表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
願いを叶える死神
7/183

黒の騎士団新人歓迎会

「・・・起きてください、黒雷。」


「・・・ん?」



・・・なんだ、いつもの夢か

僕が、【黒雷】になる前の夢。



「・・・またいつもの夢ですか?」


「・・・黒時、君は未来が見えるんだろ?」


「夢の中までは見えませんよ。」



まぁ、最もこの会話は見えてましたけど等と

ヘラヘラしているこいつは・・・。


今の僕の上司だ。



「今日は、あなたを正式に【黒雷】として認める大事な日ですよ?それなのに・・・。」


「悪かった、ゆっくり寝すぎたよ。」




・・・あれから僕は黒時によって厳しい修行の毎日で

もう何年ここに居るかも、解らなくなっていた。

時々、様子を見に来てくれる騎士団員もいたから

何とか乗り切れた、といったところだ


あれこれ頑張ったが、あれからこれといって変わりは無い

勇葉を救いたい、この気持ちも・・・

逆らっても絶対に勝てない力の差も。



「・・・あなた今心の中で私の悪態ついてませんか?」


「別に、人を脅して変な集団に入れるなんてとんだ最低クズ野郎だな位にしか思ってないよ。」


「ボロクソじゃないですか!?脅した覚えなんてありませんけど!?」




今でこそ悪態がつけるが、ここ数年は黒時に言われてそれは厳しい修行ばかりで・・・。

黒雷より危ない奴だと思ってたっけ。




「タイムパラドックスでもしかしたらあなたの友人が生まれない未来もありうるとかってのは?」


「それは活動内容を説明したかっただけですよ!ほら、この部屋です入ってください!」




今日はどうやら黒の騎士団とかいう連中に僕を紹介するらしい。

と、いうことは・・・あのムカつく死神・・・。

黒死もここにいるのか・・・。




「皆さん、ご紹介します。今日から私たちの仲間になります、黒雷です。」


「わぁ、黒雷!修行は終わったんだね!おめでとう!」


「・・・ありがとう黒命こくめい。」


「今日集まれたのは、これだけですか・・・。黒幻こくげんは未だ行方知れずですね。」



げ・・・やっぱりいるな・・・黒死。

視界に入るだけで不快だ・・・。



「それでは黒雷、一人ずつ紹介しますので、握手をしていってください。」


「・・・了解・・・。」



まるでフード付きマントのように、天使の翼で全身を覆っている少年・・・。

黒命が僕に近づいてきた。



「何度かあっているとは思いますが・・・。黒の騎士団の命の源、黒命です。」


「改めておめでとう、黒雷。」


「うん、ありがとう。」



修行中何度も様子を見に来てくれていたのは、この子だ

騎士団の宝石をイヤリングではなくネックレスにしているのも

僕としては好印象で

子供は嫌いだが、この子は嫌いじゃない。

さて、次は・・・。



「あなたの雷と、対をなす風神の・・・。」


「ふふっ、私もよろしくしてあげなくもないわ!」



説明を聞いてるのに和服の少女は割り込んで手を差し出してきた

しかしまぁ、なんとなく名前はわかったが・・・。



「・・・よろしく黒風こくふう・・・。」


「む!『こくふう』じゃなくて『くろかぜ』だから!」



・・・音読みか訓読みで統一してよ・・・。

初対面で怒られると気を使うじゃないか。



「そして黒の騎士団の、死そのもの・・・。」


「やーやー!新人クン!よろしくねっ!ボクは黒死ぃ!?痛いっ!!?」



差し出して来た手を思いっきりひっぱたいてやった

なんで僕がこいつと握手なんかしなきゃいけないんだ。



「そりゃ痛いでしょ、思いっきり払い除けたんだから。」


「・・・えっ。」


「君とはよろしくしない。」



全く空気の読めないガキだ・・・。

人がイライラしている時に。



「ちょっと皆さん!私に紹介させてください!」


「なんだよ!ボクなんかした!?」



うるさい所だなぁ、ここ・・・。

しかしとにかく黒死をみるとイライラする。



「その何もしていなかったら嫌われないと思ってる所、嫌いだな。」


「初対面だよね!?ボクら!?」


「そうだよ君の言うとおり、だから息をしないでくれるかい?」



・・・黒死は落ち込んでしまったようだな・・・。

実に清々しい気分だ。

あいつが僕から『死』を奪ったせいで

今まで散々な目にあったからな・・・。


ああ、やっぱり腹が立つな。



「さて、それでは改めて黒の騎士団の目的等をお話させて頂きます。」


「・・・『運命の流れ』を変えないためなんだろ?聞き飽きたよ。」


「そうです、あなたのような平行世界を新たに作っちゃう人を極力減らすことですね。」


「・・・。」



全く嫌味な奴だ・・・。

僕の心は真っ暗病みだよ・・・。

・・・あれ?まてよ・・・?



「じゃあ、なんでその僕をここに招き入れたんだい?」


「今更ですね、というか説明するって言ってるでしょ!」



まぁ、黙って聞いておくか・・・。

自分が聞くしかないだけに

となりで大あくびをしている黒死に腹が立つ。


どうも聞く気がないらしいな。

後で嫌がらせでもしておくか。



「まず、運命や世界を動かす私たちはいわいる最強の集団でなければなりません。」



・・・そうだろうか?イマイチ納得いかない。

そもそも最強の集団って中学2年生か・・・。



「そのために我らが騎士団では、『黒の騎士団員を殺した者を、次の騎士団員として迎え入れる』というルールがあるのです。」


「僕はともかく・・・それってうまくいくものなの?」


「ええ、これだけなら誰もあなたがたを殺そうなどとは思わないでしょう。ですので・・・」



ドヤ顔がすごくうざい・・・。

やめてくれないだろうか。



「騎士団員には様々な特典をおつけしております!」


「・・・通信販売みたいだね・・・。」


「地位や名誉、お金だって!さらには健康に不老!そしてお揃いのイヤリングも!」


「・・・そのイヤリングすごくいらない・・・。」


「まぁまぁ、このイヤリングは『空破りの石』でできていましてね・・・。どの異世界にも飛べる便利なものなんですよ。」



それは・・・確かにこの仕事をするのなら

必要な物なんだろうけど・・・。



「黒雷って、ツッコミ属性なんだね。」


「話かけるなゴミムシめ。」


「そ、そんな言い方ないだろ!?」



しつこいなぁコイツ・・・。

死神って死なないんだろうか。

どうにかして死んでくれないだろうか。



「私語は謹んでくださいよ全く・・・!ということで黒雷にも働いてもらいますよ!」


「・・・わかったよ・・・。」



全ては歴史を通常通り動かして・・・。

勇葉が無事に幸せな暮らしを出来る世界を作るためだ・・・。


これから何千年もここで働くだろう。

騎士団員になりたい輩が僕の命を狙うのかもしれない。


それでもいつか、君が幸せだと言える世界を

僕は作ってみせるから。



「黒雷、こっちに来てください。」


「・・・なんだよ、人が決意を固めてる時に・・・。」



黒時に連れられて、怪しげな研究室のようなところについた・・・。

映像が流れる水晶がたくさん浮かんでいる。


人や、物も浮かんでいるじゃないか。

ここはなんだ?



「・・・ここは、世界のゴミ箱機能のようなものです・・・あの、パソコンの。」


「パソコンの、ゴミ箱・・・?」



つまり消された物が来るところ

みたいな感じだろうか


そう考えると少し気味が悪い。



「私たちは、この場所にくる者をできるだけ減らしたいのです。世界から消えていいものなんて、本当はあってはいけませんから。」


「・・・そうだね・・・。」


「例えばあなたのように、未来から過去に渡るような者が現れると・・・。」



黒時が少年を連れてきた。

腰に水筒がたくさんついたベルトをしている・・・。

なんだか怪しい少年だな。


「この少年は、あなたがいた世界の者です。」


・・・。

ここは、世界から消えた物が集まる所で。

この少年が、僕のいた世界の住人。


黒時の言いたいことはなんとなくわかった。

でも・・・。



「・・・僕にどうしろってゆうのさ・・・?」


「この少年の処理をお願いします。あなたの最初の仕事です。」


「え・・・。」


「言ったでしょう、ここはゴミ箱ですよ。消去していかないと世界の容量かさんでしまうんです。」



これは確かに、ここになにか来るのは避けたいな・・・。

僕にだって良心がある。


・・・だけど、そんなもの捨ててしまわなければ

この先ここで生きてはいけないのだろう。



「あなたには出来ませんか?黒雷。」


「・・・何言ってるのさ、そんなわけないだろ・・・僕は、極悪人だからね・・・。」



そう、僕は極悪人だ

愛する人も、親友も


全てこの手で殺してしまった。


だから、僕には・・・。

僕には、迷いなんていらないんだ。


そう、自分に言い聞かせた。



「では、私は他にも仕事がありますので。」



そういって黒時は出て行った。

・・・二人っきりにするのか、なかなかの嫌がらせだな。

気まずい空気に少しイライラしてきたころ・・・


口を開いたのは少年の方だった。



「・・・俺は、ホットミルカー!夜野ソラだ!」


「・・・は、はぁ・・・?」



ほ、ほっとみるかー?

何言ってんだコイツ・・・。



「ホットミルカーとは!ホットルクを愛し!それを飲む者!」


「わかった中2病ってやつだね?」


「ち、違うわ!とにかく・・・ホットミルクでもどうだ?」



・・・ああ、最後に俺の作ったミルクを飲めと

少年もこれが最後だ、ミルク位飲んでやろう・・・。


僕は無言で水筒を受け取った。



「・・・あまっ。」



甘いのは嫌いじゃないが・・・。いくらなんでも甘すぎるだろう。

何を入れればこんなに甘くなるんだ・・・。

ホットミルクを愛してるなら美味しく作って欲しいものだ。



「・・・イライラ、してるみたいだったから・・・。」


「・・・はぁ?」


「イライラにはカルシウムと甘いものだ!だから・・・!」



・・・今から殺される人間に気を使ったわけか。

変わった奴だなぁ・・・毒でも入ってるのかと思ったのに。



「俺にとって最後の仕事だ・・・。世界が消えてから、歳もとらなくなって・・・ずっとこの時を待っていた。」



あれから歳をとってないのか。

本当は同い年位なのだろう。



「もう思い残すことはない!さぁ・・・もう殺せ。」


「・・・嫌だね。」


「・・・よし・・・え?・・・・・・はぁ!?」



なんとかミルカーは驚愕しているようだが。

言ってしまって一番驚いてるのは間違いなくこの僕だ。



「・・・僕は、極悪人だからね。なんでも騎士団の言うとうりにはしないのさ。」


「でも、それじゃあお前、黒時に・・・!」


「確かに、僕じゃ黒時には勝てないだろうけど・・・アイツは未来が見えるんだよ。」


「・・・どういうことだ?」


「つまり・・・こうなることを見越して僕に任せたんだろう。」


「でも、このまま俺はどうすればいいんだ・・・こんな所で・・・。」


「僕も、君と同じ『バグ』なんだよね・・・バグ同士手を組まないか?」



僕は何を言っているんだろう。

だけど、こうなる予定で黒時が僕をここに連れて来たのは間違いない。



「いやー!思ったよりいい人!なんですね!黒雷!」


「・・・黒時、やっぱり居たんだね?」


「ずっといましたが?」



コイツ・・・!時間を操る能力さえなければ

ボコボコにしてやるのに!



「さぁーて、黒雷?ホットミルカーに、ミルクの作り方を教えてもらってください!」


「・・・なんだってまた・・・?」


「次の物語を、はじめる為にですよ!」



・・・全く意味が解らない・・・。

遊んでいる風にしか思えないが、本当にコイツについていってもいいのだろうか?


・・・でも未来の為には、仕方ないのかもしれない・・・。

僕はため息を付きながら、ミルカーと一緒にキッチンへと向かうのであった・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ