講和への道
もうすぐで終戦です
1943年2月2日アレクサンドリア
地中海有数の歴史ある港に日独伊の艦隊が停泊していた
「今頃カイロは荒れているだろうな…」
「そうでしょうね、ここで戦後についてを決めるそうですから、どんな条件で講和するかで揉めるでしょう」
「しかしドイツはグラーフツェッペリン、イタリアはリットリオ級ローマとは欧州枢軸最強の空母と戦艦が揃うとはな」
「しかしあのジブラルタルが無力化されるとは思ってもいませんでした」
「まさかドイツとイタリアが空母を使って攻撃してくるとは思ってもいなかったのだろうな」
「伊藤司令、軍令部からニイタカヤマノボレがきました」
「分かった。全艦全速前進、これより本艦隊は極秘作戦に入る。目標大西洋」
イギリス本国艦隊
再建された本国艦隊は空母中心で戦艦は少数だった
「本当にあの作戦を行うのか?」
「外務省の連中は本当にやる気だ」
「我々はどれほどの艦隊を出すんだ?」
「POWを旗艦に新型空母のジブラルタル級二隻に改装を終えたQE級二隻にダイドー級7、M級駆逐艦16だ」
「それは今の本国艦隊の全戦力に等しいじゃないか…」
「スパイによると日本軍は航空戦艦3空母2巡洋艦4駆逐艦12だそうだ」
「噂の航空戦艦を持ってくるとは日本軍も本気だな」
日本は扶桑級と伊勢級を斜め甲板を持った航空戦艦に改装した。また日本軍は空母にしたため余った大和と武蔵の主砲を装備した航空戦艦改大和級を建造中である
航空戦艦扶桑級
全長216m
全幅29m
排水量41000トン
艦載機数32(8)機
武装
連36センチ砲×2、連10センチ砲×12、25㎜×72、28連対空奮進弾×4
大破した扶桑級の1,2番砲塔以外を撤去し煙突を前進させ機関を新型の高温高圧缶に強化し31ノットを出せるようにし、煙突より後部を飛行甲板にしそこに斜め甲板を付けている。角度は高角砲を避ける配置にした結果、偶然にも離発艦に最適と言われる8゜である。
阿賀野級巡洋艦
全長203m
全幅24m
排水量14600トン
艦載機数2機
武装
三連装20,3センチ砲×3、連装10センチ砲×6、四連装61センチ魚雷×4、25㎜×56
火力や防御力では他の巡洋艦より上で、かつレーダーなどを装備しているため高い対空能力を持つ。また主砲は新型の20センチ砲であり速射性能や初速が従来のものより上がっており、量産性も考えられているので5500トン級軽巡洋艦と入れ替えるため建造中である。尚この艦から軽巡洋艦と重巡洋艦の区別を撤廃している。
陽炎級駆逐艦
対空、対水上レーダーを積んでいること以外は史実と同じ
航空母艦大鳳級
全長296m
全幅37m
排水量48000トン
艦載機数120機
武装
連装10センチ砲×10、25㎜×94、28連対空奮進弾×6
翔鶴級を大型化した、ジェット機を運用を前提に耐熱処理が施された甲板を持つ空母。レーダーを搭載しているため艦橋が大型化しており、着陸の困難さが指摘されていたが斜め甲板の採用により問題も解決している。エンクローズバウと開放型格納庫、対500㎏爆弾防御の飛行甲板を採用。同型艦に海鳳がある。
ジブラルタル級航空母艦
全長279m
全幅39m
排水量47000トン
艦載機数110機
武装
連11,4センチ砲×8、四連装4センチポンポン砲×6
イギリス海軍史上最大の空母、今までイギリス空母の特徴であった装甲甲板を排除している。艦載機数は英軍艦載機基準であるため米軍機基準では更に搭載可能
1943年2月11日北大西洋
日本軍特務艦隊は事前に指定されていた海域に接近していた
「もうすぐで指定海域です」
「指定海域を彩雲に偵察させろ、罠かもしれんからな」
大鳳と海鳳から1機ずつ彩雲が発艦し指定海域に向かった
「彩雲の逆探に反応あり、目標に向かうとのことです」
「レーダーを搭載した艦がいるということは軍艦がいるな…待ち伏せの可能性もあるな」
「彩雲より入電、イギリス艦隊を発見、迎撃無しとのことです」
「レーダーに反応がありながら迎撃を出さないということはイギリスも大使を乗せているようだな。宜しい岩本少尉を呼んでくれ」
伊藤司令は扶桑戦闘機隊隊長である岩本徹三少尉を呼んだ
「お呼びですか司令」
「君は海軍ではマダガスカルに展開しているあの台南空と同等の実戦を切り抜けてきたそうだが、今までの撃墜スコアはどれ程だね?」
「中国戦線で14、赤城戦闘機隊時に11、赤城撃沈後にドイツで28です」
「君は赤城撃沈後に遣独航空隊にいたということは、ドイツ製の零戦には乗ったかね?」
「はい、赤城撃沈時に機体を失ったのでドイツで機体を受け取りそれで戦ってきました」
「やはりドイツ製の零戦のほうが性能が上だったかね?」
「残念ながらドイツ製のほうが性能は上でした。特にMG151/20の性能は素晴らしかったです」
「やはり工業力や技術力の差は大きいな…では山風はドイツ軍機に対向できるかね」
「山風の性能は素晴らしいです。機関砲もドイツとほぼ同レベルですし、操縦悍が重くなってはいますが格闘戦も可能です。山風でなら最近出てきたジェ ット機すら落とせる自信があります」
「宜しい…では岩本少尉、イギリスの艦隊に手紙を届けてくれんかね?この通信筒に吉田茂外務次官にしたためてもらった手紙が入っている。イギリス艦隊はこちらより多くの正規空母を持ってきているため余裕があるようだ。そこで君にイギリスの正規空母にこの通信筒を投下してきてもらいたい、きっと彼等も慌てるはずだ。会談の前に一泡ふかせてやろうじゃないか」
「了解しました。是非ともイギリス艦隊に一泡ふかせて見せましょう」
扶桑の後部飛行甲板から山風が発艦した。カタパルトを搭載しているおかげで山風も25ノットほどで発艦させられた。
イギリス艦隊
「司令、日本の偵察機が引き返していきます」
「日本の艦隊の規模は既に掴んでいるが、我々は航空機の数で正規空母一隻分は勝っている。今頃彼等は恐れおののいているだろう」
「レーダーに反応あり、また偵察機ですかね?」
「好きなだけみるが良いこの艦隊を、我々大英帝国海軍はまだ負けたわけではない」
「司令、敵機の様子が可笑しいです。700㎞近い速度でこちらに突っ込んできます」
「艦載機で700㎞だと!そんな馬鹿な」
山風の量産型には試作機には無かった水エタノール噴射装置やなど改善があった。その結果、山風は700㎞近いスピードが出せるようになった
「あのデカイ空母にするか」
岩本機はジブラルタル級ジブラルタルに狙い目を付けて高度を下げ始めた
「奴の上をフライパスしてやろう」
岩本機の水エタノール噴射装置が作動し高オクタンガソリンを使用した時のように加速し始めた。そして、岩本機の風防が開きそこから通信筒を放り投げた。通信筒は甲板上を跳ね、機銃座にぶつかり止まった
「日本軍機が帰っていきます」
「何がしたかったいんだ日本軍は?」
「あの機体はジブラルタルに通信筒を落としていったそうです」
「急いで通信筒の中身を持ってこさせろ、彼らは我々を虚仮にしたいらしい」
この後、日本軍特務艦隊とイギリス本国艦隊は事前に指定されていた海域で会合し特務艦隊旗艦扶桑で日英独自の講和を開始した。
感想や間違いの指摘
お待ちしてます。




