修行⑤
久しぶりの2日連続投稿!
エドワードが入る前の物語、『|悪魔の聖騎士日記《パラディンオブフィーンドメモリーズ』は今日も投稿します。
アレックスのアドバイスから1週間、お陰で長く戦えるようになってきた。
「エド、良い感じ!攻撃も入れていこう!」
「避けるだけで精一杯です」とは言えない。
全員、付き合ってもらっている身としては頑張る事しかできない。
「魔力無くなったから次ラストな」
カイルからチャージが完了した生存する腕輪を渡される。
今日最後、これまでも手を抜いていた訳ではないがの頃の力を振り絞って向き合う。
エンリカの小枝攻撃はまともに受けたら即終了。
避けるか受け流すしか選択肢が無い。
汗が頬を伝う。
エンリカが動く。
胴を狙った横の振りを大きく横に避ける。
エンリカも反応して追いかける。
エンリカの移動速度はほぼ同じ。
まともに戦うと勝ち目は無い。
エンリカが踏み込み距離を詰める。
今度は居合い斬りのような軌道。
体を捻ってスレスレで避けた。
(ギリギリ、でも)
やや上にある小枝がバランスを崩した胴に向かって振り下ろされる。
瞬時に地面を転がる。
小枝は空を切る。生存する腕輪の起動は無い。
(なんとか避けられた。でもこのままだとすぐにやられる)
全身から汗が止まらない。
僅かな時間で息を整え、意を決する。
目に力を入れ、悔しそうなエンリカの動きを良く観察する。
そして久しぶりに自分から動き出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あれはアレックスが業務の合間を縫って一緒に昼食を食べた時。
「エド君、速いと言ってもただ速いだけだとダメだ。すぐに対応される」
「では、どうすれば?」
その問いを待っていた表情で静かに、しかし力強く答えた。
「速く見せること。速さに限らず単体で見ているとそこまででも無いように感じる時あるでしょ?」
「ありますね」
「でも比較すると段違い。そこが重要だ。エド君の場合、常に100%で動いちゃっている。特に対人戦の場合、普段は必要最低限の速さでしか使わない」
たしかに、特にカイルがそれやってる。
避ける時は必要最低限の速さと動き。攻撃の際は一気に加速して攻撃する。
「人間の脳は急激な変化、この場合の緩急に弱い。遅い方に慣れちゃうらしい」
一字一句聞き逃さないように集中する。
「避ける時は必要最低限、攻撃する時は一気に解放。それを意識すると長い目で見れば強くなれるよ」
「ありがとうございます。頑張ってみます!」
尚、アレックスが財布を忘れた為僕が払った。
勉強代と考えれば寧ろ安いと思う。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
前に動き出す。
ほんの一瞬だけ遅れてエンリカも動き出した。
自分が相手に向かっているという事は相対速度も上がって対応し辛くなる事。
ここは冷静にスピードを落とし、攻撃を見極める。
エンリカが小枝を振り上げる。
(来た!)
縦に振り下ろす攻撃。
最も破壊力がありながら最も隙が大きい技でもある。
ギリギリまで引き付けて横に避けた。
回避の動作のまま前に急加速、エンリカの顳顬に向けて裏拳を放つ。
小枝は振り下ろしきれてない。
入る!
生存する腕輪が起動した。
体は横に飛ばされ裏拳は虚空を掴む。
地面に倒れ込んだ。
汗が滝のように溢れ出し、息が絶え絶えになる。
頭と体に疲労が一気にのしかかり指一本動かせない。
「危なかったわね」
ほっとしたように呟く。
見上げるとエンリカも汗をかき、息が少し上がっている。
「ざ…いご、ぜぇ…ぜぇ…、なに……、はぁ、じだんですか……」
息を切らしながら聞く。
「燕返し?の要領で瞬時に回転斬りの軌道に変えたのよ」
(やっぱり凄い人達)
息を整えながら心の中で呟く。




