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こんなわたしなんて!!

 やってしまった…


 放課後の誰もいない生徒会室。私は一人、机に突っ伏していた。


 美山さんが「みっきん様」だと言ってしまったのが良くなかったのか? 彼女は正体を隠しておきたかったのか? 逆に、私が「コアラっ子」だと先に正体を明かすべきだったのか。


(どうしよう…明日から彼女に避けられたら…)


 ただでさえ、彼女の友人である鏡子さんには激しく警戒されていて、まともに言葉を交わすことすら難しいのに。最悪の結末ばかりが頭をよぎり、思考はどんどん暗い底へと沈んでいく。


「優花里さん、どうしたの?」


 不意に、生徒会長の鈴木さんが声をかけてきた。

 今部屋に入ってきたようだ。


「……何でもないの。ちょっと、失敗してしまったから」


「失敗? あなたが失敗なんて、珍しいわね」


 確かに、これまでは完璧な自分を演じ、隙を見せずにここまでやってきた。


 でも、どうしてこんな肝心な時に……自分が最も大切にし、尊敬している相手に対して、取り返しのつかないミスをしてしまったのか。そんな自分が嫌になる。


 話が出来たと調子に乗って、彼女が「みっきん様」だと口走ってしまったのが間違いだったのだ。


 鈴木さんはさっきから、心配そうに私の背中をさすってくれている。

 その優しさが、今は申し訳なくてたまらない。


「ごめんなさいね、鈴木さん。人間関係って、本当に難しいわよね」


「人間関係? まあ、色んな人がいるから、それぞれに合わせたりするのは難しいわね」


 そうなのだ。私はもともと、人が苦手だったのだ。それなのに……


「やっと話し合えたのに……これからも、楽しく話し合いたかったのに……」


「どうしたの、伊藤さん……大丈夫?涙を流してまで」


 頬を伝う熱いものに気づき、私は慌てて指先で拭った。


「いいえ、いいえ……本当にダメなわたし。もう嫌われてしまったかも……」


「嫌われた? も、もしかして、告白したの……?」


「いいえ。……でも、ある意味では告白して嫌われたようなものかも知れないわね」


「ええっ!? 誰に? ここの生徒?」


「……ごめんなさい。それは、言えないわ」


 鈴木さんは、驚愕の表情を浮かべて押し黙った。


(……ここの生徒なんだ。優花里を振るなんて、一体どんな生徒なんだろう?)

 という心の声が漏れ聞こえてきそうだ。


「鈴木さん、しばらくここで時間を過ごさせてもらってもいいかしら……」


「それは大丈夫よ。今日はこの後、ここを使う予定はないから」


「ありがとう……」


「それじゃあ、わたしは帰るから。出る時に戸締まりだけしてくれればいいからね」


「ありがとう、鈴木さん。心配かけて、ごめんなさいね……」


 バタン、と重厚な扉が閉まり、彼女の足音が遠ざかって聞こえなくなった。

 静寂が部屋を満たした途端、こらえていた悲しみが一気に決壊した。


「うわあああああああん! みっきん様ー! サキ様ー! ごめんなさいいいいいいー!」


 才女がなんだ!クールビューティーがなんだ!どれだけ他人に褒められようとも、自分の一番好きな人に振り向いてもらえずに逃げられてしまう私に価値なんて無いんだ!


 わたしはまた、一人に逆戻りだ……


サキに逃げられた優花里。

彼女を癒してくれるのは……?

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