名前を呼んで
「雑巾絞れてねーぞ平太。」
「平太さん、昨日の晩どっか行ってまいした?」
「た、大変だったんだよ・・・!」
「神月も居なかったような気がしたけど夢かな・・・?」
「太陽はぐっすり寝てたじゃない・・・。」
・・・いつからだろう・・・この二人が
平太の事を、『平太』と呼ぶようになったのは・・・。
前は大変院って苗字で呼んでたのに・・・。
「大変院平太ってさー上から読んでもしたから読んでも大変院平太だよな。」
「そんなこと言ったら太陽!てめーだって日向 太陽って太陽まみれじゃねーか!な!司!」
「ええ!僕にふらないでよ!名前で遊ぶのは良くないんじゃない!?」
・・・全く、その通りだ
名前で遊ぶなんて言語道断
ましてや遊び半分のような名前を子供につける親は
ぼくは絶対に許さない。
「神月!お前のお供だろ!注意してやってくれよ!」
「神月のお供ってなんだよ!俺が犬とか猿だったら大変だぞ!」
「すいません神月さんうちの太陽が・・・。」
・・・。
皆名前で呼び合ってるのに僕だけ苗字で呼ばれている・・・。
・・・前から薄々思っていたことなのだが・・・。
もしかして・・・僕、少し距離を置かれているんじゃないだろうか?
平太は人懐っこいからな・・・すぐ打ち解けられたのだろう。
僕はそんな風にはできないから・・・なんというか。
少し羨ましかったりする。
「いや、構わない・・・太陽、司くんにあまり迷惑をかけるなよ。」
「俺に注意すんのかよ!」
「他に誰にするんだやかましい。いいからさっさと掃除を続けろ。」
・・・皆静かに掃除を続けた
僕が言ったからだろうか?
さっきまでの雰囲気が若干悪くなったような・・・。
ぼくはどうすれば・・・。
「そういや神月って下の名前なんていうの?」
「あ、僕も聞いたことないです。」
「へっへ・・・こいつ大変なんだぜ、漢字で『海竜』って書いて・・・!」
「や!やめろ平太!!!」
・・・思わず叫んでしまった・・・。
皆がまたシーンとする・・・。
もう・・・これだけは言いたくなかったが
僕だって皆に近づく努力をしなければ・・・!
このメンバーでハブられたら今度こそ生きていけない気がする。
「な、なまえ位自分で言える・・・。」
「海竜って書いて?うーん・・・うみたつ?」
「・・・ま、『マリンドラゴン』だ・・・。」
・・・また妙な間が空いた
そう、僕の名前は神月 海竜・・・
所謂キラキラネームというやつなのだ・・・。
「い、いいじゃんマリンドラゴン・・・かっこいいよな・・・!」
「顔が引きずっているぞ太陽・・・無理しなくてもいい、この名前でどれだけいじめられたことか・・・。」
「大変だったんですね・・・・。」
「司!それ俺の台詞!」
平太が意味のわからないことを言うと・・・急に目の色が変わった
この目は・・・いつもの・・・!!!
咄嗟に全員臨戦体制になった。
「大変だ!インベイダーが来る!!」
天井を突き破って現れたのは・・・炎を纏ったローブの怪しい男・・・
この熱気・・・雰囲気・・・!
今までの奴とは違う・・・!
まるでこの世界の住人とは違うのだ。
これは・・・本命のお出ましか!
「・・・我が名はインベイダー・・・今日こそキサマらを始末する・・・!!」
「炎対決か!やってやる!」
「気をつけろサラマンド!こいつは強い!」
「お前こそ!死ぬなよリヴァイオ!」
ふわっとした『何か』が通った
・・・この感覚どこかで感じたことがある・・・。
これは・・・もしかして担任の・・・?
「黒幻先生!?」
「コイツは君たちで勝てるような相手じゃないよ・・・下がってて。」
「はぁ?!だけどインベイダーは・・・!」
「黒炎はインベイダーより何百倍も強いんだよ。アホだけど。」
インベイダーより強い・・・?
なんでそんな奴がなんでインベイダーに洗脳されているんだ?
「邪魔をするな黒幻!!!」
「いまからイリュージョンショーでも見せてあげるよ!!」
そういうと黒幻先生は邪悪な魔王の様な怪物を召喚した
その怪物には黒炎の炎は聞いておらず
一方的に黒炎を襲いかかった。
「・・・っく!なんだこの強いのは?!」
「ふふ・・・君なんてこれで十分!!」
「・・・いや・・・これ普通に考えて幻じゃね?」
「ばか!太陽!僕も解説せずに黙ってたのに!」
「幻か!じゃあ怖くないな!!」
アホ太陽!!なんで味方の手の内を読んでしかも
バラしてしまうんだ!このままじゃ・・・!
「直接お前をバラバラにしてやる!黒炎斬!!」
「うわああぁぁぁ!!!」
黒幻先生がバラされるじゃないか!
うまいこと言ってる場合じゃない!
助けないと!!
「・・・なぁんちゃって。」
「・・・何?!」
「それも幻さ。」
「・・・卑怯だぞ!!」
流石黒幻先生!うまいこと回避した!
・・・時々思うんだけど・・・。
僕らが頑張らなくても、インベイダーは大人が倒したりしちゃダメなんだろうか・・・?
別に勇者じゃなくっても
倒してくれた方がありがたいのに。
「そんなに言うなら全て幻を解いてあげるよ?」
ぱ、と現実の世界に戻った
今まで夢を見ていたようだ。
現実に戻ってびっくりした・・・。
黒炎が傷だらけでうずくまっているじゃないか!
「僕はね、記憶や考え、感情・・・五感を全て操れるんだよ、黒炎。」
「・・・なっ・・・なん・・・。」
「君がここに入ってきた所から、全部君の脳を僕が弄って見ていた幻だったのさ。その間に一方的にやらせてもらったよ。」
そんなに強いんならそれこそインベイダーも倒してくれればいいのに・・・
なんでぼくらが戦わなくてはいけないのか・・・いや、それが運命なんだ
最近太陽みたいな考えが感染ってきていてしかたない・・・。
全く、ぼくも甘くなったものだ。
「・・・その甘くなった君に、インベイダーが倒せるのかはわからないけど・・・。」
「え?あっすいません・・・?」
「僕は心が読めるからね・・・それより・・・。」
「オレハ・・・イン・・・ベイダー・・・。」
あんなにズタボロになった黒炎がたちあがった?!
いったいなんで・・・!?
「インベイダー本体を倒さないといけないんだよ、神月くん。・・・太陽くんと司くんには黒炎をまかせるよ。」
「お・・・おう!」
「がんばります!」
「ボロボロだけど強敵だ・・・気を付けて。」
「お、おれっちは?」
「・・・僕は心が読めるんだ・・・まだ見て見ぬふりをしていると思ったら大間違いだぞ。もう、そんな余裕ないからね。」
・・・なにをいってるんだ?黒幻先生は・・・?
まさか・・・近くに本物のインベイダーが!?
「神月くん、半分正解だけど・・・半分は不正解だ。」
「・・・と、いうと・・・?」
黒幻先生はちらっと平太の方を見た
・・・平太はごくりと唾を飲んだ・・・。
まさか
そんなことはないよな?
「・・・大変院 平太・・・君がインベイダーなんだろ?」
時が止まるのを感じた
「・・・ちぇ・・・ばれちまったか・・・。」




