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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
願いを叶える死神
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願いを叶えた少年


「いやぁ~!うまくいって良かったね!泪!」


「・・・僕の願いを叶えてくれてありがとう、カイ。」



ケラケラと嘲笑う死神


たった一人の親友を

この手で殺してしまった事が

コイツにとっては極上の娯楽なのだろう。



「・・・ごめんね勇葉。」



動かなくなった勇葉

もう血が出てくる様子はなくなった

こんなこと、僕だってしたくは無かった

だけどこうするしか、なかったんだ。







―――僕は黒雷に捕まってから


彼女が愉しむ為だけに働かされて


毎日苦しかった・・・だけど。


彼女は僕に危害を加えなかったし


ご飯だってちゃんと食べさせてくれた



それに関しては、感謝にも似た感情を覚えたし

義手だってプレゼントしてくれた

彼女の楽しそうな顔は嫌いじゃなかったし

彼女の悲しむ顔は自分も悲しかった


それはちょっとした好意だったのだろう












でもそれ以上に彼女が憎かった。



僕だけでなく、勇葉の人生も無茶苦茶にしてしまった彼女を

どうしても許せなかったのだ。



そんな毎日を過ごしていると

彼女の同僚らしき死神の少年と話をするようになったのだ


名前は『黒死こくし』というらしいが、彼は自らを『カイ』と名乗った

どうやらそちらが本名で、黒死というのはハンドルネームみたいなものなのだとか



黒死は黒雷が嫌いだった。



だから、僕はコイツと仲良くなって

利用してやろうと決めたんだ。

そしてついにあの日

僕はある願いを黒死に叶えて貰った




「泪の言うとおり、勇葉君は君の事をお願いしたよ・・・殺されるとも知らないでさー!馬鹿だなぁー。」


「・・・そうだね。」


「で・・・願いは?叶えないの?」


「・・・叶えるに決まってるだろ。」



そうだ、大好きな親友を殺してまで

ここまで来てもう後戻りはできないのだ


最後に親友の顔をよく目に焼き付けて・・・。











僕は自分の眼球を引き抜いた。









外に出ると、街は焼け野原だった

黒雷がやったのだろう、僕をあぶり出す為に



「妾とかくれんぼが出来たのだ、光栄に思うが良い。」



カラン・・・カラン・・・


炭の上を歩いているのに

随分といい音の鳴る靴だ。



「もうかくれんぼは終わりにしましょう、黒雷様。」


「命乞いなら聞いてやらんこともないぞ?」



僕が眼を開くと、彼女の足はピタリと止まった

・・・嗚呼、なんて良く視える眼だろう。



「いつの間にかいいものを奪い取ったのぅ、童よ。」


「・・・親友の眼です・・・これが、雷の眼。」


「よぅわかったのう?」


「貴方が眼を見開いたのを一度だけ見たことがあったので。」



勇葉の眼は・・・彼女の眼と一緒だった


彼女の落雷を交わしながら逃げた時

確信せざるを得なかった。



彼の眼は『雷の眼』・・・この眼は電気の動きが良く視える

どう動くか手に取るように解る・・・。


そして何より・・・。



「この眼がトリガーなんですよね、この腕は。」


「・・・ふふふ、そこまで見抜いておったか。」


「だって貴方も同じ義手をつけているでしょう?」



彼女の雷を操る力は・・・僕の義手と全く同じ

彼女が創った彼女の腕に宿る物で・・・。


それを動かすトリガーとなるのが、その雷の眼だったのだ。


5年かけて観察し続けて

ようやく手に入れた答え


この永遠とも思えた時を終わらせる

唯一の方法だった。



「・・・もう、終わりにしましょう。」


「童ごときが・・・妾を殺すと申すか?」


「貴方と同じ力を手に入れたのは・・・この眼ならハッキリ解りますから。」



同じ力が使えたとして

初めて起動させる僕が彼女に勝てるだろうか?


そう疑問に感じていた。


でも、ある時勝てる確信が出来たのだ。

だから僕は今、彼女の目の前に居る。



「貴方は・・・本当は勇葉をそばに置きたかったんじゃないですか?」


「・・・何故そう思う?」



黒雷の眉がひくりと動く

図星をつかれたときの彼女の癖だ



「貴方は・・・死にたかったんじゃないですか。」



空気が凍るのを感じた

彼女の計画では恐らく

僕には悟られずにこうなる予定だったのだろう


僕に自分を恨むよう仕向けつつ

彼女は僕を生かし続けた


色々な動物との戦闘ショーだってやらされたが

結果的に僕は鍛えられていたんだ。



「・・・何を根拠に・・・そんな・・・。」


「ずっと疑問でした・・・こんな物騒な能力を持った腕を僕に渡したり、願いを叶える死神と僕を仲良くさせたり。」


「・・・それもこれも、こうなる為に妾が仕向けたというのか・・・?」


「貴方はミスでこんな事にはしません、優秀な女性ですから。」



雷雲を呼び標準を彼女に合わせた

それでも彼女は避ける素振りも見せない


ついに彼女はため息をついた

どうやら戦うつもりも無くなったらしい。



「・・・そこまで解っているのなら・・・黙っていてくれれば良かったものを・・・。」


「・・・聞きたかったんです、あなたの口から・・・何で死のうだなんて考えたんですか。」


「疲れてしもうたのじゃ、神の長生きはお主が思うより辛いものでな。」



僕には理解出来ない理由だったのが

僕には何故だか悲しかった


そんな理由で、死んで欲しく何か無かった。



「さて・・・これを聞いて、お主はどうする・・・?殺すのを、辞めるか?」


「・・・いえ・・・貴方のその願いは・・・死神なんかに渡しません。」



黒死は黒雷が嫌いだった





だけど


黒雷は黒死が好きだった。

僕はそれが一番許せなかったんだ。



「貴方の願いは、僕が叶えます。」



彼女は1ミリでも思っていただろうか

僕が自分を殺すとき


憎しみにまみれ、怒りに身を任せつつも

僕が彼女を愛してしまった事を








・・・大きな音をたてて彼女を貫いた雷は

今のぼくの心境と少し似ていた。



「なぁ~んだ、つまんないの・・・結局黒雷の手のひらの上だったってことー?」


「・・・そうだね。」



口を尖らせる死神

・・・僕は君が大嫌いだ


だけど大嫌いな死神に

最後にもうひとつだけ・・・。


叶えて貰わなければいけない願いがあった。



「ねぇ、カイ・・・最後にもう一つだけ、願いを叶えて欲しいんだ。」


「えー・・・?またぁ?」


「これを叶えるためなら、どんな苦しい対価でも払うよ。」



そう聞くと死神は悪戯な子供のように

ニヤっと笑ってこちらに走ってきた


どうやら交渉は上手くいったようだ。



「じゃあ!君からは『死』を貰おうかな!」


「・・・どういうこと?」


「君はこの先金輪際、死ぬ事ができない・・・老いて土に還っても、灰になったってその苦しみを永遠に感じ続けるのさ!」


「まるで地獄の亡者だね。」



ご機嫌そうに嗤う死神

その顔を見るだけで虫唾が走る



「やめるかい?」


「とんでもない。」



そう・・・こんな奴に祈ってでも

例え永遠の苦しみを受けてでも


僕にはやらなければいけないことがあった。



「僕を、黒雷の産まれる前の時代まで飛ばしてくれ。」



彼女さえ生まれて来なければ

僕も勇葉も・・・人生を無茶苦茶にされる事は無かった


だから僕は生まれて来る前の彼女を殺して

勇葉が幸せになれる未来を作らなければいけない


たった今この手で奪ってしまった、勇葉の未来を



「いいねぇ・・・その願い、叶えてあげよう!」



真っ黒な光が世界を包む

この光に幾人という者が魅せられてきたのだろう?



当然僕もその一人なのだろうが。




たった一人の親友も

愛した人も


この手で殺してしまったというのに


僕はもう一度彼女を殺しにいくんだ




そう思うと


僕の心は



真っ暗病みになっていった。

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