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高い波の次も高い波とは限らない

 お久しぶりかもしれません。海万です。大事な用があった為、続きを書く時間が取れませんでした。

 用事は落ち着いて時間は出来たのですがWBCが…。

「エド、起きてエド、時間だよ」


 うーん、眩しい。身体が重くて目を開けたく無い。


 何も見えない薄暗い視界の中、聞き馴染みのある声が頭の中を反響する。


「遅刻するよ」


 ああ、これランディの声だ。ランディ、揺らすのやめて下さい。起きます、今起きますから。


 椅子に座る僕の肩を強く揺するランディ。不規則な揺れに僕の薄暗い視界に渦が出来る。


 体が目覚め始めるともにやってきたやや暑い暖かな陽気に不快感を覚える。脳が眩しい日差しを拒否するが如く瞼には未だ硬い錠がかけられていた。


 音の反射と気配でランディ、エンリカ、リリス、カイルの4人がリビングにいる事が確認できる。


 んー、起きなきゃいけないのは分かっています。分かっていますけど………。あと5分だけで良いので寝かして下さい。


「うーん、困ったね」


「じゃあリリスの眠気覚まし飲ませる?」


 エンリカの提案を聞き、顎に手を置くランディ。リリスの気配がリビングから無くなる。


 あー、起きなきゃまずいかもな…。何飲まされるか知ったもんじゃないし。でもあとちょっと…。


「あれエドの耐性で行けるか怪しいし」


 えっ!?ちょっと待って!そんなやばいの!?


 ランディの言葉から生命の危機を感じて体のスイッチが急速に入っていく。


「持参、眠気覚まし」


 やばい、動け!動け僕の体!


 僕は勢い良く身を起こした。


「遅くなってすみません!今起きました。薬の用意はありがたいですが遠慮します!」


「飲む?念の為」


「絶好調なんで大丈夫です。提案ありがとうございます!」


 本当は寝不足特有の頭痛がするけど他は嘘ではないし黙っておこう。


「エドがそう言うってことは大丈夫だよ」


 ナイスです!ランディ!やっぱ僕の中でのリーダーは頼りになる。




 ランディの援護もあり、僕は生命の危険を脱した。


 少しがっかりした表情でリリスの口が「実験…」と動いた様に見えたのは見なかったことにした上、気のせいと思うことにした。






―――――――――――――――――――――






 決勝戦のフィールドへのトンネルの中、歓声が鈍器みたいに頭を打ち付けられて打撃を喰らった様な痛みが走る。


 緊張してきた。頭痛い。気持ち悪い。朝食食べてたら戻していたかも。

 …あっ、そう言えばウォーミングアップ全然してこなかったけど大丈夫かな?不安になってきた。


 僕はゆっくりと明るい方へ歩を進める。






 黒を基調とした落ち着いた雰囲気ながらも決して地味ではない服装、ローブの上から背中に掛かるほど長い鮮やかな紫色の髪が特徴のジェーン・スミスと向き合う。


 恐らく間合いに入れば僕の勝ち、その前に攻撃を喰らえば負け。勝負は一瞬。

 魔術師対前衛職、定石通りならジェーンは少しでも距離と詠唱時間を取る為に試合開始と同時に後ろに下がる。だとするならば僕がやるべき行動は…


「試合開始」


 開始の宣告と同時に両者動き出す。


 目の前で相対している少女は鮮やかな紫の髪とローブを靡かせて後ろへ跳んで詠唱を始めた。


 予想通り、相手は多分ランディみたいに殴り合いは出来ない(多分)。ならば僕がやるべき事は距離を詰める!


 ジェーンが後ろへ下がるよりも遥かに速く、鋭く前へ踏み込む。


 魔術師にとって基本の初級魔法の中で最も相手にダメージを与えられる火の玉が宙を飛ぶ。


 勝負を決める魔法と並行しながら最も効率的な選択。進行の妨げになる位置に正確に置く様に放たれた火の球を落ち着いて避ける。

 焦らず、最高速で近づく僕に一つの疑問が生じた。


 あれ?思ったより魔法遅い?

 瞬きをしたらやられる位のカイルの魔法で修行していたからかな?人に当たらないように避けながら村を走る位遅く感じる。


 動く火の間をすり抜けて最短距離を進みながら約3mにまで迫っている。


 ジェーンの口が止まる。身体中に魔力が漲り紫の髪が重力に逆らう。


 刹那の静寂の後、ジェーンの口が再び開く。


花開く電気オルテンシア・シンティランテ

 作者によるイタリア語教室!

 『オルテンシア』はイタリア語の紫陽花(あじさい)、『シンティランテ(シンティッランテ)』はイタリア語のスパークを意味します。

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