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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
黒鉄の追奏曲
78/183

運命の変奏曲

夏斗が死んだ。


両親がいなくなってから

俺をずっと慰めて、支えてくれた


たった一人の従兄弟が死んだ。



俺にはもう、頼って行くところもなくなった。




「・・・哲也・・うちに来い。」





カラクサはそう言ってくれた。

俺は、カラクサと一緒に団子屋の2階で住むことになった。



何で死んじまったんだよ、夏斗。

軽子を守れなかったから?


それで悲しんでる俺を、一人ぼっちにするなんて

なんてひどいやつなんだ・・・。



「飯、できたぞ・・・。」


「いらない。」


「・・・ここ置いとくから、欲しくなったら食えよ。」



カラクサに迷惑かけてるのもよくわかってる。

昔っからずっとそうだ。


この人には迷惑ばかりかけて。

だけどカラクサは文句を言いながらも


俺には良くしてくれて。




「・・・てっちゃん・・・。」


「どっから入ったんだよ、苦労太。」



閉め切ってるはずなのに

何の前触れも無く、真ん前に立ってた

苦労太・・・。



「・・・夏斗さんは君の為に亡くなったんだよ。」


「どう言う意味だよ?」



俺の為に・・・?

アイツは自殺したんだよな?


軽子を、守れなかったから・・・。




「軽子ちゃんを殺せば、てっちゃんは助けてやるって・・・鬼雷組に脅されてたんだ。」


「・・・なっ・・・なんだと・・・!?」



・・・軽子を殺したのは・・・夏斗?!

そんなっ・・・!!アイツだって怪我を・・・!



「怪我をしてたのは・・・自分で刺したのさ。鬼雷の目的は・・・抗争を起こす事だ。」


「そんな・・・じゃあ、鬼雷組の奴が本当に襲ってきたって一緒だったのに・・・?!」


「・・・そうだね、君を人質に・・・彼の心を弄んだんだ・・・結果耐え切れず死んでしまった。」



そんな・・・そんな・・・!!

人を殺してしまったショックは

辛さは俺だってよっくわかってる。


それを、無理矢理・・・!?


辛くて辛くて、自殺しちゃうのが

そんなに・・・楽しいのかよ!?




「許せねぇ・・・!!」


「・・・そうだね・・・。」




そして苦労太は

くるっと後ろを向きこういった。




「さて・・・てっちゃん・・・このままじゃ、明日の朝には抗争が始まるよ。」


「・・・。」



怒りと悲しみが

ぐちゃぐちゃになって

混ざっていた


俺はただ

苦労太の声だけを聞いていた。



「これ以上・・・大事な人が死ぬのは・・・嫌だろう?」


「・・・カラクサ・・・桜井さん・・・。」


「そう・・・抗争になれば・・・みんな、死んじゃう。」



いやだ・・・。

そんなの嫌だ。


もうこれ以上寂しい思いはしたくない。


これ以上・・・皆を苦しめたくはない・・・。



「・・・止める方法がひとつだけあるよ。」


「・・・!!止められるのか!?抗争を!!」


「君なら止められるだろう・・・でもそれはとても辛い選択になるよ。」


「構うもんか!皆を守れるなら俺は!!なんだってやってやる!!」



ハァ、とため息をついて

苦労太はゆっくりと狐のお面をとった


そして、寂しそうに笑って

僕にこういったんだ。



「・・・君がそういうのも、本当は、知ってたんだ・・・だから、ごめんね、てっちゃん。」



その言葉の意味は

なんとなくしかわからなかった


そして苦労太は


お面を差し出して来た。



「・・・てっちゃん、これ、あげるよ・・・ずっと、友達だよって証。」


「いいのか・・・?これは、お前がいつも・・・。」


「それは僕が、僕でいないための仮面だったんだ・・・だけど・・・今はいらないよ。」


「・・・そっか・・・。」


「だけど、君には必要だと思ったんだ。・・・君は君でいるままじゃ、壊れてしまいそうだから。」



・・・?

どういうことだ・・・?


苦労太が手にした物を見たとき・・・。

その疑問はふっとんだんだ。



俺が一番だいっきらいで。

俺が一番辛いこと。


それをすることで


皆を守れるんだって、気づいたんだ・・・。




「・・・苦労太・・・ソレを俺に頂戴。」


「やっぱり・・・行くんだね、てっちゃん。」


「行くさ。」




苦労太から、ナイフを奪い取り・・・。

俺は狐のお面を被った。



俺、見えるんだよ

死の線、がさ・・・。


普通に歩いていても


視界に入る命全て

まとめて殺す方法が


どうしても、わかってしまうんだ・・・。


そんな自分が、嫌で嫌で。

そんな事、したくないのに。




肉を切り裂くあの感触も


手に取るように伝えわる相手の恐怖心も


返り血の感触も


匂いも


全部全部・・・二度と味わいたくはなかったのに。








俺は・・・一人、鬼雷組のアジトの前にたっていた。

そしてゆっくりと・・・その扉を開けた・・・。



「あぁ!?なんだ小僧!!勝手に入ってきやがっ・・・。」



目の前のヤクザの首が飛んだ

俺が、飛ばした。



「・・・一人残らず、殺しに来たよ。」



きっと、こうなる運命だったんだ。

抗えない、体が勝手に動く



俺は・・・。



ただ目の前に見えるその線を追いかけて

片っ端から斬っていった・・・。

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