運命に選ばれ無かった者
朝から城が騒がしいなぁ・・・。
スチールもおこしに来ないし・・・。
「クリス!!」
「カノン?どうした?」
はぁはぁと、息を切らして泣いているカノン・・・。
怖い夢でも見たのだろうか・・・?
「早く!早く来て!!」
・・・?
カノンについていくとそこには・・・
血まみれになった・・・スチールが・・・。
「スチール!おい!しっかりしろ!」
「・・・俺はなんともないですよ、王子・・・返り血です。」
「・・・なんだ、返り血か。じゃあ怪我はしてないんだな!」
「はい・・・。」
よかった!びっくりした!
スチールが大怪我したのかと思った・・・。
・・・あれ?まてよ?
「・・・返り血・・・?一体誰の・・・?」
「王子・・・気を確かにもって、聞いて下さいね・・・。」
スチールが僕の肩を掴んだ瞬間
全身が凍りつくのを感じた
少し先の未来が見えてしまったかのように
次のスチールの言葉を察してしまったのだ。
「・・・国王が・・・お父様が亡くなりました。」
・・・やっぱり・・・。
大好きだったお父様が死んでしまった。
死んでしまった。
もう会うことは叶わない。
声も聞けない。
もう二度と・・・。
「お父様・・・。」
僕の目から涙は出なかった。
隣でカノンがグズグズ泣いているが
僕は・・・。
涙を流す余裕すら残らないほどに。
絶望してしまったのだ。
「・・・国王を殺した者は・・・私が・・。」
スチールが仇をとってくれたのだな。
それだけは理解できた。
でも
うまく言葉が理解できない。
うまく言葉がでてこない。
僕は
僕は
僕は・・・。
「僕は一度・・・部屋に戻る・・・。」
そう言って、部屋に戻った。
悲しい
辛い
暗い
寂しい
色々な感情がぐちゃぐちゃになって何がなんだか解らない。
僕は王子だから国王が死んだら・・・
どうでもいい
こんなの嫌だ。
嫌だ。
嫌だ・・・。
「嫌だあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「・・・そんなに嫌ならぁ・・・。」
・・・驚いた
僕の目の前に真っ黒なローブの
大きな鎌をもった少年がいたのだ
この部屋には僕しか居ないはずなのに・・・。
「僕が願いを叶えてあげようかぁ・・・?王子様!」
「き・・・君は?」
「僕は死神!『黒死』っていう、えらぁーい死神さ!名前はカイ!カイ君でいいよぉー!」
「・・・かい、くん・・・?」
目の前でペラペラとしゃべりだす少年・・・。
突然のことで僕の頭は真っ白だ。
「君がそれなりの対価をくれるんなら・・・なんでも願いを叶えてあげる!」
「なんでも・・・?」
「そのかわり・・・願いによってはそれなりの対価をもらうけどねぇ!」
ケッケケと、いかにも死神っぽい笑い方をする死神・・・。
本当に何でも叶うのか・・・?
だったら・・・僕は・・・。
どんな悪い奴になってもいい・・・!
「僕は・・・!」
願いを言いかけたその時だった
世界が・・・。
白黒になったのだ。
「ほえ!?なにこれ!?」
「えぇ!死神さんの力じゃないのか?!」
「ちがうよ・・・って!君!消えてる!」
「・・・え!?」
手と足の端っこから
真っ黒い光になって体が消えていく・・・!
なにこれ・・・
ぼく・・・
「嫌だ!消えちゃう!死にたくない!!!」
「・・・それは無理な相談だね?」
「商人さん・・・?」
なんで僕の部屋に、商人さんが・・・?
なんでそんなに冷静なの?
「黒雷!どーゆーことさ!」
「黒死こそ・・・僕の仕事の邪魔しないでくれる?」
「だってぇ!お前むかつくんだもん!握手もしてくれないしさぁ!それより!どういうこと!?世界ごと消えてってるじゃないか!」
・・・!本当だ!この人たちの話はよくわからないが・・・。
世界が消えていっている・・・このままじゃ・・・。
「この世界はね、『運命に選ばれなかった』世界なんだよ。」
「はぁー?運命って、僕らが『直してる』運命でしょ?」
「・・・いや・・・この世界にはね・・・居るんだよ。」
僕を他所に二人は話を進める。
どうして?この二人だけは消えていかないのだ。
そして世界と一緒に僕は・・・消滅してしまった。
【少年はただ、選ばれなかったのだ】




