、ああ・・・。」



良かった、声は出た

でも、言葉がわからない


とても大事なものだった気がする。



「・・・!!君、言ってること、わかるかい?」


「・・ぉあ?・・あ、ぅぅ。」


「ううぅーん、そうだ、僕は怖い人じゃないよ?ホラ!これは僕が作ったぬいぐるみ!」


「・・・!!あぁ!!」



なんだか、よくわからなかったが

なんだか嬉しくなって


僕も笑顔になった・・・。



「・・・!!これはっ・・・!!」



ニコニコしたまま一切表情を変えないその人は

声の出し方から察するに


多分、驚いていたんだろう・・・。




僕は白い箱の中に連れて行かれて

ニコニコした人と困った人が話をしているのを

意味はわからなかったけど、ただ聞いていた。



「・・・記憶喪失みたいですね・・・。」


「ですよね・・・どうしましょうか?」


「・・・ここの人間かもわかりませんし・・・言葉を教えるところから、入りましょうか・・・。」



しばらく意味のわからない言葉の羅列を聞いて

他の白い箱に入れられて


ニコニコした人と二人っきりになった。


ニコニコした人は、自分を指差しながら、こういった。



「ぼく。」



・・・?

次に、僕を指差して、こういった。



「君。」



そして、もう一度・・・自分を指差して

こういった。



「僕 は ニコ。」


「・・・ボク?」


「そ、僕はね、ニコって言うんだ。」


「・・・ニコ?」


「そう!僕、ニコ!」


「・・・ニコ。」



どうやらこの人は、ニコという名前らしい

なんとなく、理解できた。



「君、は?」


「・・・きみ?」


「僕、は、ニコ。君、は?」


「・・・タイヨウ・・・。」



タイヨウ・・・多分、僕の名前

これだけしか覚えてなくて

それすら自信がないけど


きっと、僕は、タイヨウ。



「よかった!タイヨウ!名前は覚えてたんだね!」



ニコに頭を撫でられると、なんだか嬉しくなった。

それから、ニコは、僕の手を引き・・・色んな言葉を、教えてくれた。



「あれは、家だよ。」


「いえ。」


「あれは、空!」


「そあ。」


「はは・・・そ、ら。らだよ。」


「そ・・・ら。」


「言えたね、偉いよタイヨウ。」



青くて広いのは空だった

人が住む箱は家だった。



僕の見る世界にはちょっとずつ名前がついていって

ニコに教わってちょっとずつ、言葉を覚えていった・・・。
















一週間位で、少し会話もできるようなった。




「ニコ、お腹すいた。」


「・・・ん、もうこんな時間か、お昼にしようか、タイヨウ。」


「おひるにしようか。」



ほとんどオウム返しだが

気持ちくらいは通じるようで


・・・それでも、ニコ以外の人はちょっぴり怖くて

僕はニコの家から出られなかった。



「今日もお散歩いこう?」


「・・・いや。」


「あはは・・・やっぱり・・・人が怖い?」


「ニコ、笑ってる・・・他の人、笑ってる、ない。」


「ああ・・・君には難しいことかもしれないけど・・・ちゃんと話しておくよ。」



ニコはやはり笑った顔を一切崩さずに

本をたくさん持ってきた


絵がいっぱいの本だ。



「いいかい、僕らは、生まれた時から『表情』をひとつしか持っていないんだ。」


「ひょうじょう。」


「そ、わらったり、おこったり、かなしんだり。」


「ニコ、笑ってる。」


「あはは・・・そうだね・・・僕は、笑った顔しか、できないんだ。」



・・・そういえば、ニコの笑ってない顔

見たことないな・・・。



「でも、表情をたくさん持ってる人がいるんだ。」


「・・・ぼく?」


「ふふふ・・・そうだね、タイヨウ・・・君と・・・この国の、王族だけが表情をもっているんだ。」


「おうぞく?」



ニコは王様や、お姫様がうつった絵を見せてくれた

なるほど、これが王族か。



「だから・・・もしかしたら君は王族の人間なのかもしれない。」


「ぼく、おひめさま?」


「んー・・・タイヨウは男の子だから、王子様かな。」


「おーじさま。」


「まぁ・・・違うかもしれないんだけど。とにかく・・・一度お城に行ってみない?」



お城かぁ・・・ちょっと行ってみたいなぁ。

外は怖いけど・・・ニコは僕を外に慣らしたいみたいだし・・・。



「・・・いく。」


「ふふ、よかった・・・ありがとう、タイヨウ。」



ニコはやっぱり、頭を撫でてくれた

えへへ、やっぱりこれは好きだな。



「じゃあ、お姫様に言われてるぬいぐるみ、仕上げちゃうから・・・それ終わったらいこう?」


「うさぎさん?」


「そうそう・・・うさぎさんの、ぬいぐるみだよ。」


「ぼく、うさぎさん、見たよ。」


「あはは、そうだね、この間見せてあげたうさぎさん。」



うーん・・・違うのに、いまいち伝わらなかった・・・。

兎みたいな耳と尻尾をつけた

胡散臭い・・・人間?


みたいなのを・・・見かけたのに

・・・まぁいっか、ニコの作業が終わるまで本でも眺めてよう


字は読めないけど・・・。




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