紅く染まったその頭巾
「え?今日来れないのか知烏?」
『傷心で・・・初恋の女の子が・・・男の子で・・・。』
「ど、どういうことだ・・・?」
『とにかく今日は外に出ない!!』
・・・え、ええー・・・。
電話切れちゃった・・・アイツも初恋かー・・・。
なんかよくわかんなかったけど
男になったんだな知烏・・・。
しかし今日はカイも遊びに来てるっていうのに・・・。
「知烏これないって?」
「ああ、そうなんだ・・・ごめんなカイ。」
「んー、勇葉もいるしボクは構わないよ?」
「ん、助かった。」
「えへへ、二人で遊ぶのは久しぶりだねー。」
ホッ・・・カイがこの調子でよかった・・・。
最近遊びに来てもなんだか元気がなかったんだが
急に元気になって・・・何があったか知らないけど
友達のオレとしては安心なわけだ。
「ねぇ、何する?どっか行く?」
「・・・そ、そうだな・・・どうしよう。」
「・・・勇葉ってあんまりそういうのパっと決めるの得意じゃないよね・・・。」
「ん・・・いつも知烏がしびれ切らすのもわかるんだけど・・・苦手なんだよなぁ・・・。」
「ボクもこの辺あんまり詳しくないからなー。」
し、しまった・・・沈黙が・・・!!
な、何か話題を・・・え、えっとえっと!!
「・・・あ、か、カイさ・・・。」
「なに?」
「え、えっと・・・そ、その・・・仕事・・・つらいのか?」
「・・・えっ。」
「お、お前って・・・死神だけど・・・ほら、人殺しとか、嫌いそうだし・・・そんなんじゃ、つらいかな、て・・・。」
「・・・僕の、死神のコート・・・かぶってるフードまで、真っ赤になっちゃった。」
「・・・。」
やべぇ・・・話題の選択を誤ったか・・・!?
いや誤ったね!まずいぞ!
暗くしてどうする!
ああー!どうすれば・・・!!
「だからさ、もう平気だよ・・・とっくに慣れちゃったから。」
「・・・そ、そうか・・・。」
「もう何千万年、何十億年ってやってるからね。」
「思ったより年上なんだな・・・。」
「そりゃそうだよー。人間なんかすぐ死ぬでしょー?」
確かに・・・。
こいつは笑ってそう話すが
なんだか無理してるみたいに見えた
そりゃそうだよな・・・。
友達が必ず先に死んじゃうんだ。
俺も泪が死んだときは辛かった・・・。
長い時間を生きるコイツにとっては毎日、毎秒友達が死ぬのと
大差ないのだろうな・・・。
・・・は!しんみりしてどうする!
明るい雰囲気に切り替えないと・・・!
「そ、そうだ・・・カイ、団子食いに行かないか?いつもの団子屋!」
「ああ!いいね!ボクあそこのお団子大好き!」
よ、よかったー!
よ、よし・・・カイは食いしん坊だからな!
おいしいものを与えておけば機嫌はよくなるはずだ!
・・・と、思っていた・・・。
・・・俺の考えが・・・甘かった・・・。
なんと団子屋さんは閉まっていたのだ・・・。
「えー?今日お休みなの?」
「な・・・なんてこった・・・!!」
完全に行く宛が無くなった・・・!!
普段ほかの場所なんか・・・!
そもそも外出しない!
く、くぅ・・・どうすれば・・・!!
「・・・あれ?黒死?何でこんなところに。」
考えていると、狐のお面を被った少年が団子屋から出てきた。
団子屋の店長さんと一緒だ。
「黒歌こそ!なんでこんなところに!」
「今日ね、てっちゃんが出所してくるんだ。」
「すまんな、勇葉くん・・・今から迎えに行くんだ、今日は店は閉めることにしててな。」
「い、いや・・・また来ますから・・・。」
「ああ、ありがとう。」
てっちゃん・・・ああ、あの子か・・・。
知烏の友達の・・・。
アレから事件を起こしたけど精神的疾患が見られたとかなんとかで
出てこれるようになったんだっけか・・・。
あの時もカイと大ゲンカしたよなぁ・・・。
カイが気まずそうにこちらを見ていて、うっかり目があった・・・。
う、うう・・・気まずい・・・。
「し、仕事だったんだろ・・・あれは・・・そんな顔すんなよ。」
「う、うん・・・ありがと・・・。」
「わ、なに?僕らお邪魔な感じ?」
「どう考えてもお邪魔だろ、行くぞ苦労太。」
「はぁーい。」
しかし弟君、団子屋さんとなかいいんだな
てっちゃんとも親しげだったし
流石カイの弟だけあって現世の人間と仲良くしちゃうんだなぁ。
カイの弟ってことはきっと死神だろうし・・・。
狐のお面とかがもう、和性死神な感じがプンプンするし・・・。
・・・って!!しまったぁぁ!!
これを今発言してカイと話したほうが
どう考えても盛り上がるじゃないか!
長い間沈黙しちまった!
くぅ!こんなんだから友達いないんだ!俺のバカ!
「・・・さっきから何1人で百面相してるの?勇葉・・・。」
「・・・実はその・・・面白い事考えてたんだけど・・・いや、なんでも・・・。」
「えー!?そこまで言ったら最後までいいなよ!」
「い、いや・・・言葉にした方がよかったなって・・・盛り上がらないだろ?無言だと。」
「・・・君、盛り上げようとしてたの?そういうの関心無い人だと思ってたよ・・・。」
「め、面目ない・・・。」
か・・・カイに面白くない奴だとおもわれてた・・・。
とてもつらい・・・。
もう帰りたい・・・。
そう思ってた時、カイは服の裾を握って
眼をそらして反対側の地面を見ながら、こう言ってくれた。
「・・・別に、僕に気なんか使わなくってもいいんだよ・・・君といるのが楽しいんだから。」
・・・その言葉にする返事は思い浮かばなくて
俺はなんにも言えなかったけど
とにかく嬉しかった。
「・・・そういえばカイ、うちの隣に住んでる橘さんって人がな。」
「ああ、あのがたいの良いお隣さん?」
「そうそう、ついに就職決まったらしいんだよ!」
「へー、それはおめでたい話だねぇ・・・勇葉と一緒でずっと引きこもってたもんね。」
「そうなんだよ、それで年も大分上だから心配しててさー。しかもあれだぜ?あの中臣コーポレーションに!」
「ぷ・・・くくく!僕、こっちの会社わかんないし・・・相変わらず会話のチョイスが意味不明だね、勇葉。」
「は・・・はは、ダメか・・・。」
話題選びは失敗したみたいだけど・・・。
カイは満足してくれたみたいだ、よかった。
そうだよな、別にカイとなら
そんなの気にする必要ないんだもんな・・・。
思ったことを言えばいいんだ。
「あーあ・・・俺も、死神になりたいなぁ。」
「・・・ふふ、死神なんて碌な仕事じゃないよ?」
「だって、そしたらずっとお前といれるじゃんか、人間はすぐ死んじゃうんだろ?」
「そうだね・・・確かに、ずっと勇葉がいてくれたら楽しそうだね!」
今日はカイと二人でそんな話をしながら
これといって何かするわけでもなく
ただただ、町を歩いた。




