観艦式大決戦2
このシリーズも合計で30話になりました。応援ありがとうございます。
もうすぐ完結ですが、これからも応援よろしくお願いいたします。
1943年5月13日プリマス港内
「全魚雷発射管に注水、狙いは目の前の巡洋艦だ。ソナー手、駆逐艦の動きは逐次報告しろ」
プリマス港内には秘かに侵入していたUボートⅩⅩⅠが動き始めた。この作戦には開戦後にイギリス海軍の大軍港であるスカパフローに潜入しロイヤルオークを撃沈したギュンター・プリーン少佐が立案及び参加していた
「大型艦は機関の始動に時間がかかる。その間に小物を狙うぞ、全門発射」
発射された魚雷は1本が外れ、2本が不発し3本が艦底近くで爆発し衝撃波で艦を持ち上げた
「艦長、駆逐艦が動き始めました」
「こちらの位置はまだわかっていないはずだ。もう一回斉射を行う。魚雷再装填急げ」
潜水艦で始めて自動装填装置を装備したUボートⅩⅩⅠは僅か10分で再装填が可能だった
「装填完了しました」
「こんなにいるなら狙う必要は無い、これより本艦は港を離脱する。回頭中に3秒間隔で魚雷を発射する」
これ以上留まっては危険だと判断したプリーン艦長は離脱を開始し置き土産として扇状に魚雷を放ち去った。この時放たれた魚雷は対潜警戒を行っていた駆逐艦二隻を撃沈した
プリマス司令部
高台にある司令部からも軍港から立つ巨大な水柱が視認出来た
「いったい何が起こっているんだ」
「首相、Uボートです。またUボートに侵入されました」
「被害はどうなっている?ひとつでも被害を減らせ」
「駆逐艦3巡洋艦2が殺られましたが、こちらも二隻のUボートを仕留めました。主力艦に損害はありません」
「対潜警戒を続けさせろ、待ち伏せているかもしれん。空軍はどうしている?対潜哨戒機を出せ」
「迎撃機を上げているため、対潜哨戒機は出せないそうです」
「こうしている間にも枢軸の奴等が来てしまう、艦隊を急いで脱出させろ港内じゃ身動きがとれん」
「沖合いの艦隊から空襲を受けていると通信が来ています。このまま港を出ても殺られるだけです」
「だからといって港内に残るとでも言うのかね?我が国の海軍のモットーは何だったか思い出したまえ、見敵必殺だろう?向かうも地獄残るも地獄なら一機一隻でも多く道連れにするのだ」
「分かりました。出港させます」
ドーバー海峡で日独伊と英国が航空戦が繰り広げられるなか、高性能機がいかにいようと数で押された英国側が次第に数を減らし遂に爆撃隊を突破させてしまった
「空軍より爆撃機に抜かれたと連絡が来ています」
「艦隊の出港準備は出来たか?」
「今から出港するそうです。各空母からは艦載機を発進させ、沖合いの敵艦隊に攻撃を掛けるそうです」
「頼んだぞ、大英帝国海軍の意地を見せてくれ」
次々に港を出港していく本国艦隊に来襲した枢軸連合攻撃隊が攻撃を仕掛けた
「Hs293発射、このまま真っ直ぐ飛んでくれよ」
特別な改良が施されたHe177からHs293が発射され、よろめきながら誘導電波に乗り本国艦隊旗艦POWに向かっていった
「なんだあの珍妙な兵器は!」
POW も対空砲火を張り巡らすが始めてみる兵器を相手に対空砲火は疎らだった
「命中を確認、やったぞ傾斜しはじめている」
POW はHs219の徹鋼爆弾を右舷の喫水線スレスレに喰らい、そこなから浸水し始めていた
そして、プリマス軍港の外では日独伊の潜水艦が待ち伏せていた
「よーし敵さんがたまらずに顔を出してきたぞ、啄木鳥作戦は成功だな。全発射管に注水」
「艦長、プリーン少佐のUボートから合図があるまで待機せよとのことです」
啄木鳥作戦とは日本海軍がこの作戦に付けた名前で、若手将校やマスコミから日本軍もドイツ軍のように洒落た作戦名を考えてほしい、そちらのほうが士気も上がると要望があり、軍の方でもそんなことで士気が上がるならと色々考え始め今作戦ではプリマス軍港の本国艦隊を航空攻撃で誘い出し出てきたところを魚雷で仕留めるという計画であったため有名な川中島の戦いで武田方が上杉方に使用した戦術から付けられた。大型艦は引き揚げ難いように沖合いの深いところで沈める予定だったので潜入したプリーン少佐らは大型艦ではなく湾内でも確実に沈む補助艦を狙ったのであった
「発射の合図が来ました」
「全魚雷発射、発射後急速潜航で離脱する」
八隻の潜水艦から合計54本の魚雷が放たれ港から出たばかりの本国艦隊を襲った。駆逐艦は魚雷一本で轟沈し、本国艦隊は54射線に完全に入っていたため他の艦が盾にならない限り逃げ場はなかった。この攻撃で空母1隻が轟沈残りの3隻もすごい早さで傾斜を始めは。そこへ沖合いの艦隊を撃破した日本軍の艦載機がやって来た
「隊長機から全機へ、第一波は一航戦の仇である地中海艦隊の空母を撃沈した。我々はこれよりイギリス最後の艦隊と言って過言ではない本国艦隊に攻撃を行う。我々海軍の師匠であるイギリス海軍に止めを刺すのは我々だ。全機攻撃開始」
村田少佐率いる第二波攻撃隊は傷付いた残存艦に止めを刺すための部隊のため、高い雷装より割安な爆装の機体が多かった。しかし雷撃の神様と呼ばれる彼の山風は雷装だったそして、彼はHs293を喰らい速度が低下していたPOW に狙いを定め雷撃コースに入った
「こいつで介錯してやる。もう逝け」
投下した魚雷は寸分たがわずHs 293が開けた浸水部に直撃しこの攻撃が決め手となりPOW はことつきた。
プリマス司令部
「本国艦隊が港を出たところで殺られました。沖合いの哨戒艦隊も壊滅です」
「ドーバー海峡を抜かれました。また謎の飛行爆弾がロンドンに多数襲来し被害が出ているとのことです」
「もう解った。外務省へ電話を繋いでくれ、今すぐにだ」
この数時間後、イギリス政府は枢軸側が提示していた条件を承諾し
1943年6月4日
ポーツマス湾上の扶桑艦上でイギリス全権大使としてチャーチル首相自らが降伏文書に署名を行いここに約4年続いた第二次世界大戦が終結した。
しかし戦いの火種は無くなった訳ではなかった。
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