地中海は血に染まる2
さらば南雲艦隊
1942年5月6日南雲艦隊
南雲艦隊はイギリス地中海艦隊を探しながらジブラルタルに接近していた。
「利根のカタパルトが故障したため水偵の発艦が遅れるそうです」
「司令、利根の水偵の代わりに加賀に搭載している新型艦偵紫雲を使いましょう。実戦ほど戦訓が得れる環境はありません」
「いいえ司令、あんな爆装も出来ない機体は格納庫を狭めるだけです。今まで通り艦攻にやらせましょう」
「草鹿参謀も源田参謀も落ち着きたまえ、今回は紫雲を使用する。艦偵が不要かどうかは結果しだいだ」
「では私は加賀に移乗し艦偵の実戦調査を行ってきます」
「解った。草鹿参謀がいない間は源田参謀に任せよう」
「はっお任せください」
加賀からは増槽を付けた紫雲が発艦した。
イギリス地中海艦隊
「偵察隊はまだ南雲艦隊を見付けきれていないのか?」
「そろそろ見つかるはずなのですが…」
「まあいい、甲板上に攻撃隊を出しておけ何時でも発艦出来るようにしておけ」
甲板上には次々にアメリカ製の艦載機がエレベーターで上がってきた
「我が国の艦載機はいかがでしょうか閣下?」
「悪くはないですよアメリカ従軍武官殿、あえて言うならマートレットをもっと数がほしいところですな」
「我が国の艦載機は諸事情によりワイルドキャットからコルセアへの入れ替えが上手くいっていないためワイルドキャットは数を渡せません、入れ替えが順調に進んでいる艦攻や艦爆はまとまった数を渡せるのですが…」
「しかし、もうじき新型艦載機群が完成するそうだからそれまでの辛抱だがね」
「偵察隊より入電、南雲艦隊を発見したとの事です」
「良し、第一次攻撃隊発艦せよ」
「イギリス軍を苦しめている日本軍に我が軍の艦載機がどれだけ通用するか見せてもらいましょうか」
「レーダーに反応あり、敵機接近中」
「迎撃を上げろ、我々を見つけるより先に落とせ」
しかし、紫雲は地中海艦隊を発見し写真を撮影まで行った。
「下から敵艦隊の迎撃接近、あれはグラマンだ」
「後部機銃は任せたぞ、奴を振り切る」
紫雲は戦闘機を振り切るために得たスピードを生かし逃走を開始した
「敵のグラマンを振り切りました」
「加賀に敵攻撃隊が向かっていることとグラマンを振り切ったことを伝えろ」
「了解しました」
この時打たれたワレに追い付くグラマン無しの打電は紫雲の高性能を示すと同時に艦偵の有用性を証明した。
南雲艦隊
紫雲の敵艦隊発見の報を受け赤城、加賀、翔鳳の三空母からは甲板上に並んでいた艦載機群が発艦し始めていた
「赤城は何もたついているんだ?」
「草鹿参謀それが…源田参謀が空母を潰すために一部の艦攻が装備していた80番を魚雷に換えるよう言ったそうで今急いで換装しているそうです」
「なんだと…敵攻撃隊が向かっているのに換装をする馬鹿がどこにいる。早く甲板上を空けろ、殺られるぞ」
「敵攻撃隊来ました。直衛機が迎撃に向かいました」
「こちらの攻撃隊はどうなっている?」
「赤城の艦攻隊以外は敵艦隊に向かいました」
地中海艦隊
「来たか日本軍…迎撃を出せ、今日の我々は今までとは違うと奴等に思い知らせてやれ」
上空待機していたマートレットが日本軍の攻撃隊に向かっていった。マートレットは零戦に格闘戦を挑むがいとも簡単に後ろをとられ、マートレットに12,7mm と20mmが撃ち込まれグラマン鉄工所と呼ばれるほどの頑丈な機体を木っ端微塵にした。零戦が金星エンジン搭載や武装強化で格闘性能が落ちたとはいえマートレットには負けていなかった
「マートレットでも敵わないだと…日本軍の戦闘機は化け物か!」
マートレットが零戦の相手をしている間に攻撃隊が攻撃体勢に入り地中海艦隊に迫った
「奴等を撃ち落とせ、空母を守るんだ」
「プロペラが水面を叩きそうなほどの低空を飛んでいるだと…あんな低空ではレーダーが効かないぞ」
天山は当時最高性能を誇る艦攻でイギリスの対空砲火の中を高速で駆け抜けた
「あの軽空母をやるぞ」
加賀の艦攻隊がポートアイランド級の一隻に狙いを定め魚雷を投下した。
ポートアイランド級は避けようとするが、輸送船改造であるポートアイランド級は戦闘艦に比べて旋回性能が低く四本の魚雷を横っ腹にくらい傾斜し始めた
「あの軽空母は脆いぞ、全機集中的に狙え」
残る二隻のポートアイランド級にも艦攻隊や艦爆隊が集中し、次々に被弾していった。
「翔鳳の艦攻隊が来たか、正規空母を狙ってくれ」
翔鳳は艦のサイズやカタパルトが無いため天山を運用出来無いためまだ97艦攻を運用していた。天山や99艦爆はほぼ同じスピードだが97艦攻はエンジン出力が低く結果的に時間差攻撃になった。
「敵の攻撃がマレーヤに集中しています」
「ダイドー級やM級は何をしているんだ。奴等を撃ち落とせ」
「攻撃隊から入電、赤城と思われる空母に攻撃を集中し現在炎上傾斜中、また軽空母にも魚雷2爆弾3命中との事です」
「よくやった。マレーヤの被害はどうなっている?」
「装甲のおかげで甲板は無事です。魚雷が一本当たりましたが、戦艦の名残である防御区画のおかげで発艦は可能だそうです。しかしポートアイランド級は応急処置を行ってますが絶望的です」
「護衛空母は潰しがきく、乗組員を救助出来るなら放棄して構わん。バーラムとマレーヤからは二次攻撃隊を発艦させろ、最低でも軽空母は仕留めてくるんだ」
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