死神ゲーム
「じゃあ、焔、後でな!」
「ああ、勇葉・・・明日部活も一緒に探そうぜ!」
「おー!じゃあ!黒雷さんちでまってるぜ!」
今日から俺も中学生か・・・。
俺はもう、今までとは違う・・・!
ヤンキーからは足を洗ったんだ・・・!
今日から俺は真面目な中学生!!
邪魔する奴は全員ぶっ殺す!
・・・おっと、ぶっ殺しちゃだめなんだった・・・。
「なかなか難しいな・・・。」
「焔くん!入学おめでとうございます!!!」
「・・・!陣!!」
こいつは・・・魔法 陣・・・。
お、俺の恋人だっ・・・!
ふふ・・・おれの!年下の!!恋人だ!!!
こいつめ!俺が冬にやったマフラーをまだつけてやがる!
なんて可愛いんだ!もう春だろうが!
幸せ過ぎる!
「焔くんっ!さっき怖い人と会いました・・・。」
そう言って俺に抱きついて甘える陣・・・。
可愛い・・・本当に可愛い・・・。
でも、肩が震えていた、本当に怖かったのだろう。
「・・・どんなやつだ?俺がぶっ飛ばしてやる。」
「ぶっ飛ばしちゃだめだよっ!」
「そっか・・・そうだな・・・。」
「僕の名前、知ってたんですけど・・・全然知らない人で怖かったんです。」
「・・・怖いな、それは・・・。」
「黒鳥 泪って・・・名乗ってました・・・。」
・・・『黒鳥 泪』・・・!?
この名前は俺にとってはものすごく聞き覚えのある名前だった。
おれがやんちゃやってた頃
おれが、いじめていたクラスメイトだった
勇葉が止めてくれていなかったら・・・。
俺は取り返しのつかない所までいっていたかもしれない
だけど・・・今なら、しっかり謝れるハズだ
俺は心を入れかえたんだ
黒鳥がまだ、苦しんでいるようなら
出来るだけのことをして、あいつに謝りたいし
こんなことを言うのもおこがましいけど
助けられるなら助けたかった
「陣、おれやっぱそいつのところに行ってくる!」
陣に聞いた方角に走っていくと・・・。
忘れもしない、アイツの後ろ姿があった・・・。
「黒鳥!!」
「・・・日野、くん・・・。」
「すまなかった!!!!!」
出会い頭で土下座というのも
驚かせてしまったかもしれないが
俺は必死に地面に頭をこすりつけた
「・・・やめてよ、日野くん・・・。」
「いや!俺のせいで!お前がどれだけ苦しんだかって思ったら!俺!」
「・・・やめろっていってるだろ。」
「・・・黒鳥・・・。」
黒鳥はこちらに振り返ってくれた
しかし・・・黒鳥を見て俺は驚いた
その瞳には一切の光は無く
漆黒の闇のようにただただ真っ暗で
吸い込まれそうだったんだ・・・。
「君は僕をいじめるのをやめて、心を入れ替えて、さぞかし気分がいいだろうね。」
「・・・すまない・・・。」
「君がいじめるのをやめたって・・・いじめはなくならなかった・・・。」
「・・・!っそんな!」
「当たり前だろ・・・いじめられっ子は、どこまでいってもいじめられっ子なんだよ。」
・・・知らなかった・・・。
俺は、あれで全部終わったと思ってたのに
俺がやってしまったことは
俺が思っていたより、大変なことだったのか
「黒鳥・・・俺が、こんなこと言うのも・・・お前にとっては不快だろうけど・・・!俺、出来ることならなんでもするから!!」
「・・・なんでもするから、許してくださいって?」
「ちげーよ!なんでもするから・・・力になれることがあったら、俺に話してくれよ!」
「はは・・・本当に何でもしてくれるの?」
「え・・・お、おう。それで、お前が楽になるなら・・・。」
黒鳥はこの時初めて笑顔を見せた
だけど、絶望が混ざった歪んだ笑顔だった
こいつに、こんな顔をさせてしまったのは・・・俺だ。
「じゃあ、僕とゲームをしない?」
「・・・ゲーム?」
「そうだな・・・君は、命の価値は平等だと思うかい?」
「・・・思う。」
「人殺しは、悪いことかな・・・?」
「当たり前だろ!そんな事絶対やめとけよ!後でお前が困るんじゃ・・・!」
「・・・そういう話じゃないよ。」
「そ、それならいいんだけど・・・。」
黒鳥はくるっと背中を向けて
俺に話を続けた。
「実は、この二つは・・・矛盾してるんだよ。」
「・・・どういうことだ?」
「僕たちは・・・動物や、植物を殺して食べるだろ?・・・それなのに、人は殺しちゃいけないんだよ?」
「・・・確かに・・・。」
「これじゃ平等なんて言えないよね?」
「・・・。」
「・・・でも、平等にする方法が、あるんだ。」
「どうするんだ?」
俺がそう聞くと
黒鳥は再び俺の方を向き
歪んだ笑顔を近づけて
人差し指を俺の唇の近くまでもってきた
「その答えを・・・君が探すゲームさ!」
「・・・お、おう・・・。」
「その答えが見つかるまで・・・『君の大事な人』が一人ずつ死んでいく。」
「・・・は?」
何を言ってるんだ?コイツ・・・。
俺はこいつの気味の悪い発言よりも
何故か影の動きが気になった・・・。
さっきから・・・微妙に影の動きが、ずれているような気がして・・・。
「名づけて・・・!『死神ゲーム』!!!」
黒鳥がそう言うと・・・黒鳥の影が
死神のシルエットのように変化していき・・・。
影から・・・死神が飛び出してきたのだ!
「なっ・・・あ・・・うわあああぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は・・・その死神に襲われ・・・
意識を失った・・・。
「・・・くん!焔くんっ・・・!」
「・・・陣・・・?」
「大丈夫ですか?こんなところで倒れて・・・。」
・・・あれは・・・夢だったのか・・・?
まさか・・・あんなこと現実に起こるわけないし・・・。
だけど、黒鳥と話したのは・・・現実のハズだ。
「もうっ!無理しないでくださいよ・・・!今日は、うちに泊まっていきますか?」
「あ、ああ・・・お前んち、こっから近いもんな・・・そうするよ。」
「あ・・・でも、今日両親家にいないので・・・ごはん適当にコンビニで買って帰りましょう。」
・・・お泊りで両親が居ないっ・・・だとっ・・・!?
・・・申し訳ないが黒鳥との一件は・・・
今はどうでも良くなってしまっていた。




