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運命管理局『黒の騎士団』  作者: 東雲 紋次郎
アラサーマジシャン
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復讐リッパー


今日も仕事の帰り道


こんな都会で仕事ができるキャリアウーマンな私も

この時間はただのクタクタのアラサー女子・・・。



「あのセクハラ課長・・・いつか捻り潰してくれるわ・・・!私のメテオ魔法で・・・!」



そうよ、私の魔法なら・・・上司でさえなければ!

あんな奴ペッタンコにしてやるんだから!


見てなさいよ!


・・・そこでふ、と思ったの

ああ、これがピエロが言ってた負の感情なんだなって。


そうね、誰にでもあるものなのよ

だってこの社会で生きるのって

なかなか大変なものだものね。


「・・・あら、素敵な歌声・・・。」



なんだかとっても癒される、少年の声

さっきまでのイライラが嘘のように心が落ち着いた・・・。



「こんばんわ、久しぶりだねお姉さん。」



・・・そこにいたのは・・・いつぞやの、狐面の少年・・・。

この子もお化けなのかしら・・・。

そしてやっぱり、グラシア達のように・・・。



「僕、お姉さんに伝えたい事があって来たんだ。」


「・・・何よ?」


「お姉さんの考えは、間違ってないよ。」



まるっきり心当たりが無い訳じゃ無かった。

ピエロの言葉がやっぱり引っかかっていたから

だけど・・・。



「・・・黒歌くん、だっけ?」


「覚えててくれたんだね。」


「あなたは何を知ってるの?」


「・・・全部知ってるよ。」



狐のお面をそっととったその子は

本当に全てを見据えた様な顔をしていて


真っ直ぐな目でこっちを見てきた。



「・・・グラシアを助けてあげて、お姉さん・・・。」



そう言って彼はまた消えてしまった。

・・・なぜグラシアの事を知っているのだろう。

全部知っているってどういうことだろう・・・。


そんな事を考えながら、私はグラシアのいる家に帰った・・・。



「おかえりなさい!ねぇ!大変なんだ!助けて!お姉さん!」



凄い剣幕で玄関で騒ぎたてるグラシア・・・こんなことなかったのに

どうしたのかしら・・・?



「どうしたの?グラシア?」


「僕の・・・僕の友達が・・・!」



グラシアが手に持っていた新聞水晶には

『大量斬殺事件』の文字が浮かんでいた。


・・・街の人が無差別に何人も殺されている。

それも・・・お化けの手で・・・。



「スカーフ・ザ・リッパーだ!僕の友達が犯人なんだ!」


「・・・そうなの?」


「こんなの・・・!あいつにしかできないんだ!」



私はいてもたってもいられなくなって

グラシアと夜の街に飛び出した


私はどうするつもりなのかしら?

犯人を倒す?説得する?

どちらにしたって人々の恨みをかったお友達は

ただでは済まないでしょうね・・・。


それどころか、人間のお化け達への憎悪は

さらに増したでしょうね。


「待っていたぞグラシア!」


「・・・!リッパー!なんでこんなことを・・・!」



屋根の上から急に降りてきたスカーフを巻いた斬殺鬼・・・。

念の為魔力を杖に貯めておく。



「お前も来い!人間を二人で!全員倒しちまおう!それしか俺らが生きる道はない!!」


「そんなことないよ!いい人間だって、いるんだよ!」


「・・・今はそいつの世話になってるのか、グラシア・・・だがな。」



わかってるわそんなこと

コイツの言うとおり・・・。

この街の人がお化けを許す余地はもうないし・・・。



「そいつが死んだらその後お前はどうするつもりだ?」



・・・そう、人間の寿命は短いの

私は最後まで・・・この子の面倒を見れない


それまでに私はどうするつもりなの?



「・・・わ、わかんない・・・ケド!きっと他にも方法はあるよ!」


「その方法ってなんだ?具体的な案はあるのか?」


「・・・ない、けど・・・。」


「・・・何よりこれは復讐なんだよ、グラシア。」



復讐・・・そんなもの、悲しいだけなのに

私にはやっぱり・・・



「・・・お前にその気がないなら・・・お前まで巻き込むつもりはない。」


「・・・リッパー・・・。」


「だがなグラシア、憎しみというのはお前ほど簡単に消せないのだ。」


「・・・ぼくにだって・・・あるよ、憎しみ・・・。」



やっぱりグラシアも人間を憎んでる

私にできることは何?


そのために、私が犠牲になったらこの子は

何を思うのかしら・・・。



「・・・グラシア、もし邪魔をするなら・・・お前でも、斬るからな。」



そういってスカーフ・ザ・リッパーは去っていった。

私は何もできなかった。

グラシアは落ち込んでいた。


ただ一つ、何故か私の心の奥には




黒歌くんの言葉がぐるぐると回っていた・・・。



そしてその晩、私はこっそり

家を抜け出して・・・。


ある場所へと、向かっていた。

私は足を止められなかったのだ。


私はただ、グラシアを守りたかった・・・。








「・・・ほらね、だから言ったでしょ・・・運命には逆らえないんだよ。」

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