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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
犬耳ヒーロー
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嫌われ者のヒーロー


俺の名前はノライヌ。

行く宛も無く、町の周りで寝床を探しているホームレスみたいなもんで


野良の犬だから町の奴がそう呼んでる。


俺に行く宛が無い理由の一つ・・・俺には生まれ持っての障害があった。



「教会に何の用だ、ノライヌ。」



教会にバッファローが入ってきた。

そのバッファローは角だけを残して人の形になった。


「・・・飯食わせてよ、バッファ朗。」


「・・・またか、しかたのないやつめ。」



この世界の人間は、動物の耳や尻尾をもっている

俺にも犬耳に尻尾があるのだが。


普通はこいつみたいに動物の形、『ケモノガタ』と

人の形、『ヒトガタ』に変身できるんだ。


だけど、おれはケモノガタになれない・・・。

犬だけど、犬の姿にはなれないのだ。


「クロネコはどうしている?」


「機械いじりしてる・・・。」


「あいつも相変わらずだな、あいつの分ももってってやれよ。」


クロネコは、俺の親友・・・黒い猫だからクロネコ

ホームレス仲間みたいなもので一緒にくらしてる。


あいつがいるおかげで、これといってさみしくもなく野良犬をさせて貰っている。


「いつもわりぃな、バッファ郎。」


「シカ男がもってくるからな・・・何、これも『君のいる場所に、光あれ』だ。」


「・・・なにそれ?」


「神の教えだ馬鹿者、正式には炎の勇者『サラマンド』を生涯支えたとされる・・・。」


「はい!!!ご馳走様でした!!」


「・・・。」



こいつの神話の話は死ぬほど長い。

今日はさっさと帰る事にした。


俺が食事を食べ終わると、白い兎がはいってきた。



「これはノライヌサン、またいらっしゃってたんデスネ。」


「お前も飯漁りか?ノラウサギ?」


「失礼な、ボクは神に祈りにきたんデスョ・・・。」



こいつは、俺の逆で、ヒトガタになれない・・・もはや喋る兎だ。

教会は弱い者の味方だ、だから自然と俺らは教会に集まってしまう。



「・・・ボクは恋をシタんデスョ・・・!お月様にネ・・・!」


「へ、へぇ・・・。」


やっぱ変な奴だなコイツ・・・。

月ねぇ・・・確かに綺麗だけどさ。



「そういえば、町で不審死が増えてるんだ、お前らも気をつけろよ。」


「不審死デスカ?」


「ああ、水も無いところで溺死するって事件だ・・・。」


「事件・・・!これは!俺の出番か!?」



俺には、障害意外にももう一つ人と違ったところがあった

それは体から炎を出すことができるってこと。


こんなこと出来るのは俺だけだし、だからこそ俺は

いつもこんな事件から街を守っているのだ・・・が。



「お前が暴力で事件を解決したところで、いつも通り街の奴は『乱暴者』で片付けるだけだろう。」


「・・・別にヒーローになるためにやってるわけじゃあねぇし・・・。正義のためだよ!」


「祈り終わったのデ、ボクはかえりマスネ。」



帰りやがってあのウサギ・・・全く話に興味ないな・・・。

いつもなんだかいい加減なんだ、あいつは


まぁ確かにどんなに悪い奴を倒したって

俺は野良の無法者だよな。


暴力で解決したって結局はヒーローにはなれない・・・。

っても、俺もこんなの慣れっこだけど。






最近の寝どころに帰ってクロネコにも事件の話をした。

クロネコは機械をいじりながら話を聞いてくれる。


「ふぅん・・・それ、お前じゃやべぇんじゃねぇの?」


「・・・どゆこと?」


「溺死って事は、水で溺れてんだろ、もしお前みたいに特殊な能力をもった奴が犯人だったら・・・。」



確かに、水かけたら炎は消えちゃう・・・。

相性は悪そうだけど、気合でなんとかなんないかな・・・。



「そもそも、『犯人』がいて溺れさせてるとは限らないだろ?」


「そ、そうだけど・・・。」


それもそうか・・・。

どっちにしても誰を倒せばいいかわからなければ

俺としてはお手上げだった。



「とりあえず、捜索用のマシンもうすぐできるから・・・。」


「・・・!!ってことは!クロネコ・・・!!」


「ささっと探してとっとと片付けるぞ!」



クロネコは機械いじりが得意だ、今回も

ラジコンみたいなのにカメラがついてるマシンを作ってくれた


これで、水がないところに溺れる所を撮影しちゃえば敵がわかる!

流石俺の相棒!これでまた街を守れそうだ!




翌朝、マシンに録画された映像を見て俺たちは凍ついた。

空中に浮かぶ水・・・それによって溺れる住人・・・。

こんな現象を見たのは初めてで・・・。


しかも、その映像には・・・。



「・・・これ、ノラウサギ、だよな?」


「・・・まさか、あいつが犯人な訳が・・・そもそもあいつにこんな能力あるわけないし・・・。」



きっと、偶然通りかかったんだ

俺はそう思って今日も協会に行った。


ノラウサギが来るのを待って、目撃情報を聞こうと思ったんだ。

あいつは人殺しなんかしない。

そんな奴じゃないから・・・でも、その場で見たことは聞かせて欲しかったんだ。



「・・・ノライヌ、私の儀式書を知らないか?」


「・・・バッファ郎、それって名前的に無くしちゃダメなんじゃね?」


「金庫にしまってあったんだが・・・いつの間にか無くなっていて・・・。」



全く・・・これだから牛は・・・。

のんびりしすぎなんだよ!このやろう!



「一緒に探してやるよ!どんな本なんだ?」


「分厚くて青い本だ。『リヴァイオの儀式書』と言ってな・・・遠い世界の水の勇者の力を得られると言われている。」


「無くすなよ!んなもん!絶対やべーじゃねーか!」


「しかし、生贄を捧げ続けないと自分が生贄となってしまう恐ろしい書物でな・・・一説では悪魔に変えられるとか・・・。」


「危険極まりねーな!!!」



のんびりしてるにも程がある!なんでそんなもんなくすんだ?

文句をいいつつ一日中探し回ったけど、儀式書は見つからなかった。


しかもノラウサギも来なかったし・・・。

なんて不毛な一日だ・・・。



「・・・そうか、こなかったのかノラウサギ。」


「クロネコぉ・・・またデカイの作ってるな・・・。」


「お前を見張る為のマシン。」


「へ、へぇ。」



こんなでっかいマシン、完成したらすごいだろうなぁ・・・。

空まで届きそう・・・。


・・・ん?


「空まで届く?」


「あ?」


「ノラウサギ、月に恋したって・・・言っててさ。」


「ふぅん?アホだな相変わらず・・・。」



そうだ、あいつはアホだから。

だから、月に行きたくなって。


大きな力を欲しがったのかもしれない。



「もしかしたら・・・月に行くために、儀式書を協会から盗んだのかも・・・?」


「儀式書って・・・?」


「そうだとしたら・・・つじつまが合う気がする・・・。」


「俺の疑問にも答えろよアホ犬!」


「いて!」



スパナで殴られた・・・殺す気かこいつ!

力加減ってもんを覚えて欲しいものだ。


それを本人に伝えようと

ふと、見上げると・・・空中に浮かぶ水が見えた。

クロネコの、真上に・・・!

マシンが、録画したのと同じ・・・!



「危ない!クロネコ!」



急に水が襲ってきた。

間一髪避けれたが、あのままあれにあたっていたら・・・。

そして、やはり、そこに立っていたのは・・・。

儀式書を持った、ノラウサギ。



「ノライヌサン、ボクの事、嗅ぎ回ってマスネ?流石はお犬様ダ。」


「・・・ノラウサギ・・・お前何で・・・!」


「ボクにでも、届くカモしれないんデス・・・生贄になって下さい!」



言ってる事は意味不明だが、どうやら戦る気のようだ。


俺は全身から発火した、でもすぐに消火されてしまった。

そのまま俺は水に飲み込まれてしまう。

・・・だめだ、水には勝てないのか、炎じゃ・・・。


だけど、俺の後ろから発砲音が聞こえて。

クロネコが銃で・・・ノラウサギの儀式書を打ち抜いていた。



「儀式書がなんやら言ってたのって・・・こうでいいのか?」


「さっすがクロネコ!」



一瞬、水がまとわりつかなくなったのだ。

ラッキー!やるなら今しかない!


相手はノラウサギ、戦うのは気が引ける・・・だけど

それ以上に俺はドキドキしてしまった。


『強い相手と戦える』ということに!




「炎がダメなら・・・!」



俺は炎の中から剣を召喚した。

こんなこともできるのか俺


そんなことより・・・


とにかく今は戦いたい!!!



「うおおおぉぉぉ!!!!」




気がついたら俺は・・・ノラウサギを殺してしまっていた。

・・・こいつが持っていた儀式書は間違いなく協会のものだった。


いつもそうだ


俺は戦闘となると熱くなって

もっと戦っていたくなる


ただ・・・戦闘が楽しいだけだ

街の人が怖がるのも、当然だ・・・。



「・・・落ち込むんならやんなきゃいいのに。」


「・・・戦わなきゃ・・・いられないんだ・・・。」


「・・・。」



クロネコはそっと、俺の横に座ってこう言った。



「お前は、俺にとってはヒーローだよ。」



俺は何度もこの言葉に救われた・・・。

そして明日も、街を守って後悔して。


きっとこの言葉に、救われるんだ。

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