仕掛けられた罠
今日は仕事で嫌なことがあったのに・・・。
シロウサギくん、忙しくて一緒にあそべないって・・・。
さみしいな・・・。
そういえば・・・黒雷が、時々遊びに行っていいって
言ってたな・・・。
僕は地獄と騎士団院をつなぐ、僕の部屋から
騎士団院の僕らの部屋が並ぶ廊下へと出た・・・。
そして・・・黒雷の部屋の前へ・・・。
「あれ、黒死じゃねーの?」
「おっ!こ!黒炎!」
「ん?ああ、黒雷と会うのか。」
「ほぇ!?ち、ちちち!違うよ!用事!用事だから!しかたなく!」
なんだよ!それ!僕が黒雷と仲良いみたいじゃないか!
用事なのはそりゃあ、嘘だけど…!
仕方なく行ってるだけだし!めっさ暇になったからだし!
寂しいから会いに行くとかそんな訳ないし!
「あー、仕事の方なの?お前ら仲良いから、てっきり・・・。」
「はああああぁぁぁぁ!?僕らが?!仲良い?冗談じゃないよ!最悪中の最悪だよ!!」
「うっさ・・・あのさぁ、そんなキャンキャン言わなくても、俺耳良いから聞こえるって・・・獣人だもん。」
「あ・・・ご、ごめん・・・。」
犬耳だから、音を良く拾うのか・・・申し訳ない事したな・・・。
しょんぼりしていると、黒炎は頭を撫でてくれて
少し、困ったような顔をしていた。
「そんな、気にすんじゃねーよ・・・もう・・・子供の扱いなんて俺、わかんねーぞ・・・。」
「子供じゃないけど・・・。」
「いや・・・ガキは皆そういうだろ。」
・・・これ以上困らすのも申し訳ないし・・・。
ここは怒らないでおいてあげよう。
しばらくするとチラチラこっちを見ながら
黒炎は去って行った。
・・・ホントに苦手なんだなぁ・・・。
どっかの似非子供嫌いとは大違いだな・・・。
「さて・・・と・・・。」
今度こそ・・・周りには誰もいない・・・よし。
覚悟を決めて、そう・・・と黒雷の部屋に入った。
「し、失礼しまーす・・・。」
「君ね、入ってくるなら早く入ってきなよ・・・外でうるさいんだけど。読書の邪魔だよ。」
そういってこっちに目を向ける黒雷は
なんだか難しそうな本を読んでいた。
「あの・・・えっと・・・。」
「・・・さみしくなってきたんなら・・・あっちの部屋にミルカーやショコラがいるよ。」
・・・ああ・・・。
ボクの部屋にくればいいって・・・そういう・・・。
なんだかちょっぴりショックだ・・・。
いや、こんな奴に構われるよりよっぽどいいか
「じゃあーお言葉に甘えますぅー。」
「・・・?なんで拗ねてんの?」
「べつにー!ミルカー!ミルク頂戴・・・!」
部屋に入ってビックリした。
知烏に・・・勇葉までいるじゃないか!え!なにこれ!?
どうなってんの?!
は!しまった!
こいつの部屋、勇葉たちの世界とつなげてあるんだな!?
「・・・カイ・・・。」
「あっ・・・えっ・・・とぉ・・・。お邪魔しましたぁ・・・。」
「待って!カイ兄ちゃん!」
何故か勇葉ではなく
知烏に捕まってしまった・・・。
予想外だったから普通に捕まってしまった・・・。
「えっ・・・ち、知烏・・・?」
「兄ちゃんから聞いたんだよ・・・勇葉兄ちゃんとケンカしたんでしょ!?」
け、喧嘩っていうか・・・。
まぁ・・・似たようなもの・・・か??
そうか?なんか違うような気もするけど・・・。
「仲直りしなさい!」
知烏の目は・・・その、泪そっくりで・・・。
この子たちの目って、なんか・・・。
奥が見えなくって、怖いんだよね・・・。
「・・・な、なぁ・・・カイ・・・。」
「な・・・なに、勇葉・・・。」
「俺・・・ちょっとショックだったんだ・・・でもな。」
「う、うん・・・。」
うぅ・・・そりゃ、ショックだよね・・・。
泪の事・・・殺しちゃったの僕なんだもん・・・。
だけど、すごく勝手な話だけど・・・。
次の言葉次第では僕は立ち直れない・・・!
「お前・・・あの時泣いてたろ。」
「・・・な、泣いてないよ・・・。」
「目も目の周りも真っ赤だったぞ。」
「・・・それはぁ・・・そのぉ・・・。」
「だから・・・お前も、悲しかったんだろ?」
「・・・う、うん・・・。」
「仕方なかったんだろ?」
「そ、そりゃあ・・・。」
「だったら・・・俺たち、やり直せないかな?」
勇葉は、僕の両手をもって
顔をすっごく近づけて、涙目で
そう、言ってくれた・・・。
「う・・・うん・・・うん、ごめん・・・ごめんなさい、勇葉ぁ・・・。」
僕は、うれしくって、うれしくって。
泣き崩れてしまった。
勇葉は僕を抱きしめてくれて
知烏はなんだか暖かい目で僕らを見ている・・・ちょっと恥ずかしい。
・・・黒雷は・・・笑いをこらえて肩を震わせている・・・。
あいつ、僕をはめたな・・・許さん。
冷蔵庫のアイス全部食べといてやる・・・!
こうして、僕はまた『夏目 カイ』として
この世界にちょくちょく顔を出すことになるのであった。
大っ嫌いな幸せが、また
僕の全身を犯すんだ。
殺すのが、また辛くなっちゃうじゃないか・・・。
「これから、またよろしくな!カイ!」
「・・・バカ・・・勇葉なんて・・・!大好きだよ!もー!!」
「ふふふ・・・今回は僕の大活躍!・・・でしょ?黒雷さん!」
「・・・まぁそう言う事にしといてあげるよ。」
・・・ちなみに・・・。
本当に黒雷の家のアイスを全部食べて
おなかを壊して部屋から出れなくなるのは・・・また別の話・・・。




