物知り鴉と偽りの美少女
僕の名前は 黒鳥 知烏。
黒鳥財閥っていう所の次男である。
黒鳥財閥はなんだかとってもお金があったり大変だけど
跡取りなんかは兄が何とかしてくれると思ってて・・・。
友達と気楽に遊んで暮らしていた。
だけど友達っていうのも
一人は最近恋人ができて、構ってくれなかったり。
一人は街一番の不良!とか言って、本当に街中駆け回ってたり。
・・・一人は色々あって刑務所的な所に行ってたり・・・。
そんな時だった、兄が死んだのは。
前の日、様子がおかしかったのに
僕は気付けなかった。
未だに理由すら解らなかった。
兄は自殺してしまったのだ。
しかも、兄の友人で、昔からお世話になってる勇葉兄ちゃんは
他に友達もいなくって・・・。
僕が世話を焼いているのである。
いや、他にも友達はいるんだけど・・・。
カイ兄ちゃんっていって・・・。
本人は隠してるつもりなんだろうけど
なんというか・・・彼は死神だ。
いや、頭おかしいと思われるだろうけど
本当に、多分死神なのである。
「知烏、ちょっといいか?」
「・・・何?お父さん。」
「今度契約する、中臣コーポレーションの社長が今日挨拶にくるんだ、今日はどこかに遊びに行っていてくれないか?」
「え、ええー・・・急だなぁ・・・。」
きょ、今日は土曜だし家でゴロゴロするつもりだったのに・・・。
うーん、困ったなぁ。
明日は勇葉兄ちゃんやカイ兄ちゃんと遊ぶ約束してるし
二日連続は悪いな・・・別の子にしよう!
とりあえず電話してみるか・・・。
「もしもし?魔法くん?今日遊びに行っていーい?」
『あ、知烏さん!すいませんその・・・今日は、お、おうちデートで・・・。』
『陣?誰?』
『ああ、知烏さんが・・・。』
ガチャ!ツー・・・ツー・・・。
リア充ムードに耐え切れずに電話を切った。
ぜ、ゼンちゃんなら・・・。
「もしもしゼンちゃん?今日遊びにいっていい?」
『知烏か、わりぃ・・・今日は隣町の奴らと抗争だ!』
「・・・あ、ああ、うん。」
・・・流石街一番の不良だな・・・。
なんの抗争だなんの・・・。
「・・・てっちゃんは出所明日って言ってたしなぁ・・・。」
うーん・・・幼馴染の四人もダメとなると・・・。
僕も友達少ないなぁ・・・人のこと言えないや・・・。
仕方ない、今日は一人で・・・。
「知烏、もう相手とか見つけてしまったか?」
「わ!お父さん、いや・・・まだだけど?」
「良かった、あのな知烏、留学から帰ってきてる中臣さんの兄弟がお前と同い年らしいんだ。」
「へぇー・・・あ、その子もくるってこと?」
「そうだ、二人で仲良くやるんだぞ、こちらが融資する側とはいえ、取引先の弟さんだからな。それに・・・。」
「・・・『お前もそういうのに慣れておいたほうがいい』・・・でしょ?」
「ああ、話が早くて助かるよ。」
・・・お父さんは話をできるだけ有利に進める事でいつも頭がいっぱいだ。
黒鳥財閥はこの辺じゃ一番でかいし、日本でも有数って聞くけど・・・。
それでも、お父さんにとっては全然足りないのだ
多分日本一になっても、稼ぎ足りないのだろう。
「・・・まぁ、僕の知ったことじゃ無いか・・・。」
そして、中臣コーポレーションの社長がやってきた
・・・僕は驚愕した。
「改めまして・・・中臣コーポレーション代表取締役、中臣 天丸です。」
・・・てっきりスーツで来ると思った。
まさか私服で・・・いや・・・私服かこれ?
意味が解らない程大きなファーのついた
毒々しい色の・・・あ、スーツだ
これスーツだね・・・。
あんまり趣味が悪いから・・・センスか?センスが悪いのか・・・?
どう見てもこれラスボスとかだって
絶対魔王だよこの人!!!
「ククク・・・!!知烏くんは人見知りかな?」
「い、いや・・・こんにちわ。」
ククク・・・!?やっぱ魔王だ!
魔王だよこの人!!どんな笑い方だよ!
驚いたな・・・こんな人がいるんだな・・・。
「まぁいい・・・天次、この子だ。」
「・・・中臣 天次です。よろしく。」
中臣さんの妹さんを見て
お兄さんの時よりびっくりした・・・。
天次ちゃん・・・・か・・・・かわいい・・・!!
サラサラの金髪に大きな青い目・・・
可愛らしい服・・・胸は控えめだけどスタイルもいい・・・!!
僕の初恋はこの瞬間の一目惚れで確定してしまった・・・!
お、落ち着け僕・・・!!紳士的に振舞わねば・・・!!
「よろしくね、天次ちゃん!僕、黒鳥 知烏!」
「ほぉー、友好的な息子さんだなぁ・・・クク!オレからのお土産があるのだ、受け取るといい!」
中臣さんからなんだか禍々しい箱を貰って
僕は天次ちゃんを部屋に招き入れた。
「えーっと・・・天次ちゃんは帰国子女なんだっけ?」
「ああ、そうだね・・・ずっとフランスだったから、日本語って久しぶりだよ。」
「綺麗な髪だね!サラサラでキラキラだ!」
「フフ・・・うん、母がフランス人でハーフだからね。兄さんは五分五分で半端な色だけど・・・。」
「た、確かに・・・はは。でもあのお兄さん・・・なんていうか・・・変わった人だね?」
「そうだね・・・ボクも少し苦手なんだ。」
ぼ・・・ボク?
こ、これが噂のボクっ娘というやつか・・・!!
現実に存在するんだな・・・!!
勇葉兄ちゃんの家にある萌え萌え系の漫画でしか
見たことなかった!
何がいいのかさっぱりわからなかったが
目の前にこんなに可愛いボクっ娘がいるとたぎるな・・・!!
いや、単に帰国子女で日本語が半端になっちゃってるだけな気もするけど
それを味わえたお得感が男を目覚めさせるというか、なんというか。
「兄さん上手くやってるのかなぁ・・・ホラ、あの人っていたずらっ子でさぁ・・・。」
「そうなんだ。」
「うん、多分そのお土産もろくなものじゃないよ?」
そう言われて少し気になって箱を開けると
毒々しい赤紫と黒の煙がモクモクと出てきて
部屋中がむせ返るほどのストロベリーチョコレートの香水の原液のような匂いに包まれた。
「うえ!おえ!ゲホ・・・!か、換気換気!!どんな嫌がらせ!?」
「ゴホ・・・!全く!兄さんめ・・・美しくないよ!こんなの!」
二人で大騒ぎして、二人で窓際に避難した
・・・天次ちゃんの腕が僕の腕にあたっていて
サラサラの髪が僕の頬にたまに触れる
うわぁ・・・こんなに臭い部屋なのに
天次ちゃんはすっごくいい匂いだ・・・。
女の子ってなんでこんないい匂いするんだ・・・。
「ふぅ・・・日本に帰ってきてそうそうこれだよ・・・ね?いたずらっ子だろ?」
「ははは・・・服装も性格も変わってるね・・・。」
「ああ・・・あの人服装のセンスがブッ飛んでてね・・・いつもあんな格好だよ。」
「ふ、普段からなんだ・・・あはは・・・。」
しかしあれだ・・・。
さっきのお土産のおかげで、物理的にもだけど
心の距離も縮まった気がした。
中臣さんグッジョブ・・・!
窓から顔を出すとお父さんと中臣さんの談話が聞こえてきた。
「ははは!中臣くんなかなか若いのにやりますなぁ・・・!将来の目標とかはあるのかね?」
「将来的には世界征服を考えております・・・!」
「ははは!面白いな君!」
「フハハハハ!本気ですよ黒鳥さん!ボクは嘘をつきませんから!」
あ、ああ・・・義兄にするにはキツいな・・・。
部屋から顔を出していたにので、煙にお父さんが気がついた。
「む、知烏なんだその煙は・・・。」
「あ、ああ・・・なんか・・・。」
「しかも臭い!全く・・・そうだ、天次くんと一緒に風呂でも入ってきなさい。」
「え、ええ!?天次ちゃんと・・・!?」
「・・・ふふ、我が家の大浴場を自慢してやりなさい。」
・・・なんだか僕はこの時・・・なんとなく
オチを予想できてしまったのだ・・・。
「そういえば、兄さんが大浴場があるっていってたな、君の家・・・是非入ってみたいな。」
「う、うん・・・一緒に、入るので・・・いい?」
「もちろんさ、大浴場なんだろ?何より僕ら男同士だし・・・気にすることじゃないだろう?日本では・・・。」
「・・・そうだね・・・。」
こうして僕の初恋は・・・幕を閉じたのだった・・・。




