運命の哀歌
俺の名前は伊集院 カラクサ
大学を中退して、死んだオヤジの跡を継ぎ団子屋を経営している。
だけど、親友の桜井が、桜組を継いだ時には、そちらに行こうと思っていて
・・・俺はこの手で、桜井を守ってやりたいと心から思っていて。
剣術にも、腕を振るっている。
それなのに
あの時・・・5年前の抗争の時
俺は何もできなかった。
そのせいで・・・。哲也は・・・。
あいつに、人殺しをさせたのは
守ってやれなかった俺なんだ
だから、今度こそ
あいつの知らないところで
カタをつけなきゃいけないんだ。
「・・・鬼雷組は・・・俺が潰す・・・。」
「・・・カラクサ、気を張りすぎだよ。」
そういう風にいうのは、俺が、守るべき時期組長・・・。
桜井 黄・・・。
コイツには何度も救われたから
今度は俺がコイツを守らないと。
「てっちゃんの件は君のせいじゃないよ・・・予測できずに皆を招いた、僕のせいだ。」
「・・・でも・・・。」
「でもじゃない、仕方ないことだろう?」
「そのせいで、テツの両親が殺されたんなら・・・。」
「・・・それだって、夏斗がスパイして手に入れた情報だ・・・表向きな理由にはならない。」
「・・・表向き・・・か。」
「ああ・・・こちらもただの暴力団になるわけには行かないんだよ。」
・・・それもそうか・・・。
桜井は、桜組の・・・色々なものを背負ってるんだな。
手は強く握って、震えていた。
・・・どうしたものか・・・もう少し大義名分があれば。
「・・・カラクサさんたちもたいへんだね。」
「・・・苦労太くん・・・。」
「ねぇ、みたらしが食べたいな。」
「・・・ふふ、用意するから待ってな。」
不思議な子供だ。
いつも狐のお面をかぶっていて
まるで歳をとらないみたいに、見た目が変わらない。
もしかしたら、どこかの神様とか幽霊なんじゃないかって
思うときもある・・・だけど・・・。
この子のおかげで、テツが救われてるのなら・・・。
妖怪でも悪魔でも、死神でもなんでもいいなって
思うんだ。
「このお花の置物、綺麗だね。」
「ああ、隣の花屋さんが趣味で作ったんだと。」
「趣味で?こんなの絶対売れると思うんだけどなー。」
「・・・うちで好評だったら商品化するらしいぞ。」
苦労太とくだらない話をしていると
桜井が神妙な顔つきで団子屋から出て行った。
「カラクサー、電話出てくるから!」
「おー!お前の分も団子作っとくから、終わったら一緒に食おう!」
とりあえず、暗い気分の時は
皆でうまいものでもくってゆっくりするのが一番だ
・・・ということで俺は・・・。
めいいっぱいうまい団子を作ることにした。
電話を終えて帰ってきた桜井はやはり暗い顔をしていて
元気が出るうまい団子をたっぷり用意することにした。
「また、何かあったのか?桜井?」
「・・・黒鳥財閥の長男が・・・。」
「・・・え?」
「黒鳥財閥の長男が、死んだらしい・・・。」
黒鳥財閥といえば・・・。
桜組の財を補ってもらっている
ここらへんで一番でかい財閥だ。
「・・・そんな!なんで・・・!」
「・・・何でも、事故死らしい・・・トラックに轢かれたんだって。」
「また・・・事故、か。」
そんなに事故が続くなんてありえるか?
去年のテツの両親といい
今回の黒鳥の長男といい・・・。
全部、鬼雷組にとって都合の悪いものの、消去のような気がしてならない。
「・・・黒鳥の長男は・・・死ぬ前に、鬼雷組の組長と合ってたらしい・・・。」
「・・・なっ!なんだって!?」
「弟や親友に、最後に残した遺書も見つかったらか・・・自殺の可能性も高いって。」
「つまり・・・これも事故じゃないって事じゃ・・・!!」
「・・・もしかしたらだけど・・・むこうの組長が、自殺を促した可能性が高い。」
もし・・・もし本当にそうだったとしたら。
絶対に・・・絶対に許せない。
桜組が邪魔なら直接潰しにくればいい・・・。
それなのに!こんな・・・関係のない周りから!!!
「もし証拠がとれたら・・・今度こそ抗争を起こさざるを得ないね・・・。」
「・・・その時は・・・俺も、力を貸すよ・・・桜井・・・。」
俺は・・・絶対にあいつらを許さない・・・。
哲也を、桜組を・・・苦しめたアイツ等を
今度会うときはお前らが地獄に落ちる時だ、鬼雷組・・・!!
俺は物置からそっと・・・先祖代々伝わる
日本刀を手にとった。
「・・・カラクサ、もうひとつ落ち着いて聞いて欲しいんだけど・・・。」
「・・・まだ何かあるのか!?」
「この事や、夏斗の話は他の組員にはしないで欲しい・・・。」
「・・・どういうことだ?」
聞いておいて俺は
ゾッとした
そうだよ・・・ウチがやってることは
むこうだって・・・できるんだ・・・。
「その顔・・・わかっちゃったんだね?カラクサ?」
「・・・うちの組にスパイがいるって言うかよ・・・!!」
「・・・皆信用してる仲間ばかりだから・・・考えたくは無いけど・・・。」
「・・・っち!お互いに情報は筒抜けってことか・・・!」
「そうとしか考えられないんだ・・・向こうの動きが・・・!!」
その後
俺たちはお互い黙ったまま・・・。
一言も、発することも無く。
ゆっくりと解散した・・・。
「・・・ねぇカラクサさん・・・僕、聞いてて良かったのかな・・・。」
「苦労太くんは・・・実はよくわかってないんだろ?」
「・・・そうだけど!聞いちゃいけないくらいはわかるよ!」
「じゃあ聞かなかった事にしたほうがいいのもわかるな?」
「わかった。」
苦労太くんは急いで帰っていった・・・。
妙に素直だと思ったら日本刀を握って
鏡を見ると凄い形相をしていた俺・・・。
あぁ・・・子供に見せていい顔じゃ無かった・・・。
後でなんとか謝らないと・・・。




