悪魔の白兎
「さぁーって・・・問題は仕事をどうやってサボるかだなぁ・・・。」
「聞こえたぞ黒死・・・。」
「黒命様の所に向かうんだナ?」
・・・僕は今二人の死神に壁際まで追い詰められている
早く黒命を迎えに行かなきゃけないってのに・・・!
でも、強くこの二人にいうわけにもいかないのだ
そもそも、なんで追われてるかって・・・。
「さぁ!早く仕事に戻るんだ黒死・・・!」
「逃がさねぇゼ?お前デスクワークばっかり残しやがって・・・!!」
そう!僕が仕事をサボりまくったせいで
サインしなきゃいけない資料が山盛りなのだ
さっきの電話のせいで場所が特定されてしまい
二人に追い詰められて絶体絶命である
僕はデスクワークなんか向いてないんだよ・・・!
「見つけマシタヨ!ワタシのお月様!!」
・・・月から声が聞こえた
聞き覚えのある声・・・。
次の瞬間僕はその声の主に
お姫様抱っこで持ち上げられて
連れ去られてしまったのだ。
「スコーピオン!!コイツ悪魔だゼ!」
「落ち着けジェミニ、俺が引っ捕える!黒死ごとぶっ飛ばしてくれる。」
「お前こそ落ち着け!それはダメだろ!!!」
・・・死神二人で漫才をしている間に僕は連れ去られてしまったのであった・・・。
よかった、これで天界にいけそうだ!
「・・・お怪我はありまセンか?黒死サマ?」
「助かったケド・・・君、どこかであったことある人?」
兎の獣人・・・の、姿をした悪魔だった
悪魔に知り合いなんかいないけど・・・。
「ふふ・・・!ワタシです!獣の姿にしかなれなかった!兎です!」
「・・・ああ!あの獣人達の世界の?」
「ハイ!死神サマにお近づきするために!地獄に落ちてきたんデス!」
「それで、そんな姿なんだねぇ・・・まぁある意味君が望んでいた姿だよね。」
「早速で申し訳ないのデスが・・・!ワタシとお付き合いしてくだサイ!!」
・・・えぇぇぇ!?
どうしよう・・・そんな事のためにさらわれたのか僕・・・。
ど、どうやって断れば・・・わざわざ僕のために悪魔になっちゃったのこの人・・・!!
何か愛とか感じちゃうよね!ここまでされると・・・!
だけども!僕は・・・!
「あの、悪いんだけど・・・僕男の人とはちょっと・・・。ノーマルだから・・・。」
「・・・え?・・・ちょっと失礼しマス。」
木の陰に歩いて行って何やらモゾモゾしだした兎さん
何事だろうか・・・。
すると突然地面にうつ伏せに倒れてしまった。
泣き声も聞こえる・・・。
「うう・・・まさか・・・男の悪魔に・・・転生するなんて・・・。」
「・・・あ、きみメス兎だったんだ・・・。」
「せっかく悪魔になったのに!男じゃだめじゃないデスカ!」
・・・そんなこと言われてもなぁ・・・。
悪魔になってまで来てくれたのは本当に嬉しいけど
こういうのってよくあるパターンなんだよね・・・。
悪魔になることを『転生』と捉えてない人によくあるパターン・・・。
一応、別の生き物に生まれ変わるわけだからね。
性別がいつまでも同じって訳じゃないんだよね。
「・・・あの、友達くらいにならなってあげてもいいよ・・・。」
「・・・コチラに知り合いもいないデスから・・・一応おねがいシマス・・・。」
「なんかごめんね・・・えっと・・・名前は?」
「アリマセンケド・・・。いましがた生まれマシたのデ・・・。前のもワスレマシタ。」
・・・なんだか気の毒になっちゃったなぁ。
わざわざ転生までして告白してくれたのに・・・。
性別の壁に衝突して恋心も冷めてしまったようだ・・・。
明らかに態度が冷たくなったもん
ちょっとだけどわかるんだぞ兎くん・・・。
・・・あ、そうだ。
「じゃあぼくが名前を考えてあげよう!」
「また対価をとったりするんデス?」
「・・・あ、君の願い事、叶えたことあったんだっけ・・・。大丈夫だよ!今回は勝手に名付けるだけだし!」
「ナラ、一応きいてあげマス。」
・・・悪魔ってのは転生の時に微妙に前世の記憶持ってるから困る・・・。
この子の願いを叶える時・・・対価、何とったけなぁ・・・。
願い事も覚えてないや。
「そうだな、『シロウサギ』なんてどうだろう。」
「・・・適当デスネ・・・。」
・・・まぁそうだけどさ・・・。
だけどこの子がいた世界のネーミングなんて
みんなこんな感じだったし・・・。
「じゃあ、これからシロウサギって名乗ればいいんデスネ。」
「採用してくれるの?」
「まぁ、ハジメテの友達さんがせっかく名づけてくれマシタからネ。」
まさか気に入るとは!
もっとちゃんと考えてあげればよかった・・・。
まぁいいか・・・わかりやすいし・・・。
「ところでアナタ、何で死神サンたちかた逃げてたんデス?」
「・・・しまったあぁ!!!!」
忘れてたあああぁぁぁぁ!!
黒命の所に行かなきゃ!!
天界で事件発生中だったんだ!
「ごめん!ここ僕の家の地図!」
「・・・ハイ?」
「ここに帰ってくるから!お話は今度しよ!」
「エ・・・ナンパデスカ・・・?マサカ男色趣味が・・・。」
「違うよ!引かないでよ!しかも君が!とにかく急いでるから!!」
こうして僕は黒命を連れ、騎士団院に戻るのだった・・・。
シロウサギには、お礼とお詫びを込めて・・・。
今度人参のクッキーでもご馳走してあげよう。




