懐かしき帰宅
最近書きたい事めちゃくちゃ書ける。
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「此処にくるのも久しぶりだな。例の新人君話せるかな?」
探索者には忌避される真っ赤な色の屋根に何処か不気味な黒の壁。二つ合わさり更に禍々しさを増長された家の前に男が立ち、呟く。
元パーティメンバーの依頼の後始末に加えて、重要案件で残業をしていた為時刻は明け方。
一般的に考えて大凡眠っているだろう。
しかし、時間が取れるのが今しかない為に起こして話しをしなければならない。
申し訳ないけどランディなら許してくれるでしょ。
大事な事だし。
ポケットに手を入れるとこの家の鍵を住んでいる家に忘れたことに気づく。
「ここ俺の家だし良いよね?」
誰かに弁明する訳でもないが言い訳を呟く。
後ろめたい事でも無いが、キョロキョロと周りを見渡してしまう。
誰も目撃していない事を確認し、一瞬で玄関の鍵を開けて中に入る。
パーティを抜けて暫く、離脱後初めて戻る家に思わず懐かしさを感じてソファに深く座る。
パーティの思い出は枚挙に暇がない。
その中でも特にこの家で起こった出来事が思い浮かぶ。
追想しているとリビングに誰か入って来た。
この足音に覚えがない。
ならば噂に聞いていた新メンバーのエドワード・クレイ君だろう。
エドワード君に挨拶をしてからランディを起こしに行ってもらおう。
ランディも他よりはマシなだけで寝起き良くは無いからな。
8割興味、2割打算で新人になるべく爽やかに挨拶する。
挨拶の後、少ししてこちらをチラチラ見られると叫ばれそうになる。
まずい!ランディ以外を起こされると困る!特にエンリカはダメだ!
引退してから一番の速さで必死に手で口を塞ぎにいく。
幸い、エドワードの叫びを抑える事が出来た。
危ね〜、家が真っ二つになるところだった。
あれお金掛かるし修理中大変なんだよな。
かつての苦い経験が蘇り、苦笑しているとこの軽い騒ぎを聞いたのかランディがリビングに姿を現す。
以前の話をした後、ランディがエドワードをお使いに行ってもらった。
エドワードに聞かせられない話でも無いが、ランディと2人きりになった事で、此処に帰って来た理由の話をし始める。
「ここ最近、王都内での行方不明者が増加しているんだよ」
「行方不明なら廃地区もあるし、偶々多い時期なだけじゃない?」
廃地区、それは王都内でも特に警備が行き届いていない治安が悪い地区の通称だ。
そこには裏の世界の住人が星の数程潜伏していると言われている。
「それにしてもなんだよ、行方不明者の中には探索者も居る。それもDランクまで」
ランディの指摘を冷静に説明するアレックス。
「で、結論は?」
「多分『蜂』の仕業だ。『蜂』自体も大きいが、更に他の大きい組織とも繋がっている」
単刀直入に聞くランディにアレックスも簡潔に答える。
「僕の所に来るって事はもう目星付けてるんでしょ」
身を乗り出しながら質問をしてくる。
「まだ絞り込めていない。だが、一つ分かれば芋蔓式と睨んでいる。準備しておいて欲しい」
「敵の戦力と僕達の戦力は?」
ランディが戦力の確認をする。
戦力差によって戦い方が変わってくるからこの質問は当然のことだろう。
「ここ含めBランク以上の信頼できるパーティ幾つかだけ。この事は警備隊長、騎士団長、ギルマスと俺しか知らない極秘任務だ」
息を潜めるように答えた。
「分かった」
短いながらも力強い返事が返ってくる。
返事が聞こえると今日の仕事の為、快速を飛ばして住んでいる方の家に帰宅した。
追伸、今日ももう1話更新するかもしれません。




