極悪の所業
「・・・へぇ、勇葉くん、彼女できたの。」
「っへへーまーな!可愛いんだぜ!こんど黒雷さんにも紹介するよ!」
「ふふっ・・・いいのかい?僕は極悪人なんだよ?」
・・・黒の騎士団の特典で
『鬼雷組』というヤクザ屋さんを開いた僕は
泪くんと勇葉くんを、今は見守る事にした・・・。
今は、ね・・・。
その時が来るまで、ただ戦力を整えて
不自然なく、ただのいかれた暴力団のせいにしてしまって
それとなく解決する道をえらんだ訳だ。
途中部下が勝手に抗争とかおこしちゃったりして
大変だったけど・・・。
それもこれも、全部うまく事を済ますため・・・!
耐え抜いてきた。
もちろんそれも、念の為、なんだけど。
「・・・勇葉くん、泪くんはどうしてる?」
「ああ、泪は・・・なんか最近、死神の友達ができたんだって!カイっていうんだぜ!」
・・・ついに接触したか、あのクソ餓鬼死神。
子供以前にあの子は大っ嫌いだけど・・・。
今回は、『彼の味方』をしなければならない。
プライドなんか殴り捨ててでも、勇葉も守るって
そう、決めたのだ・・・。しかし癪に障る。
「弟くんとも仲良くやってるって、今度俺にも紹介してくれるって・・・言ってたから、普通に見えるのかな?」
「さぁ・・・そもそも本当に死神なんているのかい?」
「さぁ?泪がいるってんだから、いるんじゃね?死んだ姉ちゃんが言ってるって事も全部当たってんだぜ・・・。」
・・・というかもはや
そんな事全部どうでもよくなるほどの事態が発生しているのだ。
いつの間に僕に弟ができたんだ!?
勇葉くんの姉が死んだらしいけど!
お姉さんなんかいなかったよね!君!
っていうかそもそも!
僕幽霊見えるの!?不思議少年すぎない!?
もはや誰だよ別人だろそれ!?
・・・と、ツッコミの押収状態だ
僕が前準備をしている間に随分と事情が変わってしまっていたのである。
「へへ、黒雷さんも、子供引き取ったりしててさ、鬼雷組ってそんな悪いところじゃねーのにな。」
「何やってても、ヤクザなんてみんな怯えるものさ。」
・・・そんな事情も今のところ全て勇葉君から聞くしかないのである。
彼の心を掴むのは実に簡単だった、なんせもう3回目だもの。
今度こそ彼を死なせない為には
何かと手が必要なのだ、だからこそ本人をも利用しなければならない
なんせクロネコくんも大忙しになる程だ
猫の手も借りまくりなのである。
「じゃあ、ホットミルク今日もおいしかったよってソラに伝えといてよ!黒雷さん!」
「わかった!気を付けてかえるんだよー!」
・・・ふう・・・。
僕は極悪人だから・・・いい人のフリは疲れる・・・。
いくら疲労しても死ぬことはないのだが・・・。
疲れるものは疲れるのである。
さて、黒死も泪くんと接触した・・・作戦もそろそろ始動だ。
しかし、鬼雷組の連中がまた桜組と抗争寸前らしくって
それは止めなければいけない・・・。
さっき言ってた抗争が原因なのだが
5年も前だぞ!そろそろ許してくれればいいのに!
しかも黒死の奴、仕事をさぼってお泊り会にいっていたらしい
死神本部から何故か僕の方にクレームがきたのだ。
・・・どうにか揉め事を止めて・・・。
黒死の方もサポートして・・・。
それから作戦実行だ。
やれやれ、忙しすぎる。
「・・・どうやら『今度は』黒死サンの味方のようデスネ?」
急に後ろから声が聞こえた
振り向くとそこには兎の耳を付けた男が・・・。
「・・・君・・・誰?」
「イエ、通りすがりの悪魔デス。」
「なんか用?」
「・・・ワタシ、黒死サンのお友達でネ?・・・また前回の様に黒死サンを悲しませる用だったら・・・アナタの敵にならなければいけないナ、と思いまシテ。」
「はぁ・・・よくわからないけど、察しの通り今回は黒死のサポートだよ。」
「デスヨ、ネ・・・それでは、失礼しマシタ。」
・・・なんだ?あいつ?
悪魔ねぇ・・・?
言葉だけを残して去っていったが
悪魔というくらいだし、死神の黒死とは面識があるんだろうな。
なんだか、『前回』という言葉がひっかかったようなきがしたけど
今はとにかく大忙しなので考えるのはやめた。
はぁ・・・まずは何から済まそうか・・・。
と、考えていると騎士団員から連絡が・・・。
『ね、ねぇ黒雷・・・ボクだけど・・・。』
「黒命かい?どうかしたの?」
『生理がこなくて・・・。』
「・・・え?天使ってそういうものなの?」
『ショークだよ!』
いや・・・わからんよ・・・。
黒死曰くついてるもんはついているらしいが
天使って実際どういう生態かなんか知ったことじゃないし
黒命っていつも顔も隠してるし声もかわいいし・・・。
「・・・っていうか忙しいんだけど・・・。」
『ご、ごめんよ。あのね、5年くらい前に黒歌が目を覚ましたんだけど。』
「初耳なんだけど・・・。」
『どっかで見かけなかったかい?もう5年も行方不明で。』
「その話5年くらい前にききたかったけど・・・見てないよ?」
『仕事の合間に探してるんだけどなぁー・・・見つかんなくって。』
「・・・5年となると誰かガッツリ捜索に出したほうがいいんじゃない?」
黒の騎士団って、黒時がタイムスリップ能力をガンガン使うからか
全員不老になってるからか・・・。
とんでもなく時間にルーズだ。
5年って・・・まぁ5年なんかあっという間だというのはわかるけど。
『彼がそれを望むまでみつけられないだろうねぇ・・・。』
「ああ・・・そういえばそうだね・・・。だったら僕が見つけてるわけないでしょ。」
『そうだよね、ごめんね。』
そういえば黒命ってどんな顔なんだろう
見たことないなぁ・・・。
黒歌も皆そんな感じなのだろうか
いつもお面だもんな
行方不明となると少し心配だし
こちらの世界にいれば見つかるかもしれないし
余裕があったら探しておくか。
しまった!また仕事が・・・!
・・・ん、電話か。
『組長!』
「今度は何?」
『息子に彼氏が出来てしまったみたいなんです!どうしましょう!』
「・・・ああ、剣くんか。」
前回忌まわしき敵になった魔法 剣くん
あらかじめこちらの組に勧誘しておいたのだ
念には念をだ
不安要素は全て取り除く
・・・故に。
「・・・今度僕にも合わせてくれないかな。」
『ありがとうございます!組長!何とかしてください!』
・・・このように
部下の不安も取り除かねばならない
・・・そうして・・・。
ドンドン仕事が溜まって行くわけで
忙しくてしょうがないのである・・・。
黒歌捜索はミルカーにでもやらせるかなぁ・・・。
「・・・待ってて勇葉、今度こそ、絶対に死なせないから。」
こうして僕は
とりあえず黒死のサボった仕事を片付けるべく
死神協会本部へと足を運ぶのであった・・・。




