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悪魔の聖騎士日記《カイル・アキリー》其の四

 Switch2買えました。

 惨劇から一夜明けた。

 ペドロとセリーナは即死、ニックは内臓にダメージを負っていた為助けられなかった。

 なんとかサリーは助けることができたが、探索者を続けることが不可能なほどの怪我を負った。

 ファムは自分の判断や目の前で仲間を失った事での恐怖や責任で帰ってきてから人が変わったみたいに暗い。

 そして2人は朝一で地元に帰った。


「ふう、どうしよう」


 何もやる気が起きずにベットの上を転がる。


 もし初撃の魔法を当てられたなら。

 もし自分が前衛で戦えていたならば。

 もし渾身の一撃を命中させられたならば全員生きていたかも知れない。

 そもそも最初にもっと強く言って止めていたならば。

 大鬼(オーガ)に負けないくらい強かったならば。


 後悔と自責の念に駆られる。


 しかし、過ぎた時は戻らない。






―――――――――――――――――――――






 1週間経った。あれ以来食べ物が喉を通らず、ギルド併設のカフェでただ座っている。


「あの新人、パーティの半分やられて残りの2人は辞めたんだろ」


「マジか、何があった?」


 遠くで駆け出し探索者が話している。


「迷い込んだ大鬼(オーガ)が出たらしい」


「よく逃げてきたな。俺らだときついだろ」


 ごちゃごちゃと耳障りだ。しかし言い返してもどうにもならないのは分かっている。

 大きな溜息を吐く。


「それがよ、あいつが殺ったらしいぞ」


「ウチのパーティにスカウトするか?」


「はっはっは。噂では魔法が当たらないって。魔法が当たらない魔術師なんて要るか?」


「前衛で魔法撃たせる?」


「冗談はそこらへんにしとけよ」


「それもそうだな」


 誰か知らない者の何気ない会話。

 しかし『前衛』というキーワードで何かが降りてきた気がする。


 そうだ!遠くから魔法が当たらないなら近くで撃てば良い!俺は元々剣も使える。回復魔法が使えるから後衛だったが元々は前衛志望だった。

 村でも有数の剣の実力がある。数ヶ月のブランクを取り戻して更に鍛錬する。

 今以上に強くなって誰も死なせない。


 名も知らぬ探索者にお礼を言い、ギルドを飛び出した。

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