元メンバー アレックス・ヴァンダー
言ってた通り今日2話目です。
それにしても今日のWSも凄かったですね。
初対面の人だから緊張する。
ランディに勧められてソファに座る。
向こうにはランディとアレックスって呼ばれた男。
ランディが笑顔では無いが明るい顔で話し始める。
「この人はアレックス・ヴァンダー。悪魔の聖騎士の前リーダーで盗賊だよ」
「アレックス・ヴァンダーだ。現役時代は《怪盗》の二つ名で呼ばれていた。今はアレタネスの探索者ギルドの副マスターをしている。ギルド外ではアレックスって呼んで。よろしく」
「アレックス、よろしくお願いします」
差し伸べられた手に応えて握手をする。
やっぱり一流だったのか。
あとリリス達が言ってた子供産まれるから抜けた元リーダーってこの人か。
見た目は凄い良い人そう。
「どうして此処に来たのですか?それにどうやって入ったのですか?」
この人は誰か問題は解決した。
しかしまだ謎は残っている。
どうやって入って来たのか?盗賊だから鍵は解除できるのだろうが犯罪だ。副ギルドマスターの立場の人が不法侵入するだろうか。いやしない(と思いたい)。
僕の質問にアレックスは不適な笑みを浮かべて何処かから出した鍵をクルクルと回している。
「さあ、どうしたと思う?」
「この家は元々というか今もだけどアレックスの家だから鍵持ってるんだよ」
質問を質問で返すアレックスに視線を突き刺しながらランディが答える。
えっ?そうだったの?この家アレックスのなの?
僕も含めるけどこの人達居候なの?最初に一言言ってくれても良いじゃないですか。
戸惑いを隠せない僕にアレックスが経緯を説明する。
「新人の時は家なんて借りられないでしょ」
「そうですね」
いつ家賃を払えなくなるか分からない新人探索者には部屋を貸す人は少ないし、借りられたとしても快適とは程遠いだろう。
収入が一般人とほぼ変わらない為、持ち家なんか買えるわけがない。
そのため賃貸よりかは多少高いが探索者ギルドと連携している宿を選ぶ探索者が殆どだ。
「この家、俺の親が俺に遺してくれたからさ、ずっと一緒に暮らしていたんだよね」
「そうだったのですか」
「その後結婚してパーティ抜ける時皆んな部屋なんか借りれなかったから此処に住んでるんだよ。悪魔の聖騎士って色々有名だからさ」
あっ、察した。この人達多分結構悪名も轟いているのだろう。1週間だけだけどやらかしてるって言われても納得するもん。
それに良い雰囲気をぶち壊すのやめて貰えませんかね。勝手に僕が感じているだけかもだけど。
「ちょっとエド良いかな?」
和やか(?)な空気を落ち着かせてランディが発する。
「何でしょうか?」
「お使い行って来て欲しいんだけど良いかな?」
お使い?こんな時に?別に全然暇だったから良いですど。
「良いですよ。道は分かりませんけど」
ランディは助かった表情で話しを続ける。
「良かったよ。僕はアレックスと大事な話があるから」
言葉の節々に真剣さが伝わってくる。
大事な話というのは本当なのだろう。
「分かりました。起こすのは忍びないですけど道が分からないので誰か一緒に...」
「いや、絶対に1人で行った方が良い」
アレックスが食い気味に否定してくる。
その言葉には熱がこもっていた。
「そうだね、エンリカは気付いたら剣を買ってる。カイルは一瞬で迷子になる。リリスは何処かに居なくなるからね」
えっ?この人達自由過ぎない?
迷子と居なくなるのは探索者としてはアウトだがギリギリ分からなくもない。
何ですか、剣を買ってるって。うっかり剣買っちゃったって聞いた事ないですよ。
「分かりました。何処に行けば良いでしょうか?」
「ちょっと待ってて、買う物と道のメモ上げるから」
ランディが慌ただしく準備を始めて僕も出かける準備を始める。
玄関に行くとランディがメモを渡して来た。
「お願いね。気を付けていってらっしゃい」
「行って来ます」
僕は靴を履き、外へ歩き出した。
裏設定のコーナー!
家のスタイルについてです。
王都ではベッド以外は基本的に土足です。欧米スタイルです。
しかし、アレックスの家は土足厳禁です。
理由はアレックスが家の中でも靴を脱いでリラックスしていたい意向に悪魔の聖騎士の皆んなが賛成したからです。
決してうっかり靴を脱ぐ描写を書いちゃった訳ではありません。天に誓って後々思い出した時に『これ、世界観と合わなくね?』みたいな感じに気が付いて注釈を入れた訳ではないです。




