《一切操造》ランディ・カーター
ランディの苗字メモ見るまで忘れてました。ランディごめん。
鼓膜が破れそうになる悲鳴が鳴り響き、ボスモンスターの三つ首が振り回される。
「これ、胴体にも脳とか心臓とかあるパターンかな?」
「そ、多分」
「再生能力はない感じかしらね?」
「なら一気に弱く見えてきた」
「どうせここだとカイルの攻撃は通らないから関係無いじゃない」
「あっ?喧嘩なら買うぞ!」
ビックリするほど触れられないボスモンスターが何となく可哀想になってきた。
カイルとエンリカを落ち着かせてランディが発言する。
「もう良い?終わらせるよ」
「ヘイトは任せろ」
「私が斬っちゃっても良いわよね?」
なんかエンリカが強キャラと噛ませキャラの中間くらいのこと言ってる。
柔らかい笑顔が消え、目を瞑り集中するランディ。
ほぼ素人の僕の目にも魔力が集まっていくのが分かる。
詠唱を始めるとランディの顔の前に大きな火球が出来上がった。
「飲め、耐性、炎」
「分かりました」
真剣な表情なリリスから耐火ポーションを渡される。
少し目を離した隙に火球は直径が先程の倍に膨れ上がっていた。
それなりに離れた僕にも炎の熱が伝わる。
ランディが大きく息を吐くと床から天井に届きそうな大きさの火球が丸々縮まって色が青く変わっていく。
陽炎が立ち、カイル、エンリカ、ボスモンスターの状況が確認できない。
「飲め、早く」
思わず見入ってしまったところをリリスに指摘され、暑さを思い出す。
体中から汗が吹き出しているのを見て、慌ててポーションを飲んだ。
味はエグ味のすごい下処理した水を飲んでいる様な感覚。
まさに『良薬は口に苦し』と言うべき効果で熱が体から引いていく。
拳大迄に圧縮された青火球。
それは煌めくように燃えてまるで宝石のように美しい。
それは漆黒の暗闇を照らす程の暖かさと眩しさと光をも焼き尽くしてしまう恐ろしさを持っている。
それは今まで見た魔法の中で最も脳に焼き付けられた。
「灰燼に帰す炎」
ランディが魔法名を呟く。
スピードは速くないが、一直線にボスモンスターへ向かう。
カイルとエンリカが魔法に気付いて素早く大きく後ろへ下がる。
僕はというとランディとリリスの指示に従い、リリスのゴーレムの後ろにリリスと隠れている。
火球がボスに触れた途端、爆発的に広がる。
ボスモンスターが青い炎に包まれ、どこか神秘的な光景が広がる。
同時にポーションが無かったら燻製になりそうな熱風がボス部屋に吹き荒れる。
時間が経つにつれて炎が美しい色から力強い明るい色に変わっていく。
数分後、炎が晴れて跡形も無くなった地面が現れた。
「・・・やりすぎ。無い、何も」
ガッカリな表情でリリスが呟くのを僕は聞き逃さなかった。




