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魔王の愛した時間


夢を見ていた。

アイツに出会った、あの時の夢を・・・。





私は中学2年の時から、病気にかかって

その時から成長しなくなった。


難しい病気らしくて

まだ治し方は現代の科学ではどうしようもないと

告げられていた。



余命半年。



ある日医者はそう告げた。

私はその時、心底安心した


もう苦しいだけの人生なんて

さっさと終わればよかったんだ。


それなのに、アイツは、私の目の前に現れた。



「・・・お前が、夜野よるの 花火はなびだな?」


「あんた、どう見ても私より年下に見えるんだけど?年上に対して礼儀がなってないんじゃないの?」


「・・・ああ、それは失礼・・・元々こういう人間なのでな。」



ククク、と笑う姿は

なんというか、魔王とかそう言った類の悪者みたいで

世界征服でも目論んでるのかと思った。



「・・・私を治すつもりなんでしょ?試作品の薬で・・・。」


「もちろん、人間としてはお前が初めてだが・・・きっと治る、失敗すれば、寿命が伸びる程度にはなるが・・・。」


「・・・どっちにしても余計なお世話よ、私はあと半年で死んでもう全部終わりにしたいの!苦しいだけの人生なんて・・・!伸びたって辛いだけじゃない!!」



こう言えば大体の奴は黙ってくれた

そう、私は望んでないのよ。


なのに・・・。



「苦しいだけの人生・・・か、安心しろ、もし失敗だったとしても伸ばした寿命で『人生は素晴らしかった』と思わせてやる。」


「・・・口だけではいくらでも言えるもんね。」


「フフ、俺は人生で一度も嘘をついたことが無い、今回もだ。」


「・・・それがまさに嘘っぽいけど・・・。」



でも何故か彼の眼は確信を得ていた。

・・・なんなの?何があるっていうのよ。



「俺は中臣 天丸だ、覚えておけ。」


「・・・名前くらいは覚えといてやるわよ。」



・・・なんだか、良い事がおこりそうな

そんな予感がした。


人生で初めてだった。





・・・だけど、薬は失敗だった。





私の病気は治らなかった。

なのに寿命は6年伸びた。


病苦の日々が6年伸びたのだ。

医者は驚いていたが、私はがっかりしていた。



「・・・嘘つき。」


「人聞きの悪いことを言うな。」



1人で呟いていたのに、あいつはズカズカ入ってきた。

何だっていうのよ!もう!



「俺は嘘をつかないと言っただろう・・・協力してくれた、礼は尽くす。」


「・・・随分でかい口聞いてたもんねー?本当にできるの?」



天丸はバァッ!と

世界中の観光地なんかのパンフレットを

部屋中にばらまいた。



「・・・いくぞ!世界旅行につれていってやる!今からだ!」


「はぁー!?何を急に・・・!?」



窓の外から・・・ヘリの音が聞こえた・・・。

私、世界旅行どころかあんまり外に出たことがないんだけど・・・。



「フハハハハ!逃げ場は無いぞ!夜空花火!!」





こうして約一年に及ぶ私たちの世界旅行が始まった訳で・・・。


天丸はムチャクチャするけど、頼もしくって

行く国々で周囲の人々をなんていうか、征服していったというか・・・。


こいつ性格は最悪だわ。

根性がねじ曲がってる。


でも、いつでも圧倒的優位になっていたおかげで

私もけっこう楽しむ事が出来た・・・。



「俺の夢はな、世界征服なんだ。」


「フフフ、何よそれ。」


「俺は本気だぞ、花火。」



頼りになるし、身長差もあって

すっかり忘れることもあったけど


天丸は私より5歳も年下で・・・。

時々見せる幼稚な所にも、私は・・・だんだん魅かれていった。


だけど、彼を好きになってから

世界旅行が終わるまでの時間はあっという間で・・・。




「あーあ、帰ってきちゃったわね。」


「ククク・・・どうだ?人生とは素晴らしいものだろう、世界にはいろんな人がいて、いろいろなものがある!」


「・・・そうね。」



これで、コイツともお別れか・・・そう思うと少しさみしくなった。

でも仕方ない、コイツは私に・・・礼を尽くしただけだから。



「これからどうしようかな・・・天丸に会えなくなるの、ちょっとだけさみしいわ。」



口に出して彼に言ったの。

少しでも気持ちを伝えたくって。



「・・・好きにすればいいだろう、お前はもう自由にしていい、何をやってもだれも咎めない・・・咎めるやつは俺が叩きのめしてやろう。」



ククク・・・と、笑いながら

得意げに話した天丸。



・・・ふふ・・・。



その言葉後悔させてやるわ。


















「・・・何故俺に付きまとうんだお前は!」


「だって、自由にしろって、それを咎めるやつは貴方がぶっとばしてくれるって・・・言ったわよね?」



・・・確かに言ったが、俺に永延と付きまとってくるなんて思わなかった。

初めは黙認していたが・・・まさか3年も付きまとわれるなんて思ってなかったから・・・。



「貴方が咎めるんなら自らを叩きのめしてくれるの?ねぇ、嘘はつかないんでしょ天丸?」


「・・・はぁ、咎めなければいいんだろう・・・仕事の邪魔はするなよ花火・・・。」



この時俺はまだ・・・あんなことになるなんて・・・

全く想像もしていなかった。


ただ、花火の事は

付きまとっている鬱陶しい女だと・・・思っていたのに・・・。






ある日、俺は相談があると、時雨を呼びだした。



「・・・相談ってなに?天ちゃん?なんか珍しいねー天ちゃんに悩み事なんてさー。」


「・・・それが・・・子供ができてしまって・・・。」



時雨が飲んでいたオレンジジュースを噴出した。

まぁ、当然の反応だろう・・・。



「・・・わぁ・・・天ちゃんがびしょびしょだー・・・。」


「帰ってこい時雨、現実逃避するんじゃない!」


「いや・・・こっちのセリフだよ・・・。」


「ああ・・・俺はどうすればいいんだ・・・。」


「責任とるしかないんじゃ・・・。やることやっちゃったんだし仕方ないよ。」



まさか結婚することになるとは・・・。

いつからだろう・・・。


花火が愛おしくてたまらなくなったのは・・・。




そんな懐かしい日の夢を

俺は見ていた。

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