弱虫クラウン
僕は今日とんでもない物を呼び出してしまったのだ・・・!
黒の騎士団・・・黒幻を・・・!
「・・・僕を飛び出すなんて・・・なかなかの腕だね?ヴィヴ・ソーサラー。」
そう言って彼は割と友好的に・・・
僕の体に取り憑いてきた
彼には本体が無く、精神的な存在なのだ。
「黒幻・・・君は、人の心が読めるのだろう?」
「・・・まぁね。」
「君の力で・・・彼女の・・・アンジュ・ウィザードの・・・!!」
こうして僕は・・・彼の力で・・・!!!
彼女が今欲しいものを知ることができたのである!!!!
「ふふ・・・まさかサーカスが見たかったなんてね・・・!」
「・・・ねぇ。」
「なんだい?」
「僕の力を使えば・・・彼女の感情なんかも思いのままなんだけど・・・。」
「知ってるけど・・・?」
「彼女が君の事を好きになればいいんだろ?それなら僕が・・・。」
「・・・そんなんで好きになってもらっても意味ないんだよ。」
そう、僕の力で振り向かせたいんだ。
感情操作してしまった彼女はもう、僕の好きな彼女じゃない。
・・・そうして、サーカスのチケットを二枚買っていった僕は・・・
「やぁ、アンジュ!偶然サーカスのチケットが2枚手に入っちゃって・・・。」
「まぁ、なんて気が利くのヴィヴ!ちょうど見たかったの!行きましょうグラシア!」
そうして彼女はチケットを二枚とも僕から取り上げて
グラシアと二人でサーカスに行くのである・・・!!
「妄想の中で位は成功すればいいのに・・・。」
「妄想じゃなくてシュミレーション!ということで・・・!」
チケットをしっかり3枚買ってアンジュの家に出かけたのである!
もはやデートではないけど!僕は満足だ!
「アンジュ・・・たまたまサーカスのチケットが3枚手に入ったんだけど・・・。」
「ヴィヴおにーさんこんにちはぁー!」
「ふんがー!」
「あらヴィヴいらっしゃい。今日はちょうどグラシアが友達を連れてきてたのよ!あなたなんて気が利くのかしら!」
・・・こうして僕は・・・彼女と出かける事もできず
相変わらず小さなヴァンパイアと・・・今日はその友達に・・・。
敗北してしまったのだった・・・。
「・・・僕の力で君と行きたくすることもできたんだけど・・・。」
「それも何かズルだろ・・・それじゃダメなんだよ!」
「わざわざ後を付ける位ならそれでもいいんじゃない?」
う・・・痛い所をついてくる・・・。
僕は今双眼鏡で彼女を眺めているのだ・・・。
サーカスを見て喜んでいる彼女を・・・。
「でも、アンジュ楽しそうだから・・・。」
「・・・君がいいんなら、別にいいんだけどね・・・。」
なかなかの迫力だったわね・・・!
今日はヴィヴが持って来てくれたチケットのおかげて、とても楽しい時間が過ごせた。
「サーカスって、すごいね!」
「ふんがー!」
「・・・お友達君はなんて言ってるの・・・?」
「・・・?『ふんがー』って言ってる。」
「・・・そう。」
グラシアが友達を連れて来たのだけれど・・・。その・・・。
『ふんがー』しか言えないようでコミュニケーションに困っている。
友達を連れて来れるまで、活動的になってくれたのは嬉しいのだけれど・・・。
「お友達も、お化けなのね。」
「うん!フランケンショタインっていうんだ!」
フランケンシュタインの子供版のようで・・・。
まぁ、可愛らしいからなんでもいいわ。
「フランはお花が好きなんだ!ね!」
「ふんがっ!」
「へぇ・・・力持ちで心優しい子なのかしら・・・?」
「そー!よくわかったねおねーさん!」
「なんとなくね。」
なんというか・・・想像通りのフランケンシュタイン・・・。
が、子供になったみたいな、そんなお友達君。
「・・・人間は皆が皆、意地悪ではないんだね。」
「ふんが・・・。」
「その子も意地悪されるの・・・?」
「・・・僕たちは、4人で仲良く平和に暮らしてたんだよ。」
僕たち4人・・・?お化けの仲間かしら・・・。
人間はお化け達を嫌うわ。
だからお化けと見ると
皆追い出してしまう
この子達の居場所はきっと
どこにもなかったのでしょうね。
「・・・僕たちは何もしてないのに・・・ショコラも、リッパーも・・・フランだって最近まで・・・皆バラバラになって。」
「ふんがぁ・・・。」
・・・人間の心はなんて醜いのかしら
なんの罪もないこの子達の居場所を奪って
それも、ただ自分たちが勝手に恐れて
お化けだというだけで・・・。
「醜い心を綺麗にする方法・・・ボクなら知ってるよ?」
目の前に現れたのは・・・ピエロ?
でも、こんなピエロいたかしら?
公演中は見かけて・・・。
【いや、はじめに出てきたピエロだ。】
・・・ああ、そうそう、初めにこんなピエロ、いた気がするわ。
「ハジメニイタピエロサンダー!」
「フンガー!」
この子達にも記憶があるようだし
マチガイナイ、ハジメニデテキタピエロダ。
そう、間違いないわ。
「ボクはねぇー・・・ここで、人の心を集めてるんだ。」
「・・・心を集める?」
「そう、『負の感情』・・・をね・・・。」
「そんなもの、集めてどうするの?」
「負の感情がなくなれば、皆幸せで優しい心になれるんだ!ご覧よ!」
サーカスで配っていた風船を木に引っ掛けてしまった少女、そしてそれを取ろうとする男性・・・。
サーカスに入る前、ポイ捨てしていた不良が帰りにゴミを拾っている・・・。
サーカスの外の世界はあんなにイライラしてせかせかしているのに。
中は別世界のように皆親切だった。
「サーカスを見てもらって、負の感情がなくなるくらい、楽しくなってもらったんだ!」
「・・・そうか、ちょっとしたことがきっかけでも、人は『いい人』になれるのね。」
「でも・・・すぐまた負の感情は湧いてしまう。」
・・・そうだろう、みんな仕事も大変だし。
お金を稼がなきゃ生きていけないというのに
その仕事にありつくのも大変だ
私はたまたま魔法の勉強を頑張ったから
文章入力水晶の仕事ができるけど・・・いや
それすらも身を削って、大変な思いをしながらしているし
私より不器用な人はもっと大変だろう。
「・・・でも、器があれば。」
「・・・器?」
「人の心は、人の心の中に入るんだ。」
「どういうこと?」
「・・・世界中の負の感情を・・・一人の人間が・・・。」
【そこで私は目を覚ました】
・・・あれ・・・?いつもまにか・・・寝てた?
歩きながら?私疲れてるのかしら・・・。
「おねーさん、大丈夫?急にどうしたの?」
「ふんがー?」
「本当、どうしたのかしら・・・?」
ふ、と前を見ると
夢に出てきたピエロが
私の方に歩いてきて
「君なら器になれると思うよ?」
そう言ってそのまま
すれ違って去っていった・・・。
夢だったのに
夢じゃなかったの?
グラシアとフランに聞いてみても
私は突然眠り出したそうで・・・。
その時何故か私の脳裏には
あの時出会った狐面の少年が浮かび上がって来たのであった・・・。




