修行②
「まずは軽くウォームアップ」
肩や首を軽く回しながらカイルが呟く。
次の瞬間、生存する腕輪が発動した。
「えっ?」
冷や汗が頬から落ちる。
一瞬だが見えた。辛うじて見えるスピードでドリルのように回転した火の矢が僕の左脇腹を掠った事が。
いやいやいや、無理でしょ3m位の距離でこれ避けるの。
「カイル、この距離だとエドはまだ避けれないよ」
ランディ!流石に分かってくれた!
「ちょっとやり過ぎた、ごめん」
近寄って来て謝罪するカイル。
一緒に生存する腕輪を手渡す。
一般的な魔術師だと魔法式や魔法の最初の向き、目線である程度何処に来るか分かると言われている。
しかし、カイル相手に通用しない。魔法式の構築が早すぎる、魔法を放つまでも早い。カイル曰く魔法が途中で意図せず曲がるらしい。極め付けはカイルは狙っているところに行かない為目線で予測する事が出来ない。さっきの魔法も本当は鳩尾を狙った魔法と言っていた。
うん、無理。
と言う事でまずは一発避けようという事になった。
チャージが終わった生存する腕輪を受け取って30m程度離れて立つ。
「じゃあ行くぞ!」
「お願いします!」
全神経を避ける事に注ぐ。
カイルが指を弾くと火の矢が向かってくる。
距離がある分反応出来る!避けれる!
しかし体を動かす必要は無かった。
放たれた火の矢は最初こそ割と真っ直ぐに迫って来たが残り20m近くからどんどん逸れていって体の横を通り過ぎる頃には手を伸ばしても当たらない所まで外れた。
「練習、ならない。予想通り」
「何となく知ってた」
「当たる訳無いと思ったわ」
「・・・・・・・」
ある意味の信頼と呆れの表情の3人。
心が痛くなる沈黙。
………近距離の魔法避けれなくてすみません。
ランディが手を合わせて明るい声を上げる。
「反応速度を高める為に近接練習やろっか!」
「任せなさい!」
エンリカがやる気に満ち溢れた返事をする。




