運命の幻想曲
【運命はそれを望まなかった】
【少年はただ選ばれなかったのだ】
【そして再び運命は動き出す】
【運命がそれを望んだから】
【物語はこうして終わっていく】
「なるほどねぇ・・・つまんない話だよ・・・。僕ならもっと面白くするのに・・・あ、そうだ。
こういう続きはどうだろう?」
【物語は終わっても】
【人生は終わらない。】
「ああー今日も疲れた!あ!スチール!お風呂上がったよー!」
「・・・カノンも一人で風呂に入れるようになったんだなぁ・・・。」
「またぁ・・・馬鹿にしてぇ・・・。」
ぼくはぶーたれてベットに腰をかける
スチールとは同じ部屋なんだけど
ときどき一緒に寝てもらうんだ
ちょっと人恋しくなるから・・・。
だって、クリスったら最近忙しくって構ってくれないもん
「ねぇ、スチー・・・。」
隣に座っていたはずのスチールを見て僕は驚いた
いや、正確にはそこにはおらず、かわりに座っていたのは・・・。
「トロイメライ・・・ファンタジア・・・!!」
「ふふふ・・・こんばんわカノン君・・・?」
「お前は処刑されて死んだって聞いた・・・!なんで生きている!?」
「ああ、あいつが死んでくれて助かったよ。おかげでこの体は僕のものだもの。」
・・・なんだか違う・・・。
こいつは・・・トロイメライ=ファンタジアではない・・・!?
「・・・君は、一体だれだい?」
「これは失礼・・・紹介が遅れたね?僕は黒幻・・・。」
ふわっとした何かが見えた。
その中に・・・真っ黒い宝石のようなものが見えた・・・。
「黒の・・・騎士団・・・!?」
「よくわかったねぇ、カノン君。」
「なんで!ここに!?」
「黒の騎士団にはね、黒の騎士団員を殺した者を次の騎士団員として迎え入れるルールがあるんだ。だから迎えにね。」
・・・?
黒の騎士団を倒したのは・・・。
僕じゃなくてスチールだ
「それがね、そのスケルツォ=スチールって人物は実在しないのさ。」
「!?」
「おっと、悪いね・・・ぼくは人の心が読めるんだ・・・。」
「・・・!す、スチールがいないって!?意味わかんない!」
「あれは君が『創り出した』ものなんだよ。」
・・・ぼくがスチールを創った?
一体何を行っているんだ・・・?
「君がお城で暮らすことを望んだから彼は生まれたのさ。」
「そんな!スチールは僕の歌を気に入ってくれてたみたいだけど・・・!クリスをお忍びで連れて来たのは!偶然じゃないか!」
そうだ、仕事の休憩が欲しかったスチールが偶然クリスを連れてきて
それで偶然気に入って貰えた
そして偶然、お城で暮らすことになったのだ。
僕が望んだから?ばかばかしい!
「・・・君はまだ気づかないのかい?自分が何者か・・・?」
「・・・は?何言ってんの?」
「まず・・・何故『それ』を君が知っているの?」
「・・・?」
あれ・・・・?
スチールやクリスと・・・
会う前の二人の記憶がある
「だから言ってるでしょ・・・そもそも僕の名前なんて、知ってるはずがないんだよ?初対面なのに・・・。」
・・・本当だ・・・。
「君・・・自分が思ったことが現実に起こったことってないかい?」
・・・いつか家族が欲しいと
・・・いつか名前がほしいと
・・・お城で暮らしてみたいと・・・
だけど、それはだれしも望む願いで・・・。
「黒の騎士団に、スチールが勝てばいいな・・・とか。」
それだって
あの状況なら誰だって・・・。
「思ったことはないかい?例えば・・・友人の願いを叶えてあげたい・・・とか?」
・・・。
その時脳裏によぎったのは
『早く国王になりたい』と
言ったクリスの横顔だった
「王子が国王の後を継ぐには・・・国王が死ぬしかないしね。
・・・スチールは仇をうったって言ってたけど・・・その死体は見たのかい・・・?」
「・・・やめろ・・・。」
「・・・あの返り血は誰の血だったと思う?」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」
聞きたくない!
聞きたくない!
消えろ!
消えろ・・・!
・・・そう願うと黒幻は消えてしまった・・・。
「・・・ちがう・・・僕じゃない・・・。」
【そんなに疑うんなら他に願うといい】
声が聞こえる・・・。
心の中に・・・。
きっとこれも黒幻の仕業だ・・・。
【例えば・・・今から雨が、ふるとか?】
・・・こんな晴れてるのに雨なんか降るはずがない!
でも・・・もし雨を降らすことが出来たら
その力は僕のもの・・・?
【ほら・・・降り始めた・・・】
僕は・・・確信をしてしまった
気づきたくなかった・・・いや
気づいてないふりをしていた。
「・・・僕は、何者なの・・・?」
「君は『運命』さ・・・全く・・・探すのに苦労したよ。」
運命・・・そうか・・・。
全部僕のせいだったのか・・・。
「黒の騎士団に入れば・・・不老の力が手に入るよ?やったね、声変わりもしないよ。」
「でも・・・倒したのはスチールだから・・・。」
「だからスチールは君が創った君の能力の一部なんだって・・・。もしかしたら『そうだった』事に君がしたのかもしれないけど・・・。」
これは・・・。
・・・多分、いや
間違いなく
「全部・・・僕が望んだことだったんだね・・・。」
「ほら、このイヤリングあげるよ・・・僕らの仲間の証さ。」
ぼくはただ・・・
永遠に、歌い続けたかったんだね
その願いがいま叶ったんだ
いや、全部はじめから叶ってたんだ
僕が運命だったんだから
全部僕が描いた通り
ただ僕にとって都合のいいようにだけ
ただ僕が自己満足するだけの・・・。
くだらない物語だったんだから
「・・・クリスと別れの挨拶をしてくるよ。」
なぜだか笑いがこみ上げてきた
僕は運命だったのだ
僕が運命だったのだ
そう・・・
所詮・・・誰も・・・
【運命には逆らえないんだ】




